収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2009/08/17 No.25

【目次】

1.コンサルティングの役割分担

まえがき

こんにちは 前田です!

 

お盆休みは、ゆっくり過ごしましたか?
とかく、休みが続きすぎると月曜病がはやりがちになります(>.<)

小生のライフワークの定義です。
「朝目覚めたとき、今日も仕事をやるのが楽しみだ」と思えるかです。

くれぐれも、会社の正門に近づくと胃の調子が悪くなることがないように m(_ _)m

 

 

◆朝は寒いくらいのお盆休み

 

東京では、お盆前から地震、台風に見舞われたせいもあるのでしょうか。朝は比較
的涼しく、8月は朝24℃以下の日が多かったようです。部屋の窓を開けていると朝は

寒いと感じる日もありました。この時期の地震と台風は、次のとおりです

 

8月9日(日)19:56頃、東海道南方沖でM6.9・最大震度4の地震発生(川口は震度3)
8月10日(月)台風9号が関東に接近(上陸せず八丈島方向に進む)

8月11日(火)05:07頃、駿河湾でM6.5・最大震度6弱の地震発生(川口は震度3)
8月13日(木)07:49頃、八丈島沖でM6.5・最大震度5弱の地震発生(川口は震度3)

 

ただ、8月11日の地震では東名高速道・牧之原SA付近の路肩崩落があり、本日15日
の開通をめざとの報道です。このため、迂回路の中央道では渋滞がひどいようです

ね。自宅滞在型を選んだのが正解だった(負け惜しみ)(^∧^)

 

 

◆禁煙推奨 m(_ _)m

 

日本たばこ産業(JT)が、喫煙率の調査結果を8月14日発表。今年5月時点の成人
に占める喫煙者の割合は、前年より0.8ポイント低い24.9%、14年連続で過去最低を

更新となっています。男性は、前年より0.6ポイント低い38.9%で18年連続で低下。
女性は、同1.0ポイント低い11.9%で3年ぶりに減少とのことです。

愛煙家の皆さんには申し訳ありませんが、喜ばしいことですね(●^o^●)

 

おとといは2000m、きのうは1000m泳いでいます。昨日は夕方、外食。今朝、目覚め
が悪かったんです。何故かなあ?と考えてみたら、隣の人がタバコを吸っていたみ

たいです(>_<)

 

 

今回は、コンサルティングを実際におこなうときの準備事項の一つ、お客さまと私
どもの役割分担についてご紹介します

1.コンサルティングの役割分担

コンサルティングさせていただく場合、役割分担の設定が事前に必要となります。
詳細は、後段で述べますが、企業側の政策、人事などの影響も大きい要因です。

企業経営におけるコンサルティング導入の検討に役立てられることを狙いとしてい
ます

 

 

◆コンサルティングは経営のワンポイントリリーフ

 

経営コンサルティングは、お客さまである企業から見ると、何らかの課題を解決し
たいときに検討されます。コンサルティングに至る理由は実にさまざまです。お客

さまの企業において、目標設定が困難、課題が不明確、社内で取り組んだがうまく
いかない、課題は分かっているが活動に人手を割けない、課題解決に精通した専門

家がいない、困っているのだが取り組みかたがよく分からないなどなど…(>.<)

 

 

◆活動の前提確認が不可欠

 

実際は、各企業の実態に合わせて進めかたを立案させていただくのですが、スター
ト前の確認事項があります。コンサルティング開始時点では、到達すべき目標、お

客さまと私どもの役割分担、役割分担をもとにした活動の推進体制、活動期間、会
合頻度と日程等を決めることが欠かせません。内容いかんで、活動開始後の会合の

持ちかた・進めかた等が変わるためです。中でも役割分担の設定が、目標達成には
かなり重要となります

 

 

◆ノウハウ蓄積されない請負形式

 

単に、当面の課題が解決されれば事足りるとされることは、企業においてもまれで
しょう。私どもの立場と異なりますが、仮に目標達成されれば良しとするケースで

は、案作成と実施サポートが請負になります。そのうえ、使うノウハウは蓄積され
ますが、作るノウハウは顧客側に残りません。同様の事態発生時には、請負が常態

化していきます。代表的な事案に情報システムの開発が挙げられます。もちろん、
情報システム開発の前段としての、目的・目標達成のために何をどのようにすべき

か描く業務設計段階は別ですが…

 

