収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2010/01/25 No.44
【目次】
1.量から収益管理への転換
まえがき
こんにちは 前田です!
昨1月23日(土)は、都内で開催した経済セミナーに行ってました。出版社主催で、10
時から夕方7時頃までの、まるまる1日のセミナーで有料です。アメリカと同時中継
のインターネット回線による講演もあり、ほとんど居眠りする間もありませんでし
た
その中で、今年の米ドルとユーロのゆくえを紹介します。ロンドン在住の経済通の
方です。ただし、当たるかどうかは分かりませんが … とは本人の弁
(=^^=)
・米ドルは、今年の春(2月下旬から3月末)に、一時下落するものの、その後、
上昇するとの予測。一般に言われている米国経済の危うさとは別に、意外にま
だまだ基軸通貨としてしばらくは持つのではないかとのこと。輸出企業にとっ
ては朗報に聞こえます
・ユーロは、まもなく下がり始め、3〜5月頃には一旦上昇を見せるものの、その後
また下がっていくだろうとしています。ユーロ圏の中でギリシャ問題が背景にあ
るとのことでした
さて、実際どうなることやら
香港在住の企業株式を中心に運用しているファンドマネージャーのかたの講演で、
おもしろいことを聴けました。私どもコンサルタントしても参考になります。業績
が悪化した企業の決算発表等で、その原因を景気のせいにする企業の株は、間違っ
ても買わないほうがいいとのことです
世の中には、リーマンショックがあっても業績を伸ばしている優良企業もある。し
かし、景気のせいにして言い訳する企業は問題ありとしています。真意は、業績悪
化の原因は経営能力にありと言いたかったようです
1.量から収益管理への転換
先日、お客さまとの面談で「工場は量管理が中心となっているので…」などと、小
生が申し上げましたら、どうも話が通じていなかったようです。私どもコンサルタ
ント同士では、何気なく使っている量管理ですが、一般的な使い方ではなかったよ
うですね (汗)
ちなみに、Googleで「量管理」とキーワード検索をすると2070万件もヒットしまし
た。上位は、ガスの排出量管理、充電の残量管理です。そこで、これまで説明不足
だったかもしれない、量管理から収益への管理に移行すべきとの中身を述べること
にします (∩_∩)
量管理の用語は、本メルマガでこれまでにも使っています。たとえば、昨年12月14
日発行のNo.40では、メーカーの特徴の一つとして挙げました。その部分を抜粋で、
紹介します
−−−−−−−−−−−−−−(No.40からの再録)
◆生産は量管理中心(特徴4)
生産日程計画の立案・変更時には、量の確保、品質維持、生産性の確保に腐心して
います。しかし、何を持って変更した生産日程計画を良しとするか、その判断基準
に製造原価や収益変動は、ほとんどのケースで採用されていません
このような企業においても、生産計画の実担当者にお伺いすると、製造原価が安く
なるように全体として考えているとお聞きすることが多いものです。実際はどうで
しょうか。具体的な数値で答えていただけることはほぼありません(>.<)
−−−−−−−−−−−−−−(ここまでが再録)
以前ご紹介の量管理は以上ですが、定義は次のとおりです。量・収益は、いずれも
メーカーを対象に解説します。業種が異なると、内容が変わってくるからです
◆量管理
メーカーにおける量管理とは、品質と生産性を維持し生産量確保に重点を置く生産
のしくみをいいます
量管理は必須ですが、もう一つの視点、収益管理を加えていただきたいのです。つ
まり、製造原価と営業利益の目標に対する達成度と予実管理が欠かせません。日本
では多くのメーカーが、量管理中心の生産・製造管理となっています。多くという
より、ほとんどのメーカーと言っても過言ではありませんが (>_<)
量管理について申し上げましたので、同様に収益管理についても触れます
◆収益管理
メーカーにおける収益管理とは、収益を直接生み出す販売・生産・物流・開発のラ
イン部門を、部門別業績把握が可能な事業別・地域別・工場別・製品別・工程別な
ど極力小さい単位に区分し、予実績把握と達成度引き上げのしくみをいいます
ここでいう業績は部門によって変わりますが、収益向上に寄与する売上高、売上数
量、平均売上単価、生産量、発生費用、部門目標、管理・統制指標等を指していま
す。同様に、しくみとはPDCAのマネジメントサイクルを回すことです
◆部門別業績
話がだんだん細かくなってきましたが、以下、製造部門の業績把握を概略見ること
にします。メーカーの収益管理の方法は、部門別業績管理が代表例です。目標ある
いは標準原価と実際原価を算出し、差異をなくす、または標準原価を下回る方向に
原価差異の拡大を図ることがもっとも効果的とされます (^−^)
◆職場単位の要素目標
この場合のポイントは、目標をなるべく小さな要素目標まで細分化し、単独職場で
コントロール可能な目標設定をすることです。職場責任者の権限でコントロールで
きる目標であれば、努力や工夫と、結果としての業績比較ができ、達成度も自ら判
断可能となります。やる気醸成にも有効です (=^^=)
◆目標達成度は原価と利益による
目標(要素目標)に対する業績把握は、生産実績および原価算出がポイントです。
順を追って箇条書きします
1.目標設定の職場単位の生産実績・原価算出
2.製造費の変動・固定費への区分
3.製造原価算出
4.販売費の変動・固定費への区分
5.限界利益の算出
6.一般管理費の配賦
7.営業利益の算出
製造段階では、実際原価算出とPDCAのマネジメントサイクル実践です。現場か
ら見れば、自らの工夫と努力が原価低減に反映され、営業利益向上への貢献度も分
かります (∩_∩)
◆収益管理は原価要素の細分化如何
製造部門の収益管理は、原価計算の単位をどこまで細分化できるかにかかっていま
す。しかし、単に理屈にしたがって原価算出の単位を細かくすることはお薦めでき
ません。現場での実績情報収集と入力手間が負担となるからです
原価変動が分かる管理指標、収益変動も分かる統制指標により、原価だけに頼らな
い収益管理を、私どもは提案しています。同時に、指標は部分最適ではなく、全体
最適の判断基準とも言えるのです
◆予想変動PL作成の半自動化
ここで半自動化と言っているのは、すべて情報システム化するのではなく、人の判
断を入れながら作成する意味です
それでは、実際どのように運用すればいいのでしょうか。ポイントは、予想変動
PL(予想変動損益計算書)を任意の時期に作成できることです。予想変動PL作
成により、販売計画、生産計画および設備投資案件別の損益を短時間で明らかにす
ることができます
生産面では、生産日程計画立案時、割り込み等による当該計画変更時の営業利益算
出が可能です。もちろん、利益計画立案にも大きく貢献できます。ぜひ、各社で実
現を図って欲しいものです (^0^)
編集後記
今年は、やはり暖冬なんですね(^−^)
寒いよりも暖かいほうが、さらに雪がなければ、もっといいと思っています。
ただ、花粉の時期がもう目の前に来ているようですね。例年よりは、だいぶ少ない
との予報が出ていますが、やっかいなことに変わりありません。もうそろそろ、漢
方を処方していただこうと思っているこの頃です (^∧^)
ちなみに、小生が花粉症を発症したのは、日本のバブル経済が崩壊した1990年2月と
同じときなんです。何かの関係があるのかもしれません (?_?)
新たに花粉症になった方は、ぜひご一報下さい。共に悩む仲間ができたものとして
大歓迎します m(_ _)m
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!