収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2009/09/14 No.29

【目次】

【まえがき】大腸検査
1.利益感度分析

【まえがき】大腸検査

こんにちは 前田です!
まえがきが少々長くなっています。それから、あまりきれいなお話しではありませ

んが、後学のためもあり体験談を紹介させて下さい。まえがきは、飛ばして読んで
いただいて一向に構いません。念のため申し添えました(^-^)

 

 

◆大腸検査の結果は無罪放免

 

先日、初めて大腸検査を受診。結果は、組織採取もなく無罪放免でした\(^o^)/

 

7月末に人間ドックを受診、口頭にて大腸検査を申し渡されたのです。正式には、8
月13日に人間ドックの検査結果報告書と紹介状を郵送にて受領。8月19日、紹介状持

参の予約なし外来で、検査予約のため内科を受診。診察、C型肝炎の検査用の血液
採取、大腸検査日の予約で、朝8時過ぎに通院し終了が10時半でした(>.<)

 

 

◆これからの受診者向け紹介

 

人間ドックの病院ではなく、大腸検査は自宅近くの蕨市立病院にしました。花粉の
時期を除いて、小生は病院に縁がありません。近くの市立病院も、通院は過去2回だ

けです。そのため、C型肝炎ウイルス確認の血液検査が必要とのことでした。ちな
みに、小生はC型肝炎ウイルスは持っていません(^v^)

 

検査前3日間は食事制限を指示されました。腸の中に残りやすい繊維質や油ものを避
けるようになっています。海草類、長ネギ、果物は食べないようにとのことです。

食べられないものに、好きなものが多いと感じるのはなぜでしょうか(?_?)

 

 

◆検査当日の様子

 

さて、大腸検査当日ですが、朝9時半から14時半までかかっています。腸の動きを鈍
くする薬を注射で投与されているため終了後も、すぐには食事できません。終了後

の休憩を入れると、まともなことができるようになったのは16時頃です。まる1日
の検査になりますよと言われていたのが、ようやく分かりました(^v^)

 

 

◆大腸検査?

 

大腸検査したことのないかた向けに内容を紹介します。検査を申し渡されたのは、
人間ドックの検便で便潜血陽性と診断され「要精密検査」となったためです。大腸

検査は、肛門からスコープ(細長い管状のカメラ)を入れて腸の中を見る検査なん
です(>_<)

 

 

◆ニフレック2リットル飲む

 

そのため、腸の中を洗い流す液(下剤)を飲んで、腸がきれいになってから検査を
始めます。担当医は消化器内科です。当日の受診は女性2人、小生を含め男性2人の

計4人。普段着のままテーブルに座るよう指示があります。目の前に、検査案内書が
A4・2頁、目盛付き350cc紙コップ1個、ニフレック(下剤)2リットル入り蓋付きポ

リエチレン容器1つ、薬剤を飲んだ記録等のA4版記入用紙1枚、ボールペン1本です

 

9時半ちょうどから、200ccずつ薬剤を10分おきに飲むよう指示されました。1時間半
かかることになります。スポーツドリンクのようなレモン味の透明な液体で、冷や

していますので割と飲みやすいですね(^−^)

 

 

◆トイレと仲良くなりました

 

さあ、大変です。5回飲み終えた当たりから、トイレに駆け込むことになります。向
かいの女性のかた(70才位)は、便秘で毎日薬を服用しているとのお話し。こんな

の飲んでも出ないわよ…と言っていたのですが、7〜8回目当たりからトイレに駆け
込むようになりました(>_<)

 

 

◆飲み足りなくてスポーツドリンクを補充

 

最初は、2リットルも飲めないと思っていたのですが、意外にも飲めるんですね。何
か物足りなくて、院内の自動販売機で500ccのスポーツドリンクを買って飲みました。

なぜか、のどが渇くんです(?_?)

 

 

◆トイレは7回

 

数回トイレに通ったあとは、「出したもの」を看護師さんに確認してもらうよう指
示されました。そのうち、何も出なくなってきます。多い人で10回、小生は7回でし

た。きれいになった人から検査開始とのことです

 

 

◆美人の若い女医さんが担当医

 

小生が一番最初に指名されました。検査用の服に着替え、腸の働きを鈍くする注射
を受けます。この注射が痛いんです。後ろに開口部があるパンツをはき、ガウン状

の服を着ます。午後2時前に検査開始、美人の若い女の先生です。検査そのものは、
10分程度と思います。自分の腸の中をテレビで見ながら、良く血が出るのはここ何

ですが何ともありませんね、ここが盲腸ですよ、などと解説してくれます。きれい
なものです(∩_∩)

