収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2011/06/06 No.106
【目次】
1.全体最適概要まとめ
まえがき
こんにちは 前田です!
日奈久温泉 温泉神社
日奈久温泉は、1409年に発見され、2009年には開湯600年を祝う行事が大々的に行われました。機会に恵まれ、2009年から日奈久温泉を訪れています。温泉は狭い地域に集中し、端から端まで約300m、歩いても4分弱しかかかりません。全部で16の源泉があります。掘削深度は100m以内と浅く、これまで宿泊した8つの宿はすべてかけ流しでした。泉質はアルカリ性単純泉で、関節痛、神経痛、冷え症に効くと言われています。ちなみに、以前ご紹介した別府の高級ホテル「ホテル白菊」の温泉は掘削深度150mです (^0_0^)ナルホド
日奈久温泉 温泉神社
もともと、一帯の温泉は海の干潟だったそうです。No.68では六郎の湯像と温泉発見の由来碑文の写真を紹介したことがあります。そのなかで、六郎(浜田六郎左衛門)は、日本神話に登場する水の女神、市杵島姫(いちきしまひめのみこと)のお告げにより温泉を発見。温泉のおかげで六郎の父の刀傷も治り、そのうわさを聞きつけ湯治客が押し寄せるようになったそうです
日奈久温泉 温泉神社
「神様をお祀りしよう」と、村人は市杵島姫を祀る祠(弁天社)を1419年、現在の温泉センターの場所に建立しました。その後、神社は今の高台に移転しています。温泉の神様は、日奈久の人にあがめられ現在にいたっています。温泉神社からは、写真のように海の方向に広がる景色が展望できます (=^^=)
日奈久温泉イベント広場 案内板
温泉神社 相撲さじき
最後の写真は、土俵と相撲さじきです。神社へ登る143段の石段の途中に、この相撲さじきがあります。天然の傾斜した地形を利用し、階段状に桟敷があり、一つ一つを石垣が取り囲む贅沢なつくりです。桟敷は2万人は収容できるそうで、江戸時代に造られたと看板の写真に説明があります
\(◎o◎)/!
1.全体最適概要まとめ
今回は、No.103から紹介してきた全体最適の概要まとめをおこないます。補足とし
て、全体最適の考えかたの背景にあるステージバランスを採りあげます。詳細は後
段に譲りますが、ステージバランスとは、販売から生産・物流に至るライン部門の能
力を均衡させることです
以前から予定している、一般的な全体最適の進めかたについては、まだ紹介に至っ
ていません。進めかた紹介前に触れておきたい項目があるためです。今回は進めか
た紹介前のまとめに相当します。そのため、No.103、104、105の概要を一連の流れ
に再編集しました ^^
No.103では、全体最適の意味と、当該課題にどのようなものがあるのか言及してい
ます。次のNo.104では、全体最適に取り組んだ場合の典型的な効果を述べました。
前回No.105では、全体最適取り組み前の基盤整備事項を採りあげています。全体最
適に関する、ここまでの流れを箇条書きにすると、次のとおりです
・全体最適の意味(No.103)
・全体最適の課題(No.103)
・全体最適の効果(No.104)
・全体最適と予実績管理(No.105)
・予実績管理の適切な実施(今回)
話の流れ確認のため、紹介済み項目の概略を最初に述べ、ひきつづき今回の補足を
します
◆全体最適の意味
従来の定義にこだわらず、全体最適を分かりやすく言うと、次のように現わせます
『全体最適とは、営業利益を常に最大化する方向に業務遂行をおこなうしくみである』
対象の営業利益は、一企業あるいは企業グループを指しています。一時的な全体最
適ではなく、継続的に維持できることが前提です。そのため、必要な権限を持って
コントロール可能な、企業内組織の設置あるいは役割分担が欠かせません。全体最
適で対象とする企業の主な組織は、販売・生産・物流・開発の全ライン部門です。
これらライン部門は、営業利益を日常的に生み出す役割を持っています
