収益改善に役立つ統制指標の切り口

 

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2011/10/24 No.122

【目次】

1.できない理由

まえがき

こんにちは 前田です!

 

メルマガWebサイトには、草津温泉の写真を掲載しています (^v^)

 

 メルマガWebサイト:http://merumaga.jimosen.com/

 

今回は草津温泉の番外続編です。草津温泉に行ったのは、お盆休みの8月17日(水)〜8月20日(土)の3泊4日です。18の共同浴場全部と足湯3箇所も入湯。温泉探訪のかたわら、名所旧跡の一部も合わせて回っています (^v^)

 

     湯畑全景

湯畑全景

今回は、湯畑の全景と、全景の一番手前のところにある将軍御汲み上げの木枠の写真です。徳川八代将軍吉宗や十代将軍家治が温泉を江戸に運ぶため、草津温泉を汲み上げたのが、次の写真の湯枠からと伝えられています。草津バスターミナルの上にある温泉資料館で見たたのですが、歴史的な記念物に指定されているようです (^o^)


 

将軍御汲み上げの木枠

     将軍御汲み上げの木枠


草津温泉は、温泉以外に美味しいものがあります。温泉饅頭とそばです。町の至る所にあるまんじゅう屋と手打ちそば屋が見られます。今回入ったそば屋さんの一つが柏香亭(はっこうてい)です。湯畑から東側にある西の河原通りを少し入った右手にあります。店内の案内を見ておりましたら、随分歴史あるお店のようです。草津温泉に行ったときは、ぜひ一度食してみることをお薦めします (=^^=)

 

話は変わりますが、10月一杯がクールビズとなっている企業が多いのではないでしょうか。通勤電車で見渡しても、ノータイ姿がまだまだ目に付きます。日中はまだ蒸し暑さを感じることがありますが、季節は確実に晩秋の様相です。周りのキンモクセイもすっかり花を落としてしまいました。季節は急激に変わっていますが、体調管理には気を付けたいものです (^^)

1.できない理由

方針が徹底しない、決めたことが守られないことは、良く聞くことです。採りあげかたは異なりますが、一部紹介したことがあります。たとえば、No.30「目標設定は難しいか」、No.36「化学メーカー事業部の体質改善」、No.38「挑戦しないときの評価軸」などです

 

 

◆本文の流れ

 

見出しと一致していないところもありますが、次の展開で進めます

 

・某社・企画部長氏のご質問
・1つ目の質問の答え

・できない理由の実際例
・企画部長氏の思い当たる「できない理由」

・真に儲かる判断基準が不可欠

 

先日、大手企業の企画部長氏とお話ししていましたら、質問されました。そこで、関連部分が若干重複しますが、まとめて「できない理由」を考証したいと思います

 

 

◆企画部長氏のご質問

 

当社は、計画を作るのはうまいとよく言われます。私どもも、この見方に違和感はありません。しかし、計画の実施では問題があります。計画に沿った実施がなかなかされないからです。ここで言う計画とは、経営方針、中期経営計画、年度の利益計画を主に指しています

 

そこで質問です。2つあります

 

・このような問題を抱える企業は多いのでしょうか
・また、計画どおり実施されない理由には、どんなことがあるのでしょうか

 

 

◆問題を抱える企業は多い
最初の質問に対する答えです。計画に沿った実施がされにくい事例は、数え上げたらきりがありません。私どもは、これが多くの企業における実態と認識しています。計画の実施率が高い企業でも、個々の計画では同様の問題を抱えていることが少なくありません (>_<)

 

方針や計画の実施率が高くない傾向は、企業の特性というより、計画の内容と立案者によるものと考えています。ここに組織の権限と風土・文化が作用し、結果的に計画の実施率が低くなっているようです (^-^)

 

 

◆できない理由

 

計画どおり実施されない理由と、ここで言っていますが、実際にはやってみないと分からないことも多いはずです。特定の目的を達成するため計画は立案されます。そこで、計画は進捗に応じて修正されるのが一般的です。あくまでも、目的達成が最優先となります。計画が実施されない理由を、ここでは端的に「できない理由」としました。若干の重複を承知で、できない理由を箇条書きにします。また、できない理由は9つに区分し見出しを付けました。区分方法が適切でないかもしれませんが、ご容赦お願いします m(_ _)m