 

◆ノウハウ蓄積前提のコンサルティング

 

経営コンサルティングに当たっては、同様の事態が今後起こったとしても、自ら処
理できることが望ましいに越したことはありません。つまり、課題解決されること

は最低条件であり、社内で自主的に横展開できるノウハウ蓄積がされることが望ま
しいわけです。その意味で、ノウハウ蓄積が困難な領域では、必要な都度、その道

のプロに助言を依頼する形の顧問制度が存在します(私どもは顧問コンサルティン
グと呼んでいます)

 

やや前置きが長くなりましたが、本題である役割分担の設定について述べることに
しましょう

 

 

◆役割分担の見方

 

活動の進捗段階で変わりますが、次のいずれかを中心に私どもとお客さまの活動メ
ンバーを選出します。役割分担右の「 」内記述は、お客さまの立場から見たもの

です。たとえば、後述の役割分担1はお客さまの活動負荷が後述5パターンの中で
最大であり、その分ノウハウもお客さまに蓄積されます

 

 

◆役割分担は5パターン

 

◇役割分担1「活動負荷最大・ノウハウ蓄積最大」
 お客さま:資料・案作成

 私ども :問題提起

 

資料作成とは調査・分析、資料加工を指し、案作成とは試案・構想案(改善案)作成の
ことです。ここでの資料・案作成は両方を含んでいます。本役割分担によるプロジェ

クト活動は、最近では見られなくなりました。企業側に、目標達成に見合う人材と
期間が必要とされ、技術開発的な要素も含む中期的な課題解決を志向するプロジェ

クトとならざるを得ないことも影響している気がします

 

本役割分担では、私どもが問題点・課題に対する基本的な見方・考えかた講義、必
要な資料の明示、作成方法・分析のしかた、まとめかた等の目標到達に至る各段階

で、問題提起をおこないます。問題提起は、会合内での指摘が主です。これに基づ
き、お客さまは目標到達に必要な資料・改善案作成を自主活動によって進めること

になります。テーマの例としては、開発のVE、新規事業の戦略立案等が対象です

 

お客さま作成の資料および案の検討は、会合内で随時おこないます。本進めかたに
よるお客さまのリスクは、目標到達までの期間が長くなりがちがなこと。日常業務

で忙しい中堅層の活動負荷が大きくなり過ぎることです。中堅層とは課題に対する
キーマン、実施の中心である課長・係長クラスのかたが相当します

 

 

◇役割分担2「活動負荷大・ノウハウ蓄積大」
 お客さま:資料作成

 私ども :事例例示

 

当役割分担によるプロジェクト活動は、お客さまの企業内に目標達成に関わる技術
が少なからずある場合の進めかたです。VEによる製品コスト低減、物流改善、全

体最適による収益改善などが典型的な例でしょう

 

 *VEとは、最低の総コストで必要な機能を確実に達成するために、製品または
  サービスの機能分析に注ぐ組織的な努力をいう(米国国防省の定義)

 

 

当進めかたは、役割分担1の私どもの役割にくわえ、目標到達に至る各段階での問
題提起にとどまらず、事例例示により活動促進を図る進めかたです。事例例示は会

合内におこない、必要な資料作成は企業側の自主活動にゆだねます

 

お客さまの作成資料に基づいて審議し、案作成はお客さまの役割となります。お客
さまのリスクは、役割分担1と同様、活動負荷が比較的高くこの期間が長くなりが

ちなことです。したがって、推進メンバーの厳選がポイントとなります

 

 

◇役割分担3「活動負荷中位・ノウハウ蓄積中位」
 お客さま:PJ会合での審議・まとめ

 私ども :PJ会合での審議

 

 *PJ〜プロジェクトチームの略。プロジェクトチームとは、活動の目標を明示
  する、活動の期限を決める、期限が来たら解散するの要件が揃っている組織を

  いいます

 

本役割分担によるプロジェクト活動は、目標達成の中核をなすものです。15年ほど
前には、プロジェクト活動メンバーの100%専任制が見られました。しかし、企業側

の事情から、現在では100%専任化は、ほとんど見られません。100%専任とは、プ
ロジェクト活動のみがメンバーの仕事となることを意味します。現状における多く

のケースでは、日常業務を兼務する形で活動負荷も月の稼働日ベースで20〜30%と
なることが大半です。月の稼働日が20日、専任度20%となれば自主活動も含め、20

日×20%=4日間がプロジェクト活動に投入される工数となります

 