営業利益の最大化を目的に、PDCAのマネジメントサイクルを回すことを「しく
み」と表現しています。このほか、しくみにはコントロールをおこなう判断基準が
最低限必要です。測定できないものはコントロールできません。従来から私どもが
推奨している測定手段として、管理指標と統制指標があります。もう一つくわえる
なら、これら管理・統制指標算出や、各種の測定手段を提供できる管理会計の導入
が不可欠です
説明に用いた、PDCA、管理指標、統制指標、管理会計の用語解説は、省略しま
した。内容確認をされるかたは、No.103の参照お願いします (^^)
◆全体最適の課題
過去のコンサルティング事例から抽出した、全体最適のしくみ構築の過程で明らか
になった課題を紹介します。並べた課題は、経営管理上から見て小さなものから大
きなものまでさまざまです。3つのレベルに区分しています。内容については省略し
ました m(_ _)m
☆レベル1 管理会計に頼らなくとも取り組み可能
・品切れ防止
・アイテム数削減(=基準アイテム数の設定)
・オーダー実現率向上
・在庫基準の設定
☆レベル2 管理会計を前提とした取り組み推奨
・クレーム発生防止
・内外製の適正化
・生産配分の是正
・編成効率の向上
・予実績管理の強化(=収益管理の強化)
☆レベル3 事業管理層中心の取り組み必要
管理会計導入後の取り組みがベターですが、必ずしも必要としません。ただし、得
られるデータの精度を上げようとすれば、管理会計の導入が不可欠です
・事業ビジネスモデルの見える化(=事業構造の見える化)
・事業収益源の見える化(=収益構造の見える化)
・需要構造の見える化
・保有技術のマッピング(=技術の見える化)
・経営理念・経営方針の明示・具体化
◆全体最適の効果
前項の全体最適の課題を解決すれば、それぞれに応じた効果は得られます。しかし、
メーカーの関心事は、営業利益の最大化でしょう。営業利益の最大化を図るため、
増収余地の顕在化は不可欠です。言い方を変えると、営業利益の機会損失額の定量
化がキーとなります。次に、この概要をまとめました。以下の生産・販売プロダク
トミックスとも、短期的なプロダクトミックスの省略です (^∧^)
・現経営資源における営業利益最大化の姿を知る
生産プロダクトミックスの算出が相当します
・営業利益最大化への販売促進
生産プロダクトミックスが可能となる販売促進の意味です。販売計画を生産プロ
ダクトミックスに一致させる販売行動が必要となります
最初の中点、生産プロダクトミックスの算出とは、現生産能力を活用し、どの製品
をどの位造って販売すれば限界利益が最大化するのか明らかにすることです。限界
利益の最大化は、結果的に営業利益の最大化となります
二つ目の中点、営業利益最大化への販売促進とは、販売計画を生産プロダクトミッ
クスと同じにすることです。通常のメーカーでは、販売計画と生産プロダクトミッ
クスは一致していません。つまり、生産の持つ能力を営業利益の最大化に、活用し
きっていないことを意味しています。すぐに一致させるのは、困難をともなうのが
普通です。そこで、半年先、1年・2年先などの販売計画に反映させていくようにし
ます
しかし、販売計画を生産プロダクトミックスに合わせることが困難な場合は、どう
するべきでしょうか。最終的に、生産・販売プロダクトミックスを一致させること
は、限界利益最大となるように生産設備等を変えることです。販売プロダクトミッ
クスは、販売計画が相当します。差異の内容により、生産形態等の変更が可能かど
うか慎重な対応せざるを得ないでしょう。実際は、販売プロダクトミックスに生産
プロダクトミックスを近づけて行くのが現実的かもしれません。企業実態に合わせ
た方策検討が必須です (=^^=)
*用語「短期的な生産プロダクトミックス」
現生産能力の範囲内で限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状同様に出
荷できる生産アイテム・数量の組み合わせをいう
*用語「短期的な販売プロダクトミックス」
