収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2010/07/26 No.67

【目次】

1.収益管理の関心事項

まえがき

こんにちは 前田です!

 

夏ですね。今年は猛暑の兆しがあります (=^^=)
小生が体を動かすスポーツは、今のところ泳ぎだけです。元々、いろいろ試してみ

ました。ジョギング、ダイビング、シュノーケリング、ゴルフなどです。比較的長
続きしたのが、シュノーケリングでしょうか。ゴルフは改善の余地がなく、あきら

めました。コンサルタントという職業柄、集団でおこなうスポーツは時間の確保面
で無理があり、どうも長続きしません (>_<)

 

今年半年間の記録を紹介します

 

◆水泳の記録(2010年1〜6月、6カ月間)

 

 累計距離 49.1km(2002年の同期間、過去最高184km)
 回数   25回 (同上、79回)

 1回平均 1,964m (同上、2,329m)
 年間ペース 98.2km(2002年1〜12月の1年間、390.2km)

 

このペースで行けば年間で、約100kmというところでしょうか (●^o^●)

 

スイミングスクールに通って1000mを初めて連続で泳いだのが、1990年7月8日です。
記念すべき日でした。泳ぎ始めて、約半年くらいだったと思います。それ以来、今

年で20年続いているということです

 

毎年タイムが落ちています。2000m泳ぐのに、先週は47分弱でした (>_<)
体と相談しながら、体調維持を目標に続けています

1.改善アプローチの共通項

前回までは、分析アプローチ、シミュレーションアプローチ、デザインアプローチ
を紹介してきました。実は、共通項があります。いずれの方法でも、改善案・構想

案を作るもととなるアイディア(着眼点)が必要です。このアイディアに相当する
ものを整理してみましょう。各アプローチの定義と構想立案の要点を確認します

 

ここでいう着眼点とは、問題、問題点、改善課題、方向性、検討項目、方法、発生
現象、知りたい内容をまとめた概念のことです。改善着眼点とも言います

 

改善アプローチの共通項を考えるため、3つのアプローチを同様の例による紹介で
す。3回分のまとめに相当します。それぞれの進めかたに共通する事項が、何なのか

確認していただければ幸いです

 

*用語「問題」
 目標やあるべき姿と現状の差異。差異の認識であって、その原因が指摘できず、

 差異を埋められる解答を持っていない状態をいいます

 

*用語「問題点」
 対策を取りうる原因が分かっている状態です

 

*用語「課題」
 本来は、改善課題と呼びます。目的を果たす具体的な改善の方法・手段が明示さ

 れ、かつ改善可能量あるいは機能の向上が明確になっている状態です

 

*用語「改善着眼点」
 着眼点とも言います。改善着眼点とは、問題、問題点、改善課題、方向性、検討

 項目、方法、発生現象、知りたい内容をまとめた概念を指しています

 

 

◆進めかたの定義と構想立案の要点

 

・分析アプローチ
 分析アプローチとは、改善対象を分析し問題・問題点・課題抽出をおこない、改

 善案作成から実施に至る課題解決の手順を指しています

 

 問題、問題点、課題をもとに改善案に発展させます

 

・シミュレーションアプローチ
 シミュレーションアプローチとは、改善対象の解決策となりうる業務処理ルール

 の設定(論理的仮説(シナリオと小生は呼んでいます))をおこない、机上ある
 いはコンピュータで試行を繰り返しながら構想案作成をおこなう進めかたです

 

 論理的仮説の設定と検証をもとに構想案へと発展させます

 

・デザインアプローチ
 デザインアプローチとは、対象を見ずして機能を演繹的に導きだし、その機能の

 具体化をしながら構想案に至る進めかたです

 

 対象に必要な機能の発案と具体化により構想案へと発展させます

 

 

◆もっとも重要な「案育成のもと」

 

これらに共通するのは、案育成のもととなる「問題点・課題」「論理的仮説(シナ
リオ)」「機能」が必要とされることです。これまでのアプローチの説明では、こ

の点に触れていません。案育成のもとを発想するのが最大の課題です
 (^0_0^)ナルホド

 

次の事項で解決策を求められたら、あなたならどうしますか

 

・某メーカーの受注量が急減し赤字に転落。何とか黒字化したい
・生産リードタイムの短縮をしたい

・クレーム発生を防止したい

 

ここでは、最初の黒字化対策を採りあげましょう。どのようにすればいいのか知る
ため、アプローチ別の典型的な取り組みかたを例示します。いずれも、どのように

すれば黒字化できるのかアイディア発案が必須です。これをどうやってひねり出し
ますか。また、その方法はどうしますか (?_?)

