収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2011/10/17 No.121
【目次】
1.FK社収益改善事例
まえがき
こんにちは 前田です!
メルマガWebサイトには、草津温泉の写真を掲載しています (^v^)
メルマガWebサイト:http://merumaga.jimosen.com/
今回は、草津温泉の番外編として、温泉以外の写真を掲載します。草津温泉に行ったのは、お盆休みの8月17日(水)〜8月20日(土)の3泊4日です。18の共同浴場全部と足湯3箇所も入湯。温泉探訪のかたわら、名所旧跡の一部も合わせて回っています
町営屋内プール案内
町民プールで泳ぎました。8月19日(金)、朝の気温は20℃。この日、日中は18℃と下がっています。標高1200mのためです (^0^)
場所は、写真の看板にあるとおり、草津中学校と同じ敷地にあります。草津バスターミナルから、東京方向に国道292号線沿い、約600m先にあります。11時20分到着。受付で若い女性に500円支払い入場しました (^v^)
町営屋内プール
ロッカールーム
ロッカールームで着替え、シャワーを浴び、ストレッチをしたのちに泳ぎました。プールの深さは端のほうが1.1m、中央が1.2mになっています。空いていました。全部で7コースのようですが、3コースだけ単独コースになっており、残りはロープを外して子供用となっていました
利用料金
約20分かけ、クロールで1000m完泳。慣れていないせいでしょうが、泳ぎづらい思いをしました。理由の一つは、写真では分かりづらいのですが、天井の照明がプールの底で反射していたためです。水の揺らぎに合わせてちらちらする感じは不快な思いがあります。もう一つは、泳ぐ直前に温泉まんじゅうを2個食べたのが原因かもしれません (=^^=)
泳ぎ終わって、帰りの途についたのは12時10分でした。営業時間は09:30〜21:00です。写真の利用料金表のとおり、町民以外は一般1人500円となっています
白根神社
白根神社
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)を祭った白根神社です。前回7月16日訪問の翌日も、大々的な氏神祭りでした。今回、8月18日に長栄の湯を訪問したさい、隣の広場では白根神社のお祭りの準備に大勢の人がでていました。参拝は初めてです (^−^)
光泉寺
光泉寺です。8月20日、12時訪問。信心心に欠けているのか、ここの本堂(薬師堂)に参拝するのも初めてです。光泉寺は、湯畑の目の前、南西の位置にあります。階段のある写真は、湯畑から登る正面入口石段です。急な石段を登り、右の鐘楼を見ながら先に行くと、本堂があります。お盆休みのせいか、観光客でにぎわっていました
光泉寺ご案内
住職からのメッセージが看板に書かれています。ここの薬師堂は、有馬温泉とともに日本温泉三大薬師の一つに入っているそうです
案内によると、光泉寺は白根明神の別当寺(べっとうじ)として、1200年に草津領主湯本氏が再建したと言い伝えられています
光泉寺本堂
光泉寺からの眺め
別当寺は、神仏習合(しんぶつしゅうごう)が許されていた江戸時代以前に、神社に付属して置かれた寺のことです
白根明神は、白根山を神格化して祀った(まつった)神社で、かつては白根山の湯釜の中にありました。現在は、御巣鷹山の頂上付近に祀られています
町内巡回バス
緑色の年代物の形をしたバスは、草津温泉町内巡回バスです。運賃は、1回利用に付き料金後払いの100円です。町内を4コースで巡回しています。季節や曜日により、運行していないコースもあるようです。インターネットで検索すると、時刻表もダウンロードできます。小生も、滞在中乗せていただきました (^o^)//””パチパチ
お昼寝のネコ
最後は、ネコです。湯畑の北側にセブンイレブンがあります。これを左手に見ながら、坂を下る途中左側の食処の店前にいつも陣取っているのです。坂のこれより下左側には、美味しい「やきとり静」があり、その手前になります。草津温泉に行ったら、ぜひ一度面会をお薦めします。確かめていませんが、この態度は雄ネコでしょう (^∧^)
1.FK社収益改善事例
全体最適の視点から見た、収益源の発掘例を紹介します。採りあげた企業は、事業
収益が赤字の事例です。しかし、仮に赤字でなくとも同様の対策で、収益改善に貢
献できる企業が多いと考えています。現状の課題は後段に記載していますが、品種
別採算が不明な点が最大の問題です。以下、内容紹介をします。分かりやすいよう
に、なるべく簡略化しました (∩_∩)
◆企業概要
事例企業FK社は、大手企業の一事業部門です。概要を紹介します
・主要製品
生産・加工設備・治工具向け工業用材料・部品
・マーケットシェア 国内 25%
・工場 素材生産工場 国内 1
加工工場 国内 3 海外 3
加工工場は、製造子会社、または委託先
◆業績
大手企業の一事業部門の業績です。ご覧のように、営業利益がマイナスになってい
ます。ここでは、2010年度のみ掲載していますが、当期まで3期連続の赤字です。次
の損益状況を見ていただければ分かりますが、素材売上は黒字、加工売上が赤字と
なっています。したがって、加工販売の採算改善が不可欠です (>_<)