 

【方針・目標の内容】
・方針・目標が不明確、または明示されていない

・方針・目標が抽象的
・方針・目標展開が不十分

 方針・目標が行動に移せるレベルまで、ブレークダウンできていない例です。ブ
 レークダウンには、分割と分解の2つの方法があります。売上高の目標を営業所別

 に割り振る分割、上位の目標を具体的な行動に変換して割り振る分解などです
・対象を包含する全社の進むべき方向性が不透明

 部分は、全体の進むべき方向と整合性あることが最低条件。これを適合性の検討
 と呼びます

・方針・目標の内容に矛盾がある
・本来どうあるべきかの知見が不足

・どうすればいいのか進めかたと着地点が不明確

 

【推進体制】
・リーダー適任者が多忙で引き受け手がいない

・検討メンバーの担当者が忙しくて手が回らない
・推進すべき担当者が忙しすぎ時間が取れない

・推進する課題の優先順位が低い
・日常業務が優先され課題推進が後回しになる

・課題取り組みの推進体制を上申したが認められなかった
・上から別案件の緊急指示があり、後回しになっている

・関係者で議論したが、優先的に取り組む課題とならなかった
・必要性は分かっているが、効果が不明で説得できない

・関係者の合意取り付けに手間取って、社内プロジェクトを起こせない
・課題の必要性を痛感しているが関係者を説得できそうにない

・担当者が異動し旗振り役がいなくなった
・課題の重要性が社内で理解されていない

・肝心要の部長がやる気になっていない

 

【PDCA】
・マネジメントサイクルが回っていない

・ストレート型業務フローになっている
 ストレート型とは、簡単な日常業務の流れに見られる一方通行の業務を指してい

 ます。たとえば、受注→生産計画→生産→出荷→顧客納品の業務の流れで、後工
 程の不具合が前工程にフィードバックされない例が典型です

・会議や報告の発言から、個々には細かく、それなりに一所懸命やっているが、全
 体としてみれば、お世辞にもうまくいっているとは言えない

・社内プロジェクトは作った。理由は把握していないが進んでいない
・社内プロジェクトで途中まで進んだが、現在は開店休業の状態

 

【実態把握】
・実態が正しく捉えられていない

 多くのケースでは測定できることが必要
・実態と比較できる物差しが不足

 ex.稼働率、歩留まり、製造原価、採算、収益貢献度
・現状把握不足のため、やり方を決められない

・営業と生産ではマーケットの環境変化のとらえ方が不一致
・何が真の問題なのか分からない

 

【知識不足】
・実態理解の知識・知恵が不足

・知識不足のため、やり方が分からない
・部門管理層がやり方を分からず指示を出せない

・到達すべきゴールが分かっても具体化の手段が分からない

 

【権限】
・計画推進の権限が不足

・課題の内容から自部門だけではできない

 

【評価のしかた】
・与えられた課題をやらなくても、自身の業績評価に影響しない

・達成度を測る評価指標が不明確
・部門別に課題に対する判断基準が違う

・収益という観点では議論していない
・収益貢献度の評価ができない

・連結における到達度の判断基準がない
・連結の全体最適を測る指標が不明確

 

【やる気】
・報告に対して上司がアクションを起こさない

・部門管理層が指示を出さない
・部門管理層に会社をどうするという夢がない

・過去の右肩上がり時代の認識を変えることは難しい

 

【人間関係】
・上司と部下の信頼度が低い

・営業と生産の間にある種の不信感が見られる
・部門間の連携に問題がある

 

 

◆企画部長氏の思い当たる「できない理由」

 

前出の企画部長氏が思い当たった主要な「できない理由」は、次の2つでした

 

・方針・目標が抽象的
・方針・目標展開が不十分

 

この2つが該当するということは、方針・目標を行動レベルに移せる人が限られてくることを意味します。経営トップの言いたいこと、やりたいことをあうんの呼吸で、実施する技量が求められるからです。当該企業の「できる人」が限られているのではないでしょうか (^−^)