現状扱い品種の範囲内で限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状生産可
能なアイテム・数量の組み合わせをいう
◆全体最適と予実績管理
No.105では、全体最適の基盤整備を採りあげました。全体的には、誠に単純な内容
と言えます。つまり、各ライン部門でやるべきことを実行することが、全体最適の
しくみ構築の前提ということです。良し悪しは、部門内のマネジメントサイクルが
うまく回っているかどうかで判断します。経験則では、問題ありと思われる企業は
意外に多いのが現実です (>_<)
仮に、部門自身でやるべきことが出来ていない場合は、全体最適のしくみに欠かせ
ないインフラ整備を優先せざるを得ません。この辺のところは、個々の企業による
違いが大きく出てきます。インフラ整備の代表的な課題は次のとおりです。2つ掲げ
ていますが、本来は予実績管理とだけ言っても差しつかえありません (=^^=)
・売上の予実績管理
・製造の予実績管理
売上の予実績管理では、予算と実績の顧客別・製品別・採算把握がされ、この差異
解消がされているのか判断します。製造の予実績管理では、製造予算と実績の製品
別原価の差異が把握され、この差異解消がされているかどうかです
◆予実績管理の適切な実施
収益の予実績管理が適切にされることは、全体最適の追求とほぼ同じ意味です。や
や長い用語なので、以下では収益管理と称します。この収益管理が満足される形で
運用されている企業は、意外に少ないのが現実です。前段「◆全体最適の効果」で
述べた短期的な生販プロダクトミックスの差異解消策を、予実績管理の運用に組み
込めるかどうかが、営業利益増の成果につながるポイントと言えます。前段「◆全
体最適の効果」と言い方は違いますが、内容の一部重複をご容赦お願いします。つ
ぎに、予実績管理が的確に運用されていない原因と課題を次に挙げました
・営業利益最大化の姿に対する実態定量化不足
営業利益が最大化する生産プロダクトミックスに対する、現収益による定量化を
指しています(=編成効率)。予実績管理で、十分使える差異分析可能な内容が
不可欠です
・営業利益拡大への青写真策定不足
現経営資源による、営業利益が最大化していない状況を打開する具体策のことで
す。最初採りあげるべき課題は、生産プロダクトミックス実現の方策があります。
次に、販売プロダクトミックスに生産プロダクトミックスを一致させる青写真が
必要です。さらに、現状の製品にこだわらない新技術をもとにした絵を描くこと
も対象となるでしょう。従来、この部分については深く言及していません。理由
は単純ですが、あくまでも現状経営資源を活用した営業利益最大化を目指してい
るからです。本来は、まだ製品化されていない保有技術の営業利益獲得への貢献
も含むべきですが…。一般的な全体最適の進めかたをご紹介する時点では、もう
少し立ち入って述べるつもりです (^▽^)
・青写真の実現度高める収益情報の提供不足
とくに有用な情報には、青写真策定途上における種々のシナリオに沿った収益シ
ミュレーションがあります。また、需要・販売予測、競合分析等の調査も含むこ
とが多いでしょう
各ライン部門内の予実績管理がうまく回り出すと、つぎに顕在化するのがステージ
バランスです。ステージバランスとは、販売から生産・物流に至る、ライン部門の能
力を均衡させることを指しています。ステージバランスは小生の造語です。もとも
と、ステージという見方を提唱したことに始まります。定かではありませんが、少
なくとも15年以上前になるでしょう。ステージは、次の用語解説を参照お願いしま
す。生産におけるラインバランスのラインの代わりに、業務や部門を当てはめた意
味です。ラインバランスの枠を企業全体に広げると、ステージバランスになります。
ステージバランスも用語解説しました (∩_∩)
*用語「ステージ」
ステージとは、企業の商品企画を始まりとし、設計〜生産設計〜製造設計、生産