☆2010年度業績 事業部門合計
金額 構成比
億円 %
売上高 200 100
売上原価 170 85
粗利 30 15
販管費 40 20
営業利益 -10 -5
☆2010年度業績 素材・加工の内訳
素材販売は、好調な収益となっています。しかし、加工販売のほうは、営業利益率
がマイナス11%です。売上高の過半を占めていますので、早急な改善策が欠かせま
せん (^0^;)
素材 加工
金額 構成比 金額 構成比
億円 % 億円 %
売上高 30 100 170 100
売上原価 15 50 155 91
粗利 15 50 15 9
販管費 6 20 34 20
営業利益 9 30 -19 -11
◆生産・販売の概要
・素材販売と加工販売で構成
・加工販売は、素材を加工工場に供給し、製品加工後に販売する受注生産型
・素材生産リードタイム 約4カ月
・素材は販売計画に基づく見込み生産
・販売構成
製品の重量比 素材 40% 加工 60%
売上高比 素材 15% 加工 85%
・品種数 100
・加工品は、受注後、製品加工し1週間以内に顧客納品
・在庫は、繰り返し受注品の製品在庫が0.5カ月。全社の素材、製品在庫計は5カ月
◆概略の納品フロー
素材生産に約4カ月間を要し、そのまま素材で販売するのがあります。前項でも述べ
ましたが、素材品の重量比で40%、売上高比では15%です。また、素材生産後、加
工を施したのちに販売するものが、重量比で60%、売上高比で85%となっています
原料受入 → 素材生産 → 素材販売 → 顧客納品
→ 加工販売 → 顧客納品
◆素材の原価構成
加工品は加工部門全体の原価のみ把握しており、品種別には算出できません。これ
に対し、素材は品種別原価を算出しています。品種別にバラツキはありますが、素
材全体の原価構成を次に掲げます
製造原価 100
変動費 45 (内訳 原料費25、その他20)
固定費 55 (内訳 労務費15、減価償却費30、その他10)
◆問題認識
素材生産工場はフル稼働です。前段で示したように、素材の損益は黒字ですが、事
業全体では赤字になっています。2008年9月のリーマンショックによる、売価下落が
大きく影響しているようです。工場がフル稼働なのに赤字では、働く人が報われま
せん (^0_0^)ナルホド
素材の品種別原価は算出しています。素材のみの販売なら、現状の方法でも損益が
十分把握できるわけです。しかし、多くの客先は、複数品種の加工品販売になって
います。前段で述べたとおり、加工品の品種別原価は算出されていません。中身が
見えないため、対策も打てない状況です (^∧^)
早急に求められているのは、加工品の品種別原価把握と、同じく加工品の顧客別・
品種別・損益を明確にすることに尽きます (^0^;)
話は少しそれますが、同様の事例は子会社化、国内外企業への製造委託などの増加
にともない、増えているのが実態です。メーカー本体では、品種別や品目別の原価
計算や顧客別・損益管理ができていても、製造の一部を外製化した途端、低いほう
に管理レベルが合ってしまうことになります φ(..)メモメモ
◆現状収益管理の実態
現状の収益から見た管理の実態を紹介します (=^^=)
・素材は、等級別総合原価計算による品種別原価計算
・加工は、受注生産にもかかわらず総合原価計算に基づく部門別原価計算
・収益の管理メッシュ
素材……顧客別・品種別原価
加工品…顧客別・部門別原価
*用語「等級別総合原価計算」
等級品の生産時に適用される、総合原価計算の方法を指しています
総合原価計算は、見込生産により、大量の製品を連続的に生産する場合の原価計
算方式です。大量生産品の場合、個別製品ごとの原価算出は通常できません。そ
こで、製品群別に経費を把握し原価計算する方式が該当します。ここでいう製品
群に相当するのが、等級品の概念に相当します
等級品とは、同一原材料を同一の加工によって生産される複数種類の製品のこと
です。基準となる製品の経費割合を係数に表わし(=等価係数)、他の製品群の
経費を算出します。たとえば、基準製品の経費を1.0としたとき、他の製品は重量
が軽い分だけ製造時間も短いので0.8とし、経費もその割合でおこなうなどです。
等価係数は、企業によりさまざまな呼び方がされています。たとえば、難易度、
配賦係数、係数、積数などです
*用語「管理メッシュ」
管理メッシュとは、予実績の差異分析可能な売上実績または製造原価の算出区分
を指しています。たとえば、一次店別の売上集計では、二次店別の損益までは当
然捉えられません。当ケースの売上の管理メッシュは一次店別となります。また、
部門別の製造原価算出では、品目別の採算把握はできません。この場合、原価の
管理メッシュは部門別原価です。双方合わせた収益の管理メッシュは、一次店別
・部門別原価となります。二次店別や品目別までの採算把握が必要なら、それに
応じた管理メッシュ採用が不可欠です。管理メッシュの選定は、予実績管理にお
ける差異分析時の物差しの精度を決めることになります。管理メッシュが小さけ
れば分析精度は上げられますが、労力も必要です。管理メッシュ選定は、目的を
考え経営方針として決定されるべきものです
◆目標
前段の問題認識にある、加工品の品種別原価把握と、同じく加工品の顧客別・品種
