収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2010/04/12 No.54

【目次】

1.営業から見る収益管理

まえがき

こんにちは 前田です!

 

 

◆最後のお花見日和?

 

今年は桜が長持ちしていますね  (^^)♂♂
今日、4月9日(土)は、気温20度、天気も良く暖かいお花見日和になっています。

自宅向かいの公園の桜が開花したのは3月23日。お昼前から、宴たけなわです。
女子中学生だけ10人くらいのグループも、場所取りしたシートの上でお茶とジュー

スで大にぎわいしています。時折吹く風に桜の花びらが舞い、何ともいい風景です
ね。一本だけまだ満開のものがありますが、そのほかは葉が出ています。先週、

ばっさりと剪定した玄関前の白木蓮も、ようやく葉が出てきました。皆さんの近所
では、いかがですか (=^^=)

 

◆花粉症対策でひと言

 

宴会を横目に、小生は、自転車で片道5km位先の耳鼻咽喉科まで行ってきました。泳
ぐ前の軽い準備運動も兼ねてです。小野医院といいますが、川口駅東口から東京よ

りに数分歩いたところにあります。4週間分の処方なので今期最後です。いつもは、
ヒスタグロビン注射と薬4種類の処方で、診察は季節の最初のみ受けています。この

注射は、アレルギーから身を守る「ヒスタミン抗体」を体内に入れて免疫を作るた
めとのことです。痛いんですよ、これが (>.<)

 

効果はあるのですが、中身はよく分かっていません m(_ _)m

 

 

◆根本治療のご相談

 

受診目的の一つは、先生の診察を今回受けることにあります。先生は昔美人で、遠
目には怖そうに見えますが、聞けば何でも答えてくれる女医さんです (^0^)

 

2〜3年ほど前から、秋にも花粉症の症状が出るようになってきました。以前受けた
血液検査によると、杉花粉だけにアレルギーを持っていると診断されています。質

問項目は次の二つです

 

・なぜ秋にも症状が出るのか知りたい
・花粉症そのものを根本的に直すすべはないのか

 

 

◆秋の症状は花粉以外の要因

 

杉花粉のみのアレルギーだとすると、ほかの花粉のアレルギー発症はまずないだろ
うとのことでした。つぎに、秋にも同じような症状が出るのは、花粉ではなく、ホ

コリなどの別な要因だろうとのお話し。この症状にも花粉症の薬は効くそうで、小
生の場合は一番効果的な漢方の小青竜湯で対応可能と伺いました。いままでも、こ

れを飲むと症状が治まるので服用していますが、同様の対応でいいとのことです

 

 

◆根本的に直すことは困難

 

最後の質問、根本的に直す方法ですが、結論から言うと難しいとの答えが返ってき
ました。以前から話題になっていた「減感作療法」が一つ目の選択肢です。この療

法は、注射で意図的に杉花粉を薄めたアレルゲンを体内に入れ、少しずつ増やして
いくことで、アレルゲンに対する過敏な反応を抑えていく方法です。以前は、町の

病院などでもおこなわれていたそうですが、副作用が出てから、現在は大学病院の
アレルギー科で治療することが大半だそうです。小野医院でも扱っていないとのこ

と。仮に、この療法を受けても、確実に直る保証はなく、2〜3年間毎月治療を受け
る必要があるとのことでした

 

もう一つの方法が、最近注目を浴びている治療法の説明でした。東京都の花粉症対
策、舌下減感作療法があるそうです。舌下減感作療法とは、花粉エキスをパンに含

ませ舌下に2分保持するだけとお聞きしました。根本的治療法としての注射による
減感療法にくらべ、重い副作用は見られず、通院回数も減らせるというのです。

WHO(世界保健機関)も、花粉症の有効安全な治療法として推奨しているそうで
す。ただし、都によれば約7割の患者で有効とされるいっぽうで、効果がない患者も

確認されているとのこと (>.<)

 

 

◆アレルギーを直せるならノーベル賞確実

 

先生も、舌下減感作療法をどこで治療しているのかまでは把握していないとのこと
でした。先生のお話しによれば、花粉症などのアレルギーを根本的に直す治療法が

できればノーベル賞ものだそうです。いろいろ伺った結果、現状の治療を継続する
しかないということになりました (>.<)

1.営業から見る収益管理

販売や営業担当、あるいは同部門から見た収益管理のポイントは何でしょうか?