 

お尋ねしてみると、まさにそのとおりとのことでした。このような状況で、実施率を引き上げようとするなら、おおむね次の対策が有効です (^0^)

 

・方針・目標のブレークダウンによる行動計画立案
 事業管理の中堅層を中心に具体化を図り、裾野を広げることが有効

・到達度を測りやすい方針・目標のキャッチフレーズ明示
 毎期の業績発表により、計画進捗度が周知されやすくなります

・計画案を評価する収益指標の整備(=編成効率などの統制指標)
・計画と実績を実質的に進捗管理するPDCAのマネジメントサイクル推進

・同上の役割をになう部署の設置、あるいは役割分担の是正
・信賞必罰の業績評価制度の採用

 

上記の編成効率ですが、メーカーの生産資源が持つ収益能力に対する、現状の活用割合を指しています。現在持っている生産資源をもっとも有効活用したときの収益がどの位なのか定量的に算出可能です。用語の直接的な意味は、次に解説しました (^∧^)

 

*用語「統制指標」
 部門最適ではなく全体最適実現のため、業際間の課題について権限を持って管理

 する優位性判断の物差しのことです。業務連鎖の評価指標とも呼びます。統制指
 標の目的は、全社収益最大化の方向に統制することです

 

*用語「統制」
 権限を持って管理すること

 

*用語「編成効率」
 一定期間の受注に対する生産能力の活用割合のことです。

 編成効率(%)=生産した製品の収益÷短期的な生産プロダクトミックス時の
         収益×100

 

*用語「短期的な生産プロダクトミックス」
 現生産能力の範囲内で、限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状同様に

 出荷できる生産アイテム・数量の組み合わせをいう

 

 

◆計画案採用には真に儲かる判断基準が不可欠

 

ここで紹介した内容は、すべて今までのコンサルティングで経験したものです。気になることの一つとして、方針や目標を具体化する計画案の評価基準があります。当然ですが、企業収益向上を目指した計画づくりが主体です

 

それにもかかわらず、収益の判断基準には疑問が生じることも稀ではありません。工場別の生産配分、海外移転時の生産品種選定、現状生産枠で販売強化する品種選定と収益への貢献度などです。いずれも、真に儲かる判断基準を基にした計画案の選択が不可欠です。同じ汗水を流すのなら、自らの付加価値をより上げられる選択ができるようにすべきと考えます (∩_∩)

 

*用語「生産配分」
 複数工場で同一製品を生産できる場合、工場別の生産品種、生産量を変えること

 によって企業あるいは企業グループの収益は変化します。この収益を最大化する
 工場別の適正生産品目割り当てを生産配分と言います。同様に、自社工場だけで

 なく連結対象としている企業も同様に見ることが可能です。過去算出した企業で
 は、自社と子会社間の生産配分を変えることにより、年間5億円強の営業利益が増

 加している例もあります

編集後記

理解・諒解・納得の違いはお分かりでしょうか。私どもが顧客企業で注意することの一つです。それぞれの意味を、次のように区分しています (^∧^)

 

・理解
 言っていることは分かった。しかし、行動しない。総論賛成・各論反対

・諒解
 言っていることは分かった。私も分かった。行動しない

・納得
 言っていること分かった。自分も分かった。だからやります

 

理解のみでは、行動が変わりません。諒解のレベルでも同様です。納得の段階まで進んで、始めて行動が起こされます。相手の理解度を確認するときに、活用しています。何かのテーマで討議をおこない、実際に行動されているとしましょう。これが納得のレベルです。日常業務でも、活用してみてはいかがでしょうか (=^^=)

 

今日10月22日(土)は、朝から雨です。朝、台所の蛍光灯が点滅して切れてしまいました。まだ外が暗い、朝5時10分。近くの電気屋さんは10時開店です。暗くて不便なこともあり、10時を待って雨の中、自転車で買いに行き早速交換しました。それにしても、良く降る雨です。天気予報では、お昼過ぎから止む予定になっています

 

 今回頁数は次のとおりです
  287行/校了時点の合計÷53行/頁≒5.4頁

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!