いずれの活動パターンでも、PJ会合は定期的な開催が原則です。役割分担1・2
にくわえ、私どもの役割は、目標到達に向けた活動が促進されるよう、都度必要な

事項をPJ会合に提案・審議していきます。目標到達や活動促進の環境づくりは、
PJメンバーの上司および経営層の役割です。彼らとのコミュニケーション促進は、

私どもの役割として重要です

 

また、お客さまも活動推進には積極的関与が欠かせません。たとえば、資料作成・
分析、案作成等のスケジュールを守った実務処理が相当します。何をやっているの

か分かるようにする活動内容の社内PRも重要です。お客さまのリスクは、目標到
達に向けて編成されたチームメンバーの忙しさによる進捗遅れです。活動促進のた

めにも、活動から生じる実務を問題なくこなすメンバー編成が重要となります

 

 

◇役割分担4「活動負荷小・ノウハウ蓄積小」
 お客さま:資料提供、現場手配・調整

 私ども :資料作成

 

当役割分担のプロジェクト活動が最近増えています(^∧^)
やりたいことは、はっきりしている。しかし、人手を思うように割けない。案実施

が本格化すれば、今の人員でやりくりできるはずなので、そのために人を採用する
こともしたくない…とうのが典型例です。ワンポイントリリーフとしての役割を私

どもに求める選択になります。次の説明は実態調査おける例を採りあげていますが、
同様の役割分担での活動参画が、ほとんどのコンサルティングテーマで可能です

 

このパターンは、課題抽出のためにおこなう、お客さまの実態調査が典型例です。
たとえば、お客さまが目標とする姿は分かっているものの、どのような手順で、ど

の位の期間で、どんな課題解決が必要かなどを、企業実態に合わせて企画するため
におこないます

 

異なる企業で、たとえ目標が同じでも、それぞれのマーケット環境、目標の必要性、
業種業態・企業規模・文化の違いなどにより、同じ進めかたをすることは得策では

ありません。コンサルティングが一品生産のサービスであると言われるゆえんです

 

調査のケースによっては、改善提案が含まれることもあります。お客さまのリスク
は、本進めかたに活動期間全体を委ねると、ノウハウ蓄積に制限が出てくることで

す。課題抽出を目的とした、当役割分担による調査実施の留意事項を例示します

 

 ゝ対象領域は広めにする
  目標達成に業際間課題の解決を含む場合は、当課題を含む全領域を対象と

  すべき

 

 ゝ隠し事をしない
  実態把握には、真の姿を確認させていただくことが必須です。信頼していただ

  くことが基本ですね(∩_∩)

 

 ゝ私どもから聞かれたこと以外にも積極的に情報提供
  とくに、社内の意志決定方法、過去の活動実態、そのほかの特殊事情など企業

  特性に関する事項

 

 

◇役割分担5「活動負荷最小・ノウハウ残らず」
 お客さま:資料提供、現場手配・調整

 私ども :資料・案作成

 

非常にまれなケースですね(^−^) 私どもが改善・改革案作成の責任を持つパ
ターンです。念のために申し上げますが、人事権もありませんので実施ではありま

せん。一般的に、このようなパターンは技術コンサルティングと呼ばれる領域にな
ります。たとえば、物流改善案を作る、製造現場の設備改造案を作る、製品のコス

ト低減案を作る、金型の設計提案をおこなうなどです。一部可能な領域もあります
が、基本的には対象外としています

 

私どもがおこなうコンサルティングは、あくまでもお客さまの持つ強み・固有技術
・人材を生かし、知恵をより引き出す方向に活動しつつ、お客さま自身の目標達成

に至る企画とその実施促進にあります。お手伝いにより、いろんな制約で活用され
ていなかったお客さまの潜在力が、引き出される例が多く見られます。プロジェク

ト活動は人材発掘の場でもあるゆえんです

 

ただ、私どものもコンサルティングにも技術はもちろんあります。必ずしもコンサ
ルティング特有のものだけではありませんが、たとえば次のとおりです

 