 

◆腸の中はきれいでした

 

結果は何の異常も発見されませんでした。組織採取もないので、再度の来院も不要
ですと告げられました。先生、看護師さんにお礼を言い、検査待ちの皆さんに、お

先に失礼しますと告げ検査室を後にしました。あとは、会計で診察代5,580円を支
払って終了です

 

本を持ち込んでいたせいか、意外にあっという間という感じでした。何事も楽し
んで望めば、未来は明るいものです(苦笑)

夕方のビールは美味しかったです。ほんと(=^^=)

1.利益感度分析

管理会計の便利なツールの一つとして利益感度分析があります。一般に、感度分析
は分析対象となるアウトプットをいくつかの変数に分解し、その変数が変動したと

き、アウトプットにどの程度の影響を与えるかを調べる分析手法のことを言います

 

 

◆利益感度分析とは

 

ここでいう利益とは、営業利益を指しています。したがって、利益感度分析とは営
業利益の算出式を構成する変数の変化による、営業利益増減への影響度を明らかに

することです。当分析のもととなるデータ(変数)は、営業利益算出に至る流れを
分解して得られます。次のとおりです

 

営業利益=売上高−変動費−固定費
    =限界利益−固定費

    =平均売上単価×売上数量−変動単価×売上数量−固定費

 

 *売上高−変動費=限界利益
 *限界利益は貢献利益と呼ぶことが多い。ほかに、付加価値、変動利益と呼ぶ

  こともある

 

 

◆利益感度分析の例

 

営業利益算出式の分解により、4つの変数が得られます。右辺の平均売上単価、売上
数量、変動単価、固定費の4つです。これら変数を、想定される範囲の数値に置き換

えて営業利益がどのように変化するか、次の例で見ていきましょう。本来は、横の
表形式なのですが都合上、縦に並べます。数量単位は個、金額は円です。分かりや

すくするため、単純な数値にしています
(後段には、そのほかの項目も盛り込んだ利益感度分析の見方と下記の例を掲載

 しています)

 

ケース     1  2  3  4  5  6  7  8  9
平均売上単価  50  60  35  30  15  50  50  50  40

変動単価    20  20  20  20  20  35  20  20  18
単位限界利益  30  40  15  10  -5  15  30  30  22

売上数量    20  20  20  20  20  20  10  20  30
売上高    1000 1200 700 600 300 1000 500 1000 1200

変動費     400 400 400 400 400 700 200 400 540
限界利益    600 800 300 200 -100 300 300 600 660

固定費     300 300 300 300 300 300 300 600 270
営業利益    300 500  0 -100 -400  0  0  0 390

損益分岐指数 0.5 0.38 1.0 1.5    1.0 1.0 1.0 0.41

 

*損益分岐指数の説明は後段◆損益分岐指数を参照

 

ケース1〜8は変数を一つだけ変化させたときの例です。そのうち、損益分岐指数が
1.0となっているケース3・6・7は、損益分岐点を示しています。内容は、次項に掲

げました

 

 

◆各ケースの見方

 

ケース1(基準)
 現状(営業利益300円、営業利益率30%)

 

ケース2(単価値上げ)
 平均売上単価10円値上げ、60円に変更(営業利益500円、営業利益率50%)

 

ケース3(損益分岐点・単価まで値下げ)
 平均売上単価15円値下げ、35円に変更(営業利益0)

 損益分岐点・平均売上単価35円のケース

 

ケース4(損益分岐点を下回る単価まで値下げ)
 平均売上単価20円値下げ、30円に変更(営業利益-100)

 限界利益が黒で、営業利益が赤。この場合の採算を擬似出血と呼びます。限界利
 益が黒となっていますから、全社的に見れば営業利益増に貢献しており、これ以

 上の利益を得られる製品がなければ、販売は継続されるべきです

 

ケース5(損益分岐点をさらに下回る単価まで値下げ)
 平均売上単価35円値下げ、15円に変更(営業利益-400)

 変動単価を下回る売れば売るほど赤字が増えるケース。この場合の採算を真性出
 血と呼びます。政策的配慮が必要な場合を除き、販売中止が妥当な選択です

 

ケース6(損益分岐点に達するまでの原料値上げ受入)
 原材料価格の値上げで、変動単価が15円上がり35円に改訂(営業利益0)

 損益分岐点・変動単価35円のケース

 

ケース7(損益分岐点・売上数量まで数量減少)
 売上数量が10個減少、損益分岐点・売上数量10個のケース(営業利益0)

 