 

 

◆営業ビジネスプロセス

 

まったく何もない状態から、成約にこぎ着けるまでには一連の業務の流れがありま
す。この営業における業務の流れを、ここでは営業ビジネスプロセスと仮に呼ぶこ

とにしましょう。販売対象には、形のあるモノと、形はないが何らかのサービスを
受けられるケースに分けることも可能です

 

この種の成功法を表わす書籍は、書店に出向けばいやというほど目にします。逆説
的に捉えるなら、これが絶対という正攻法がないからかもしれません(∩_∩)

 

小生は、この専門家でもないし、自ら営業担当をしたこともありません。しかし、
何らかの法則は存在しているはずと考えます。消極的にいうなら、成約に至った成

功体験から学ぶしかないのかもしれません。ただ、どうすれば売れるのかを探究す
ることも必要ですが、どうすれば確実に売れないのか知ることも必要と考えます

 

どのようにすれば売れるのか………はさておき、ここでは一つ一つのやるべきこと
を明らかにすることで、メーカーにおける収益管理の主な項目の検証をします。

採りあげる項目は次のとおりです

 

 

◆営業収益管理の押さえどころ

 

・製品別の限界利益の大きさを知る
・もっとも儲かっているのはどの製品か知る

・限界利益が得られているマーケットを知る
・限界利益増やす経営資源の運用効率向上

・営業見積基準の目的を知り整備する

 

以下順番を追って、この中身を検証していきます

 

*用語「収益管理」
 メーカーにおける収益管理とは、収益を直接生み出す販売・生産・物流・開発の

 ライン部門を、部門別業績把握が可能な事業別・地域別・工場別・製品別・工程
 別など極力小さい単位に区分し、予実績把握と達成度引き上げをはかるしくみを

 いいます。業績は部門によって変わりますが、収益向上に寄与する売上高、売上
 数量、平均売上単価、生産量、発生費用、部門目標、管理・統制指標等を指して

 います。同様に、しくみとはPDCAのマネジメントサイクルを回すことです

 

 

◆儲かる製品を知る(=限界利益の大きさを知る)

 

儲かる製品の判断基準として、メルマガNo.52号でも採りあげました。候補となる見
方は次のとおりです。この中で儲かるための判断基準には、どれを採用しますか?

これが問題です (∩_∩)

 

・売上高の大きさ
・営業利益額の大きさ

・営業利益率の高さ
・投資回収率の高さ、あるいは投資回収期間の短さ

・製造1時間当たりの営業利益額
・製造1時間当たりの限界利益額

・投入単位原料当たりの営業利益額
・投入単位原料当たりの限界利益額

・一人当たりの営業利益額
・一人当たりの限界利益額

 

一つだけ選ぶとしたら、製造1時間当たりの限界利益額が相当します。
以前のメルマガでは、この理由まで細かく説明していません。少し解説します

 

固定費の代表格は、労務費、減価償却費です。この固定費を含んだ製品の営業利益
の大きいほうが、必ずしも儲かっていることとイコールになりません。たとえば、

簡単な数字でみてみましょう。次の例は、製造原価計では同じですが、製造変動費
と製造固定費大小では逆転しています。ともに、営業利益は100ですが、限界利益で

はAが890、Bが490です。次の例の中には書いていませんが、売上数量、売上単価
は同じとしています

 

 ケース1 基準
 製品     A  B  計

 売上高   1000 1000 2000 ←売上高・売上数量同じ
 製造変動費 100  500  600 ←製造変動費が異なる

 販売変動費  10  10  20 ←販売変動費同じ
 変動費計  110  510  620

 限界利益  890  490 1380 ←Aの限界利益が大きい
 製造固定費 500  100  600 ←製造固定費が異なる

 販管固定費 290  290  580 ←販管固定費同じ
 固定費計  790  390 1180

 製造原価計 600  600 1200 ←製造原価同じ
 売上総利益 400  400  800 ←粗利同じ

 販管費計  300  300  600 ←販管費同じ
 営業利益  100  100  200 ←営業利益同じ

 

*製造原価計=製造変動費+製造固定費
*売上総利益(粗利)=売上高−製造原価

*販管費計=販売変動費+販管固定費
*営業利益=限界利益−固定費計 or 売上総利益−販管費

 

 ケース2 Aの売上倍増時
 製品     A  B  計

 売上高   2000 1000 3000
 製造変動費 200  500  700

 販売変動費  20  10  30
 変動費計  220  510  730

 限界利益  1780  490 2270
 製造固定費 500  100  600

 販管固定費 290  290  580
 固定費計  790  390 1180

 製造原価計 700  600 1300
 売上総利益 1300  400 1700

 販管費計  310  300  610
 営業利益  990  100 1090 ←Bの売上高倍増時より大きい

 

 ケース3 Bの売上倍増時
 製品     A  B  計

 売上高   1000 2000 3000
 製造変動費 100 1000 1100

 販売変動費  10  20  30
 変動費計  110 1020 1130

 限界利益  890  980 1870
 製造固定費 500  100  600

 販管固定費 290  290  580
 固定費計  790  390 1180

 製造原価計 600 1100 1700
 売上総利益 400  900 1300

 販管費計  300  310  610
 営業利益  100  590  690 ←Aの売上高倍増時より小さい

 

お分かりいただけたでしょうか (^o^)
現製品の、もっとも営業利益をもたらすモノが何であるか知ることが重要です。

営業努力をより効率的に収益向上に結びつけるためにも、ぜひ知っていいただきた
い項目の筆頭格に挙げられるでしょう。逆に、売上減の影響は、限界利益の大きい

製品ほど被害が大きく現れます。ただ、これだけでは不十分です。次の項目と合わ
せての判断が求められています。

ここまでの結論は、限界利益の大きい製品をより販売すべきとなりました

 