 ゝコンサルティング技術
  私どもの世界では方法論と呼ばれるものです。

  改善の進めかた(ジョブプランと呼ぶ、情報収集から課題抽出、課題の評価、
  経営適合性の判断方法、行動計画の作り方、実施サポートに至るコンサルティ

  ングそのものの進めかた)、アイディア発想、体系化、プレゼンテーション、
  課題の発見方法(本メルマガの背景にある全体最適の考えかた等)

 

 ゝ改善技術
  IE、VE、機能研究、購入コスト基準、アイディア発想・体系化、ダイヤグ

  ラム編成、PERT、ディシジョン・テーブル、サンプリング技法、各種のシ
  ミュレーション方法

 

 ゝコンサルティングに必要な知識
  管理会計、設備設計など、個々の分野に要求される基礎的な知識があれば、ベ

  ターですが必須ではありません。とくに、製造、物流、営業などの分野では、
  実務経験がないとコンサルティングは困難です。私どもも、その意味で新卒採

  用はおこなっておりません。
  実務をやれる知識があるのと、人に教えられる、コンサルティングに活用でき

  るレベルには相当の開きがあります。この辺は、私どもの業界に飛び込んでか
  ら身につけるしかないでしょうね(^−^)

  私どものコンサルティング分野であれば、とくに必要な実務経験は問いません
  が、ある程度の年数と管理職経験者であれば、よりベターです

 

 *ここでいう技術とは、系統立ったプラン活用で実効が上がる方法を指していま
  す。社会科学の分野では、まったく新しい技術はほとんど存在しません。既存

  の方法を組み合わせたり、新たな組み合わせを考え、従来よりも安定的に効果
  が上がるようになれば、まさに技術です。コンサルティングは知恵の世界です

 

 

◆実質6案目の分担「作業会合」

 

これまで挙げた役割分担の区分には入れていませんが、作業会合による進めかたが
あります。実質6つ目の役割分担に相当するものです

 

忙しいプロジェクトメンバーが多く、日常業務に戻ると資料作り等できない場合。
また、メンバーのかた自身では、知識等の不足によりまとめられないときにおこな

う方法です。会合日と時間を決め、会合中に資料作り等の作業をおこないつつまと
めていくことになります

 

コンサルタントの役割は、資料作りに必要な知識の講義、作り方の指導、質問に答
えるなどにくわえ、作業そのものを分担することもあります。私どもから見ると、

あまり実務を請けすぎないことが肝要な気がします。多くを引き受けると頼めば
やってくれる式の関係が生まれ、結果としてメンバーの育成になりません。頃合い

が難しいですね(^∧^)

 

作業会合による進めかた採用は、小生がこの世界に足を踏み入れた25年も前からあ
りました。その意味では、珍しくはないんですが内容によりけりです。詳細につい

ては、号を改めて紹介したいと思います。とくに、コンサルティングのアウトプッ
トが定着しにくい企業では、本進めかたの取り入れを工夫することが必要です

 

 

◆変わってきた役割分担

 

長い目で見れば、役割分担も変わってきています。とくに、企業の少数精鋭主義
化、派遣・請負・パートの採用比率増加など、熟練者が少なくなってきたことも影

響し、プロジェクト活動に振り向ける余力の縮小化傾向が顕著です

 

企業の事情は異なりますが、以前はパターン2と3の組み合わせで活動する例が圧
倒的でした。ただ最近では、全体として役割分担4のコンサルティングファーム側

負荷を増やす方向の依頼が増えています。くわえて、会合中に作業をおこないつつ
案をまとめていく作業会合も増える傾向です。企業自身でこなすことと、コンサル

ティングファームなど、外部委託化の傾向は一層続くのではないでしょうか

編集後記

経営コンサルティングは、経営活動におけるワンポイントリリーフの役割を持って
います。私どもは、あくまでも黒子です

 

経済環境も好転の兆しが見えてきたようです。反面、業種により、まだまだ厳しい
状況が続くことも予測されています。厳しいときこそチャンスと捉え、経営課題の

解決に前向きに取り組んでいただきたいものです。楽観的な性格と言われますが、
そうでなければ、この原稿を飲みながら書いていません(^−^)

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう(^.^/)))~~~bye!!