収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2010/06/21 No.63

【目次】

1.収益管理の関心事項

まえがき

こんにちは 前田です!

 

今朝、朝食時にメロンを食べました。毎年、この時期のいただき物です m(_ _)m

 

元々、小生が師事していた書道の先生の息子さんからなんです。先生が亡くなられ
てから、しばらく経ちます。その時の縁で、ずうっと季節を感じる時期にはやり取

りが続いて来ました。昨年、定年後の再就職先(成田空港内に事務所を持つ会社の
幹部)で仕事中、脳梗塞で倒れ入院。手当てが早く、散歩をリハビリに取り入れ順

調に回復していると、先日奥様からお伺いしています。お話しすると、話題が豊富
で実に楽しいご夫婦です。美味しいメロンをいただきながら感謝しています

 

お住まいは、茨城県の鹿島コンビナートがある神栖市(かみすし)ですが、一帯は
メロンが特産のようです。何でも、今年は例年よりも1週間程度遅れているとお聞き

しました。ご主人は、鹿島コンビナート内にある大手企業A社の工場長をやってい
たかたです

 

お返しに、これも例年のごとくですが、じょっぱりストアから奥津軽の特産品を送
らせていただいています。脳梗塞には、お酒厳禁、野菜と魚中心の食事とお聞きし

ました。非常に元気なかたでしたから、人ごとと思えません。お互い気を付けたい
ものです (=^^=)

 

*編集後記では、我が家の猫年齢を計算しています (^-^)

1.収益管理の関心事項

企業内で収益管理を考える場合、どんな事項を知りたいと思いますか?

 

このようにお尋ねすると、実にさまざまな答えが返ってきます。実際の例から紹介
することにします。中には、収益管理だけの問題とは言えませんが、いずれにしろ

収益面から見た悩みの一端とご理解いただきたいと思います。大半のケースで知り
たいことは、関心事の背景にある売上高・製造原価・費用・営業利益の変化です。

まず、収益管理上で知りたいと思われる項目を一覧にし、つづいて、内容を述べて
いくことにします (∩_∩)

 

 

◆企業実務者の収益管理の関心事項

 

・原材料の値上げ
・稼働率の増減

・国内から海外への生産移転
・生産品種の構成

・工場別の生産配分
・リスク対応

・新製品の利益貢献度
・納品リードタイム短縮

 

 

◆原材料の値上げ

 

原材料の値段が上がる場合、月次推移の損益がどのように変わるのか、うまく算出
できないという例が少なからず見られます。合計で半年分の原材料・仕掛品・製品

在庫を抱えているようなケースです。分かっているようで、計算上は意外にやっか
いな部類に入ります。ここでは値上げとしましたが、逆の場合も同様です。もっと

も、安くなるときは問題にされないかも知れません (^0^)

 

多くの企業では、製造原価の原材料単価設定に移動平均法を採用しています。値上
げ後は、徐々に移動平均を押し上げ、それが新単価になった時点で最終的な影響が

分かるわけです。前項の例によれば、ほぼ半年間経過後となります

 

収益管理上では、月次損益に現われる影響を明らかにすることが必要です。同じ悩
みを持つ企業に共通なのは、生産と生産計画の実態が必ずしも把握されていないこ

とに尽きると思います

 

収益管理上からは、生産の実態を踏まえての算出が欠かせません。一度、原材料・
仕掛品・製品在庫に関わる方と相談のうえ試算し、マニュアル化をお薦めします

 (^-^)

 

 

◆稼働率の増減

 

販売量の増減が、そのまま自社工場の稼働率と連動している場合、収益の変化とど
のような関係にあるか知ることが狙いです。造りだめの稼働率向上ではなく、あく

までも販売と連動することが前提です

 

別な面から見ると、量産効果の算出をすることと同じと言えます。ただし、量産効
果は2つの側面から見ることが普通です。1つは生産数量増による製造原価低減、2つ

目は売上数量増による営業利益増を指しています。もちろん、双方とも増加ばかり
でなく、減少する場合も同様に算出可能です

 

