収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2009/12/07 No.39

【目次】

1.アイテム削減の基準

まえがき

こんにちは 前田です!

 

◆落ち葉拾いの毎日

 

自宅玄関の植え込みに白木蓮があります。幼木を植えてから7年弱。毎年のことです
が、初冬のこの時期は毎日落ち葉拾いです。たまに、木を揺さぶって枯れ葉を強制

的に落とすこともあります(∩_∩)

 

ご近所の人いわく「毎年春には楽しませてくれるんだから、落ち葉拾いくらいしょ
うがないわね」と。本当にそのとおりです。木を揺さぶりながら、思わず「ありが

とう、揺さぶってごめんね」とつぶやきました

 

今年は、3月10日に開花。96輪の花を付けてくれました。3月20日に写真を撮って数
えた結果です。翌3月21日には、東京と家の向かいの公園の桜が開花。ちなみに、

小生のWebサイト起ち上げが同じ今年の3月22日でした

 

 

◆ご相談の多い「アイテム削減基準」

 

今回は、お客さまとの席上で、何かと話題に上ることが多いアイテム削減の基準に
ついて紹介します。実際にコンサルティングでおこなっている、エキス部分のみを

取り出した内容です。以下の内容は、ご相談時にも同様に活用しています

 

本文でも触れていますが、アイテム削減は複数部門にまたがる課題の典型例です。
部分最適ではなく、全体的な観点からの判断基準が求められます。その判断基準設

定には、管理会計の助けが有効です。一部注釈を付けていますが、ここでは財務会
計を採用する企業の実例を紹介します

1.アイテム削減の基準

◆アイテム増減に定量的判断基準なし

 

以前メルマガで、アイテム削減を業務用ハンバーグの実例で紹介したことがありま
す(第21号)。ほかに、大手住宅機器メーカーの品揃えを増やす例、コンクリート

パイル(建物が安定するように地中に埋め込む杭(くい))のアイテム数を採りあげ
ました。いずれにも共通しているのは、次のとおりです

 

・営業・顧客のアイテム増要請
・物流・生産主導によるアイテムの強制削減

・アイテム増減を収益から判断する基準がない
・アイテム別損益の把握がされてない

 

このケースでは、増やす場合も、削減するときも、収益とアイテムの関連を見てい
ません。見ていないなといっても、担当者はいずれも悪影響があることは認識され

ています。そこで、業務用ハンバーグメーカーでは、堪忍袋の緒が切れる段階
((>.<))にいたって、半ば強制的にアイテム削減に踏み切っているわけです。

この段階では、営業側も削減を黙認しています

 

*用語「収益」
 顧客の望む効用と満足提供によって得られる対価、またはマーケットから得られ

 る売上を指す。製品は、マーケットから売上を獲得するための一方策と見る

 

*用語「収益改善」
 収益改善という場合には、売上高と利益の増加、あるいはコスト低減に寄与する

 意味で使う

 

 

◆異なる部門別見解

 

事例以外の企業における実態は、どうなっていると思いますか (?_?)
やはり、アイテム増減を収益に換算する企業は希少です。一般に、当該増減への見

解は立場によっても異なります。次のとおりです

 

・販売部門:顧客要請のアイテム増が売上増に貢献と歓迎
・生産部門:小ロット生産になり生産効率悪化、在庫増になると懸念

 

 

◆アイテム増減は業際間課題

 

アイテム増減は、業際間課題の典型例です。部門別の見解も異なり、全体最適解を
判断する基準があれば、より望ましいことはいうまでもありません。この判断基準

を収益でおこなうことを推奨しています。その基準が統制指標に当たります。
反面、管理会計の導入が必須です

 

*用語「業際間課題」
 業際間課題とは、複数部門が協同でおこなうべき課題であり、部門横断の最適解

 が必要な事項を指す。全社の収益改善に寄与する観点から判断が求められること
 が多いのも特徴である

 

次の段落から、実際の進めかたのポイントを述べたものです

 

 

◆アイテム削減フィルターとポイント

 

アイテム削減のケースを採りあげ、どんな判断基準が必要か見ていきましょう。ア
イテム削減をおこなう場合は、次のフィルター設定と手続きを推奨します。フィル

ターは、アイテム増減時の判断基準です。それらの基準は、事前に関係者で討議の
うえ設定します。基準設定には、アイテム別販売数量・金額のABC分析を用いる

ことも有効な方策の一つです。とりあえず、全体の進めかたに相当する項目を紹介
し、ポイントとなる部分を後段でもう少し解説します

 

a.アイテム削減時のフィルター設定
 当フィルターによるプラスとマイナスを合計し、削減時の効果がどの位あるか判

 断します。ここで効果が得られなければ、削減対象としません

 

・売上高、年間販売数量が一定基準以下
・赤字品など採算が基準以下

・削減による損失の定量化
・生産余力活用による定量効果

・望ましくは「採算分析」の活用を推奨
 採算分析が可能になれば、毎期末など、任意の時期にアイテム削減フィルター適

 用が可能(管理会計導入のメリット(∩_∩))

 

*用語「採算分析」
 採算分析は、固定費の回収実態を知ることであり、管理会計導入により可能とな

 る。ここでは、アイテム別に営業利益が黒か赤かなど実質的な損益分岐点分析を
 おこない、販売継続の妥当性判断を定量的におこなうことを指す

 

b.アイテム増加時のフィルター設定
・許可制とする

 新規アイテム申請書による一定の採算性を確認。アイテム増加後、予実績管理可
 能にするために書面で確認します

 

c.営業担当者の声反映
・国内外営業から意見聴取(アイテム削減時)