別・損益の明確化が最優先事項です。そこで、目標を次のように設定しました
「顧客別・品種別の採算を知り、有効な収益改善策の立案・実施と早期実現により
黒字転換する」
◆課題
解決すべき課題を検討した結果、次のようになりました
☆短期的課題(おおむね、1年以内に実現めざす対象)
・顧客別の原価割れ不採算販売品種の値戻し・値上げ
・収益性の高い製品への販売シフト
(短期の販売計画に織り込み)
・短期的な生産プロダクトミックスの算出
*用語「短期的な生産プロダクトミックス」
現生産能力の範囲内で、限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状同様に
出荷できる生産アイテム・数量の組み合わせをいう
☆中長期的課題
・加工技術の高度化、効率化による採算改善
素材販売は高収益事業です。反面、加工販売が赤字ということは、加工技術の競
争力が低いことを物語っています
・収益性の高い製品への販売シフト
(中期の販売計画への織り込み)
・短期的な生産プロダクトミックス把握と対応策実施
・製品原価の25%を占める原料費率を下げる代替原料化取り組み
・製造原価の30%を占める減価償却費を中期的に低減図る製造設備改造、
製法開発を含む工程短縮への取り組み
・製造原価の大幅低減を図る、生産リードタイムの半減目指す製法開発
◆効果
・需要が供給を上回る環境も幸いし、値戻し・値上げがほぼ計画どおり実現
(活動開始1年あまりで黒字化達成)
・低収益品の段階的縮小実現(収益上乗せ効果)
・短期的な生産プロダクトミックスを算出したところ、生産する製品構成変更
により、限界利益率30%向上、営業利益率18%向上が可能と報告あり。
中期的な販売計画への織り込みを推進中
・製造原価の低減は技術開発がからみ短期的には困難
専任のプロジェクトチームを発足させ取り組み開始。部分的にですが、生産
リードタイムの約1カ月短縮が可能との報告がされています
◆実施した内容
収益管理に関する部分のみ、箇条書きにします
・原価計算方式の変更
本体メーカーの原価計算の一部手直しにより、直接原価計算の算出を可能として
います。また、加工委託先については、直接原価計算による個別原価計算に移行
しました
・変動損益計算書、採算分析の作成
・予実績管理の運用案作成と実施
原価計算し採算分析資料を作成しただけでは、実際の対策に結びつくとは限りま
せん。使い方としての、PDCAのマネジメントサイクルを予実績管理として運用す
るしくみ構築が実効果を高めるポイントです (^^)♂♂
*用語「直接原価計算」
直接原価計算(direct cost method、ダイレクトコスティング)は、すべての原価
要素を変動費と固定費に分け、変動費のみで製品原価を計算し固定費はその期の
期間費用として扱う方法です。損益計算書の作成時は、変動費と固定費に区分し
て作成します。直接原価計算の利点は、変動費と固定費に分けたコスト効率追究
がしやすくなり、改善活動に役立つことが挙げられることです。損益分岐点分析
が可能なことも利点の一つに挙げられます
*用語「個別原価計算」
1つの製品ごとに原価を集計する原価計算手法。主に一品生産の船舶や特注の機
械など、個別に製造する受注生産に採用されます
*用語「変動損益計算書」
変動損益計算書(変動PL、Profit and Loss Statement )とは、売上または製造
数量に比例する変動費と、以外の固定費に区分して事業損益を算出するための計
算書を指しています
*用語「採算分析」
採算分析そのものの意味は、固定費の回収実態を知ることです。本文における内
容は、顧客別・製品別に採算分析をおこなった帳表を指しています
編集後記
10月3日には、1ユーロ101円割れ寸前まで行っていました。それが、10月14日には1
ユーロ107円台までユーロ高と戻しています。しかし、メディアの論調などを見る
と、予断を許さない状況です。とくに、ヨーロッパ進出企業にとっては、死活問題
の一つになっていると思います。ドル安円高も同様に、目を離せない存在です。
一企業の枠を超えた状況変化のため、企業としてはいかに順応するか考えざるを得
ません。グローバル化による備えが、企業にとっては重要です (^-^)
歯医者に通っていることは、No.119でも述べました。左下奥歯が炎症を起こしたた
め、かぶせものを取って神経部分の治療を続けているわけです。10月8日(土)10時
30分、いつもの治療をおこない、蓋となる仮の詰め物をしていただきました。とこ
ろが、夕方8時頃、その詰め物がはずれてしまったのです (+。+)アチャー
翌、日曜日に応急処置をしていただこうと、休みを承知で歯医者に行きました。と
ころが、先生は勉強会のため不在とのこと。そこで、休日診療の歯医者で応急処置
をお願いすることになりました。空いていたのですが、応急処置のみお願いしたせ
いか、先生は無愛想な態度に終始。商売にならない客と認識されたようです
(>_<)
まだしばらく掛かると、昨日10月15日(土)の治療で再宣言されました。治療は7月
28日から続いています (^0^;)
今回頁数は次のとおりです
353行/校了時点の合計÷53行/頁≒6.66頁
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!