したがって、ここでの稼働率の増減は、販売量と生産数量が連動した場合の量産効
果を意味し、売上数量増による量産効果算出と同じことです

 

企業トップも、この計算を指示することが多いとお聞きします。しかし、なかなか
試算と実態が一致せず、信頼性に欠ける例が多いものです。収益管理上は、信頼性

高く算出することが基本中の基本と言えます。一度、試算するといろいろな場面で
使えますので、収益管理に欠かせない小道具になるのではないでしょうか

 

実際の算出方法ですが、おおむね次のようになります。増加することを前提とした
言い方をしていますが、減少する場合は、該当部分を読み替えてください

 

・試算の対象部門・品種選定
 たとえば、事業部門3つの一部門だけの試算とするなどです。現状の変動損益計算

 書は、対象部門で作成します

 

・選定品種の増加数量を見込む
 月別・販売地域別・品種別・販売数量の設定。通常は、売上単価が変わらないも

 のとしますが、条件により適宜変更してください

 

・生産工場への割り付け
 できる限り全社の収益最大化する観点から、工場別に生産量を割り付けます

 

・勘定科目別の変動費・固定費の区分
 製造・販管費の部門別にあらかじめ把握しておくべき項目です

 

・勘定科目別に増分経費の算出
 留意事項として、全社ではなく特定部門のみの販売量増による算出時は、実質増

 加するコストかどうか精査が必要です

 

・対象工場の原価算出(直接原価計算を推奨)
 工場別の総原価による算出で、通常は事足ります。生産量が設定されていますの

 で、製造原価の量産効果も算出可能です

 

・変動損益計算書の作成
 工場別・対象部門計の変動損益計算書により、現状と比較できるようにします。

 対象部門を全社とした場合は、もちろん全社計の変動損益計算書が必要です

 

一度算出を試みると、どこに問題があってうまく行かないのか分かりますので、ぜ
ひ一度挑戦して欲しいものです (=^^=)

 

 

◆国内から海外への生産移転

 

このケースでも、国内生産停止、国内減産・海外増産、海外販売分の現地生産化が
あります。また、国内外の生産品種の変更も同時に進めることが一般的でしょう。

簡単ですが、海外移転時に採用される段階別の典型的な組み合わせを案として、次
に例示します。現状は、国内生産100からのスタートです

 

      国内 海外
 現状計  100   0 現在は海外供給分も国内生産

 高規格品  20   0
 汎用品   60   0

 特殊品   20   0

 

 案1計   50  50 海外販売分の大半を現地生産化
 高規格品  20   0 高品質の高規格品は国内生産

 汎用品   20  40
 特殊品   10  10

 

 案2計   20  80 高規格品以外は国内分も海外生産化
 高規格品  20   0

 汎用品   0  60
 特殊品   0  20

 

 案3計    0  100 すべて海外生産化
 高規格品  0  20

 汎用品   0  60
 特殊品   0  20

 

実際のケースでは、ほかの要因も加わります。原材料の調達方法、マーケット要求
品質に合わせたグレード品揃え、複数工場の生産分担、技術開発の推進体制などで

す。これまでの経験則からすると、一部上場の大手企業でも問題多いテーマと言え
ます

 

収益管理上では、案ごとに売上高、製造原価、営業利益の変化が分かるようにする
ことが求められます。一番お薦めしているのが、現状の変動損益計算書に対し、各

案の変動損益計算書が比較できるように作成することです。結果的に、損益の状況
を比較できます

 

 

◆生産品種の構成

 

高規格品、汎用品、特殊品など、生産品種の構成が変わることです。マーケットの
需要構造変化により、販売品種は変わります。そこで、元々自社で生産していたと

すれば、生産品種の構成変化が収益におよぼす影響を知ることが不可欠です

 

高規格品、汎用品、特殊品の3品種があったとします。この中で、一番儲かっている
品種は、なんだと思いますか (?_?)