 意見聴取の狙いは、アイテム削減時の顧客対応が十分か、今後の販促の支障にな
 らないか、現売上に大きな支障とならないかの確認です

 

d.削減対象在庫の処分月間設定
・報奨制度設定

 アイテム削減時の残在庫を販売する処分促進の報奨制度です。残在庫の営業担当
 者は、特定のかたが多いのも事実です。そのため、営業部門内から反対意見が出

 てくることもありますが、小生は処分促進のため報奨を推奨しています。反対意
 見というのは、自分で売れない在庫を増やしておいて、処分したら 報奨される

 ことに抵抗があることです(=^^=)
・処分促進月間中は、限界利益ゼロの販売価格設定を容認

 月間は3カ月間が限度です。これ以上長くなるとマンネリ化し、悪影響が懸念され
 ます。処分しきれなかった分は、廃棄処分すべきです。限界利益が分からない場

 合は、変動費を回収できるなら良しとします

 

e.運用のしくみ設定
・標準品(在庫持つ)、特注品(原則在庫持たない)に区分

・アイテム増加時のルール設定
・各部門の役割分担を新規ルール化

 毎期末に削減フィルターによる検証織り込みを推奨。ルールのまとめかたは、業
 務フロー、規定類への設定などあります。詳細は別の機会に譲りますが、できる

 なら役割分担マップの形でまとめるのを推奨します

 

*用語「役割分担マップ」
 基本業務フローの作業・業務処理の主担当部署および副担当を表したマネジメン

 トサイクルの運用ルールを定めた表形式の業務運用基準

 

「a.アイテム削減時のフィルター設定」のポイント部分を解説します

 

 

◆アイテム削減の損失定量化

 

アイテム削減時の損失とは、販売中止時の損失を指しています。通常は、過去1年間
の当該アイテムの売上による限界利益です。限界利益を算出できない場合は、便宜

的に営業総利益(粗利)あるいは営業利益を利用します。したがって、アイテム削
減の損失定量化とは、削減対象アイテムの過去1年間の限界利益合計、あるいは粗利

・営業利益合計のことです

 

 

◆生産余力活用による定量効果

 

過去1年間の販売数量に相当する削減対象アイテムの生産能力を、生産時間に換算し
ます。次は、この余力時間による売れ筋製品の生産可能数量の算出です。この場合

の留意事項があります。今以上に造っても売れる製品でないと、この試算は成り立
ちません。したがって、造っても売れるという条件で、生産余力活用による定量効

果の算出が可能となります

 

売上単価に変化が生じる場合は、それを見込むことが必要です。通常ケースでは、
現単価と同様に設定しても量の多い製品なため、問題が小さいと考えられます。結

果として、生産余力時間で造った製品の限界利益、あるいは粗利・営業利益が算出
できます

 

 

◆その他の定量効果

 

前項「a.アイテム削減時のフィルター設定」では、効果算出の項目に入れていませ
んが、ケースによりプラスすることが可能です。削減対象アイテム削減による、業

務経費が対象となります。実質的な効果とならない限り、この経費を効果に含める
ことは得策ではありません。ケースによって判断が必要です

 

 

◆重要な増加時のフィルター

 

アイテム削減のルールと効果だけでなく、もういっぽうの増加時のフィルターを設
定することが欠かせません。考えかたは「儲かるならアイテム増を認める」ことに

尽きます。単純明快です(=^^=)

 

問題は、アイテム増ルールの明確化と、予実績管理の徹底です。アイテム増を申請
する側は、必要に迫られておこなうことが多いため、どうしてもよく見せようと

「作文する」ことがあります。しかし、儲かる可能性を吟味してやらないよりも、
やってみて駄目ならやめた方が、小生はベターと考えます(^0^)

 

そこに、予実績管理の重要性があるのです。望ましいのは、申請時の利益予測と任
意の時期における顧客別・アイテム別採算分析をできるしくみが欲しいのです

(=標準原価制度)

 

*用語「標準原価制度」
 管理会計導入によって、販売・生産・物流の業務連鎖統制に役立つ原価情報提供を

 狙いとしたしくみを指す

編集後記

寒い日が多くなってきました。新型インフルエンザにはマスク着用、うがいなどで
予防したいものです。もう一つなんといっても、体力維持です。疲れが風邪やその

ほかの病気の原因となりかねません。年末は、一段と飲む機会が多くなりがちです
(汗)(=^^=)

まあ、気をつけましょう(^^)

 

これから泳ぎに行きます(12月6日(日)15:10)。今日の目標は2,000mです。先週
は、1,600m泳いで右足のふくらはぎがつりはじめ中止しました(^0^)

 

 

◆突然の悲報

 

コンサルティング客先チームリーダーの突然の悲報をお伺いしました。
11月30日(月)、朝方、心筋梗塞のためご逝去の由、心からお悔やみ申し上げます

 m(_ _)m
(株)NBCメッシュテック、化成品製造部長の故堀内孝信氏です。

11月26日に話をしたばかりでした。約5年間のお付き合いです(涙)

 

ご遺族の方におかれましても、ご傷心はさぞ深いことと拝察いたしますが、何とぞ
お気を取り直されて、ご自愛のほどお祈り申し上げます。謹んでご冥福をお祈り申

し上げます m(_ _)m

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう(^.^/)))~~~bye!!