ケース8(損益分岐点・固定費まで固定費を増加)
 固定費が300円上がり、損益分岐点・固定費600円のケース(営業利益0)

 製造設備の更新、人件費の上昇など、何らかの固定費が増加した場合の試算

 

ケース9(各変数の増減が複合的に発生)
 各変数の組み合わせ例。平均売上単価50→40円、変動単価20→18円、

 売上数量20→30個、固定費300→270円にそれぞれ変化し採算が改善された例
 (営業利益300→390円に増加、営業利益率32.5%に増)

 実際は、このケース9のような例が多い。いろいろな条件でシミュレーションする
 ことが可能

 

 

◆損益分岐指数(第28号とほぼ同じ内容)

 

損益分岐指数は、固定費を限界利益で割って算出する損益の状況判断に役立つ指数
で、次のように判定します

 

F÷mPQ     <1 利益計上(目標0.7以下)
         =1 損益分岐点(=BEP)

         >1 必要売上倍率

 

F:fixed cost、固定費、mPQ:限界利益(限界利益=売上高−変動費)
m:marginal profit ratio、限界利益率=限界利益÷売上高、

P:price、平均売上単価、Q:quantity、売上数量
PQ:売上高、BEP:break-even point 損益分岐点

 

損益分岐指数1未満が、営業利益計上の状態です。従来の損益分岐点比率では70%
以上が優良です。損益分岐指数では0.7と表され同様に解釈します。損益分岐指数1

が損益分岐点、当該売上高が損益分岐点売上高です。従来の損益分岐点分析では、
損益分岐点売上高を算出したことになります

 

営業利益が赤字のときは、損益分岐指数が1を超えます。このときの指数は、黒字
化まで売上高が、あと何倍必要なのかを表す意味です。たとえば、同指数が1.5のと

きは、現状売上高が1.5倍超になれば黒字化します。したがって、損益分岐指数が1
を超える場合の指数を必要売上倍率と呼びます

 

 

◆どんなときに使うか

 

利益感度分析を見ていただいてお分かりのように、次のようなケースで検討するこ
とが多いでしょう

 

・客先別・アイテム別の採算性を確認
・新規客先への販売価格設定

・販売予算と実績の差異分析
・採算改善シナリオ作成(本格的には別資料必要)

・客先からの値下げ要請に対する損益への影響把握と対応策検討
・原材料の値上げ受け入れの幅検討

・変動費の低減目標検討
・製造原価の低減目標設定に役立てる

・設備投資などの固定費増の影響把握

 

ここに掲げたのは、ほんの一例に過ぎません。実態に応じて、シミュレーションで
きるようにしたいものです

 

 

◆分析の留意点

 

利益感度分析に限らないのですが、固定費の配賦に留意することが欠かせません。
ここで言う固定費とは、販売費および一般管理費が相当します。販売部門が、客先

の採算改善策を策定中としましょう。この場合の固定費の配賦方法が、いくつか考
えられます

 

・予算売上高の一定率を期中固定。ただし、販売費には自部門経費のみ含む
・固定費は年度内でも売上高に比例。ただし、販売費には自部門経費のみ含む

・固定費に自部門の販売費も込みで、予算売上高の一定率を期中は固定
・固定費に自部門の販売費も込みで、固定費は年度内でも売上高に比例

 

固定費の配賦も実態応じて検討することが必要になります。要は、部門の利害より
全社の営業利益増大に貢献しやすい観点から、考えることが重要です。売上高に占

める販管費率が高い企業では、とくに気を配ることが欠かせません

利益感度分析例

利益感度分析の見方を紹介します。
損益分岐値とは、損益分岐点・平均売上単価、損益分岐点・変動単価、損益分岐点・売上数量、損益分岐点・固定費をそれぞれ意味します

 

利益感度分析とは

 

本文の利益感度分析を表にしたものです

 

利益感度分析例

編集後記

利益感度分析について紹介しました。あくまでも手段です。問題は、どのように使
うのかにかかってきます。狙いは、もちろん採算改善です。しかし、企業内の複数

部門にまたがる課題が見落とされがちになっているケースが目に付きます

 

この分析を使う立場となるのは、販売部門が多いわけですが、どうしても販売側の
みの改善・改革シナリオ立案に偏りがちなことです。変動費一つをとっても、製造

側の関与が大きいのですが、販売・製造の両部門共同での取り組みが苦手な企業が
少なくありません。販売側が持っている可能性をより引き出すためにも、部門間に

わたる取り組みのしかたに工夫が必要と常々思っています。部門間にまたがる課題
と認識するためにも、統制指標の設定と推進体制が重要です

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう(^.^/)))~~~bye!!