 

儲かっているもの差しは、ここでは営業利益ではなく限界利益を用います。この限
界利益額の大きさで見ると、一般にもっとも儲かっているのは汎用品が多いもので

す。仮に今後のマーケット動向から、高規格品がより伸びていくとします。収益管
理上では、どのようにすればいいと思いますか (?_?)

 

まず、儲け頭を定量的に把握することが必要です。何が儲かっているのか分からず
に、改善努力を求めるのは経営上好ましくありません (^0_0^)ナルホド

 

もちろん、定量化したのち、別な品種がより貢献していることがはっきりすれば、
それはそれで正解です。定量化の目的は、投入努力に対する効果測定を可能にする

ことに尽きます。測定できることなしに、効果的な意志決定はあり得ません

 

さて、実際に求められる対策ですが、どうするのが正解でしょうか。本当は、これ
だけの情報でどのようにすればいいと言えないことが普通かも知れません。ここで

は、すべて自社生産と仮にしました。収益力をより高める方策は次のとおりです

 

・汎用品の製造原価低減への優先的取り組み
 当面、儲かるものを、より儲かるように育てることが第一です。汎用品は、生産

 開始後の年数が長いことが多く、改善余地が少ないことも特徴と言えます。しか
 し、投入努力に対する効果は、より大きくなることが多いものです

 

・次は高規格品への取り組み
 マーケットの伸びが期待される分、将来の芽を育てる努力が期待されます。高規

 格品を単品で見た場合、利益率は高いのが普通です。この利益率も、営業利益率
 ではなく、限界利益率で見ることをお薦めします。高規格品は生産投資後まもな

 い製品が多く、償却費負担がその分嵩み、販売単価も高い反面、製造原価も高く
 なりがちです

 

投資回収の評価軸は、通常のケースでは営業利益とすることが多いのですが、企業
経営上からの収益貢献度を見る場合は、限界利益のほうが優れています

(本メルマガでは、この理由を説明していません m(_ _)m )

 

 

◆工場別の生産配分

 

国内外に複数工場があり、同一品種の生産が複数工場で可能な場合、試算する価値
があります。全社合計の生産品種・数量は変わりませんが、造る工場を変えた場合

の収益変化を知ることが狙いです

 

工場別の生産品種が変わると、原材料単価、歩留まり、製造変動費が変動します。
くわえて、物流費も同様です。つまり、営業利益が変化することを意味します。こ

のように、工場別に生産する品種・品目を全社収益最大化する視点から描くことを
生産配分と呼んでいます

 

収益管理上では、生産配分案ごとに変動損益計算書を作成し、現状を含む比較表の
形で明らかにすることをお薦めしています

 

 

◆リスク対応

 

取引先からはリスク対応のため、一工場生産ではなく、複数の生産拠点に分割する
よう求められることがあります。業種の違いはありますが、東海沖地震などの災害

時の原材料・部品・製品の供給確保が狙いです。別な要因に、食品メーカーでの食
中毒発生にともなう工場営業停止処分への対応、海外調達の物流遅延時の在庫対応

などあります

 

この件は、収益管理というより社会的な供給責任、政策的な面が強いかも知れませ
ん。あえて、収益管理面から考えますと、リスク対応に備え複数工場を持つ場合の

収益面で有利な対応のしかたが課題と言えるかも知れません

 

 

◆新製品の利益貢献度

 

 売上高に対する、販管費率が大きい企業に特有の悩みです。たとえば、売上高に
占める販売費および一般管理費が、50%占めているとしましょう。このケースでは、

製造原価が50%以下にならない限り営業利益が出てきません。販管費の大半は固定
的な費用であり、新製品に配賦される固定費が分からないと営業利益も算出できな

いことになります

 