〜販売物流〜販売〜回収など顧客に至るまでの一連の企業活動を、一つの区切ら
れた領域として捉えることを指しています。全体最適では、日常の基本業務の流
れを担当する各ライン部門がステージに相当します。たとえば、調達、生産、物
流、販売などです
*用語「ステージバランス」
販売から生産・物流に至る、ライン部門の能力を均衡させることを指しています。
生産におけるラインバランス同様、ステージにおける能力が不均衡な場合、企業
の能力はもっとも小さいステージで決まるはずです。よく見られる例としては、
在庫がステージバランスを均衡させる役割を持っています
ステージバランスを測る物差しは、量ではなく、原価や収益によることを基本とし
てます。従来から紹介してきた管理指標、統制指標は、この考えかたによるもので
す。前段「◆全体最適の課題」も極力、同様に定量化します。測定できないものは
管理できません。本節の最初で、「収益の予実績管理が適切にされることは、全体
最適の追求とほぼ同じ意味」と申し上げました。ステージバランスという考えかた
からすれば、次のように言い換えることが可能です (^∧^)
企業の収益から見た全体最適とは、各部門のステージバランスが取れている状態を
指しています。ステージバランスの状態把握は、原価や収益による管理・統制指標
の役割です。結果として、経営管理で強化すべき収益を直接生み出しているライン
部門の対象課題も明らかになります (^−^)
◆当初SCMの主張と全体最適
話はやや脱線しますが、SCMが当初主張していた見方は次のとおりです
サプライチェーンマネジメントは、原材料供給から最終需要家に至るすべての業務
プロセスを、企業の壁を越えた全体最適化により、高収益をもたらす経営管理手法
のはずでした。サプライチェーンにおける業務プロセスの最適化とは、複数企業間
のステージバランスを均衡させることです。企業の壁を超えて、業務プロセスをコ
ントロールすることが欠かせないことになります
言い方は異なっていたのですが、説明に用いられた鎖の図解は、前項でご紹介した
ステージバランスそのものです。考えかたの一つとしては理解できます。しかし、
日本は社会主義の計画経済ではありません。一企業内でもできていないことを、バ
ラ色のオブラートに包んで主張したわけです。一時のブームに乗って儲けたのは、
情報システムベンダーだけだったのではないでしょうか。導入する企業側に、経営
管理手法の目的と手段の採り違いがあったと言わざるを得ません。管理技術導入の
戦後の歴史を、またも繰り返してしまったとつくづく思っています
打ち出の小槌はありません。今回の概要まとめでは触れていませんが、管理会計の
導入から始めるのが近道と信じています。私どもが全体最適を主張しているのは、
当初のSCMのようにサプライチェーン全体ではなく、一企業あるいは企業グルー
プ内のSCM(=社内SCM)から開始すべきということです
全体最適については、進めかたを除いて、ひととおりお話ししたことになります。
そこで、次回以降の全体最適に関するテーマを採りあげる場合は、一般的な全体最
適の進めかたご紹介の段階です (●^o^●)
編集後記
梅雨寒が続いたと思ったら、また暑くなってきました。一時、セーターを引っ張り
出してしまいました。今日6月4日の日の出は4時26分です。6月12日には日の出が、
1年のうちでもっとも早い4時24分になります。6月15日までは同じ時間ですが、6月
16日から日の出が4時25分と、朝が遅くなる季節が始まります。ただし、昼の長さが
最大となるのは、夏至の6月22日です。日の出が4時25分、日の入りが19時1分、昼の
時間が14時間36分あります。昼がもっとも短くなる冬至(12月22日頃)では、約9時
間半と約5時間弱も短いんです。いずれも、埼玉県の時間でした (∩_∩)
今回頁数は次のとおりです
314行/校了時点の合計÷53行/頁≒5.9頁
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!