これで納得せず、次の項を見てから最終判断してください

 

◆もっとも儲かっているのはどの製品か知る

 

これも簡単な数字で紹介します。例は前項と同じメーカーのケースです。限界利益
の大きさが販売すべき製品の選択肢となるため、今度は限界利益と製造時間の構成

比による比較です。同じ売上数量ですから、Bの製造時間20%なのに対し、Aが80
%と4倍かかっています。時間当たり構成比の限界利益は、Bが25で、Aの倍以上で

す。造った物が売れる前提ですが、製品Bの販売が製造資源をより効率的に活用で
きるわけです  (^^)♂♂

 

記述「ケース1 基準」に基づき確認お願いします m(_ _)m

 

    限界 製造時間 製造時間当たり
 製品 利益 構成比  の限界利益

  A  890  80    11
  B  490  20    25 ←製造時間当たりでは倍以上儲かる

 合計 1380  100

 

結論は売れる前提ですが、もっとも儲かる製品はBということです  (^^)♂♂

 

 

◆限界利益が得られているマーケットを知る

 

前項にくわえ、限界利益が得られているマーケットあるいは用途を知ることが不可
欠です。建材メーカーを例に採りあげます。メーカーの品揃えは、床材主体です。

床材には、家庭用、オフィスビル用があり、さらに家庭用にもカーペット、木質系
など多岐にわたります。これらの区分を、ここでは用途と呼ぶことにしましょう

 

前項までの区分に、さらに床材を用途別に分類します。前項を例に採れば、製品B
の限界利益490がどの床材の用途で得られているのか分類することです。たとえば、

490のうち家庭用木質系で200、家庭用カーペットで150、家庭用ビニール系長尺シー
トで100などの要領によります。このように分析できる企業は、まだまだ限定される

のが実態です。まず、現状の販売実態の見える化が欠かせません (^-^)

 

 

◆限界利益増やす経営資源の運用効率向上

 

ここで安心してはいけません。より儲けるためには、何をすればいいのかが押さえ
どころです。最初は、単位製造時間当たり限界利益が大きい製品の売上増が最重要

なことに変わりありません

 

それだけではなく、マーケットのニーズを感じ取り、後に続く製品を育成する努力
が必要です。たとえば、製造時間当たり限界利益引き上げの方策を、営業・生産・

物流・開発のライン部門中心に知恵を絞ることが相当します。マーケットの需要伸
長を肌で感じ取るのは営業の役割です φ(..)メモメモ

 

 

◆営業見積基準の整備

 

重要度による順番がやや異なるかもしれませんが、最後に営業見積基準の整備につ
いて述べることにします。営業見積基準の目的はなんだと思いますか (?_?)

 

 

小生はつぎのように考えます

 

◆営業見積基準の目的

 

・コスト競争力を加味できる見積算出方法の提供をする
 限界利益確保、開発費含む償却費算入方法(付加加工費化)が背景にあります。

 とくに、競合他社に見積段階で競り負けることがないよう、これらの基準取り入
 れが重要です

 

・収益向上に寄与する基準売価の設定
 固定費の回収力が分かること、イコール限界利益を知ることが欠かせません。そ

 のため、一般的に使われる売上総利益・率(粗利)の確保を優先させることに留
 まらず、限界利益・率も同時に分かるしくみが求められています

 

*用語「付加加工費」
 一時的費用としての回収ではなく、製品ライフサイクル期間中の合計生産量で回

 収する、総生産量に反比例する加工費。治工具費、金型費等が相当します。さら
 に、前項に述べた比較的小さい開発費も対象です

 

今回、収益管理のポイントとして述べてきた、これらの項目は意外に実践されてい
ません。皆さんの企業ではいかがでしょうか (?_?)

編集後記

今日は土曜日ですが、午後3時過ぎに珍しく泳ぎに行きました。2000m泳いだのです
が、こんなに疲れたのは久しぶりな気がします。連続で泳げなかったためです。ま

あ、その分ビールは美味しかったですね (●^o^●)

 

平日や土曜は、子供のスイミングスクールがあり、夕方までは2〜3コースしか使え
ません。そこで、土曜日に行くことがあっても、夕方5時過ぎが多く、最近は日曜日

のお昼か夕方行くのが普通になっています

 

混んでいるため、長距離を泳ぐ人は邪魔者扱いです。小生の泳いでいたコース
にも途中から、まだ30位と思われる若いご夫婦が平泳ぎを始めました。お二人とも

メタボ系のふくよかな体型をしています m(_ _)m

 

奥様のほうがやや上手いのですが、二人が15m位先に行ってから、小生が泳ぎ始めて
も追いついてしまうのです。追い越しは禁止されていますので、インターバルトレ

ーニングを強いられているようでした (=^^=)

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!