販管費率の高いトイレタリーメーカーや、食品メーカーが特徴的です。それら企業
では、販売奨励金、広告宣伝費の割合が高くなっています。特定製品への配賦費用

が不明確なことが問題です。というのは、代理店に対する販売奨励金が特定製品の
ために名目上支出されたとしても、実態は必ずしもそうではないからです。結果的

に、固定費の配賦基準が怪しげになりがちで、儲かっているのかどうか判断に苦し
むことになります

 

 

◆納品リードタイム短縮

 

納品リードタイム短縮が、要請されるケースです。納品リードタイム短縮は、単純
に投資をともなう場合、受注・生産日程計画・在庫などの運用効率に関わるもの、

双方複合された対応となることがあります。過去の例からすると、設備的な問題よ
り、運用効率面の課題が多いものです。例は少ないのですが、生産能力を超える受

注が、納品リードタイム延長の要因とされることもあります

 

収益管理上は、リードタイム短縮に関わるコストと効果を定量的に表わすことがで
きれば最善と言えましょう。生産リードタイム短縮は、生産能力増を意味します。

売上にその分結びつけば、営業利益増に貢献できます

 

逆に、在庫保有対応のケースでは、コスト増の懸念があります。コスト増と、販売
面からの効果を見ることが必須です。たとえば、販売機会逸失改善、顧客ニーズ充

足率向上、オーダー実現率向上、品切れ率改善、クレーム発生削減などあります。
定量化が難しいものが多いのですが、評価の明確化がポイントです

(個々の用語解説は省略します m(_ _)m )

 

収益との関連では、やや見えにくい対象です。しかし、生産リードタイムの短縮、
在庫保有による対応採用、現リードタイムによる受注機会逸失がコストの増減に関

わってきます。複数部門間にまたがる収益源と見るべきです (∩_∩)

 

 

企業実務者の意見から、収益管理上の関心事項を挙げてきました。まだあるのです
が、誌面の都合上、項目だけ追加しておきます

 

・何を造ると一番収益が上がるのか
・営業利益が長年赤字の事業を抱えている。先行きの黒字転換も、かなり厳しい。

 どのようにすれば、いいのか悩んでいる
・注文が増えているが、設備を増やすべきだろうか

 先行きの見通しがつかないための悩みです

編集後記

今日、6月19日(土)は、梅雨のまっただ中なんでしょうが、朝5時頃は曇、その後
晴れ間が見え、またどんよりした空模様になっています

 

現在のロナウド

        机の上ロナウド(現在)
     朝、仕事の邪魔をしています

FIFAワールドカップ 2010で、街の飲食店が結構盛り上がっています。我が家のチンチラシルバーの猫2匹とも、2002年、日韓共同で開催されたFIFAワールドカップの年に生まれています。それぞれ今年の4月と6月で8歳になりました (=^^=)

 

 

メルマガWebサイトには、我が家のオス猫「ロナウド」を掲載しています。現在と2002年の両方です。ちなみに、ロナウドは、2002年ワールドカップの注目選手でした

 

2002年のロナウド           2002年のロナウド

 

猫は、1年で生殖能力をもった立派な大人になります。そこで、生後12カ月を、人間の20歳とみなすそうです。猫と人間の年齢換算方法を紹介します。猫の年齢別に括弧内に人間への換算式を書きました。獣医さんの考案した「齋藤式」です

 

 0〜 1年 成長期 (12カ月で人間の20歳)
 2〜 5年 成人期 (猫の年齢×6+15)

 6〜10年 中高年期(猫の年齢×5+20)
11〜15年 高齢期 (猫の年齢×4+30)

16〜20年 老齢期 (猫の年齢×3+45)

 

この式で我が家の猫の年齢を計算してみましょう

 

 我が家の猫の年齢 8歳×5+20=60

 

人間なら60歳ということになります。小生の年を、ほんのちょっと追い越したよう
です。ちなみに犬の8歳は、人間では48歳になります

 

猫の寿命は、以前飼っていたのが15年位でした。一般的には10〜16年のようです。
ただし、野良猫は4年程度と言われています

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m

 

それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!