 

アイディアが出てくるのはなぜでしょうか。また、アイディアが出てこないのはな
ぜでしょうか。考えたことがありますか (^-^)

これが、今回の真の主題なんです (●^o^●)

 

 

◆分析アプローチによる例

 

なぜ赤字になったのか、その真因を現状分析で明らかにすることから始めます。
おおむね次のとおりです。分析の3原則を適用します。対象の詳細化と区分、定量化

です

 

・受注量急減の理由
 ex.競合他社の値下げ、他社新製品の採用、顧客の要求品質を満たせなくなった、

  納期短縮の要請に応えられない

 

・赤字の実態を採算分析
 ex.従来製品の営業利益への貢献度、現状の事業収益がどこから得られているのか

  定量的に知る(収益源マップ、採算分析等の方法があります)

 

・対応策の探索
 現状分析により赤字の要因解析と対策立案をおこないます

 

・対策実施
 ex.製品の原価低減(製造原価低減、外注先活用)、販売先開拓、販売数量の増、

  赤字部門の切り離し・撤退、赤字事業の譲渡

 

 

◆シミュレーションアプローチ

 

製品毎に、売上数量、単価、限界利益、変動費、営業利益、損益分岐指数等をもと
に、どのように変われば黒字化できるのかシミュレーションできるモデルを作りま

す。例の一つとして、採算感度分析シミュレーションによることも可能です。目標
営業利益を任意に設定し、客先別・製品別の売上数量・単価を、幾つかの論理的仮

説(シナリオ)に基づいて試算を繰り返します

 

*用語「損益分岐指数」
 損益分岐指数は、固定費を限界利益で割って算出します。この損益分岐指数は、

 従来の損益分岐点に代替するだけでなく、使い勝手も向上させてくれる実に有益
 な概念です。損益判断には欠かせません。No.58で詳しく紹介しています

 

この論理的仮説をシナリオと呼んでいますが、次に例を挙げましょう

 

・シナリオ1
 製造原価の約10%低減、販売単価の10%値下げ、販売数量10%増の提案

 

・シナリオ2
 販売単価の10%値下げ

 

・シナリオ3
 受注急減品の製造中止

 

結果としては、シナリオ1で顧客と最終合意に至り、結果としての利益率も上昇する
ことになりました (^o^)//""パチパチ

 

シナリオ1の詳細は、次のとおりです

 

原材料費の購入単価を調達先に10%値下げ要請。製造原価の3%相当です。内部努力では、製造変動費12.5%、製造固定費10%削減。結果として、製造原価の約9%低減です。顧客から10%値下げ要請されているので受け入れます。しかし、それでは利益が従来の半分近くに落ち込んでしまうため、自社のインストアシェアを上げ、販売数量を10%増やしていただく案です(メルマガWebサイトでは、顧客提案に至る流れと試算内容を図解しています) \(◎o◎)/!

 

◆シナリオの具体化「製造原価低減と売上数量増」

 

シナリオの具体化ストーリ

 

顧客への値下げは翌月からですが、製造原価低減の完全達成には半年間を見込んで
います。その意味では、メルマガWebサイト掲載の「顧客との最終合意の姿」に到達

するのは半年先以降のことです (^∧^)

 

 

◆デザインアプローチ

 

某メーカーの受注量が急減し赤字に転落したわけです。このアプローチでは、目的
は何かを最初に考えます。以下、進め方に沿って箇条書きにしました

 

1.目的(機能)の設定「損益を黒字化する」
 同時に、なぜ赤字になったのか理由を明らかにすることも欠かせません。デザイ

 ンアプローチと言っても、対象についての実態をある程度知ることは必須です。
 有効な実態把握の方法として、採算分析、採算感度分析、収益源マップを推奨し

 ます (^−^)

 

2.インプットの設定
 目的を果たす方法の検討をおこなう最初のステップです。この例では、現状の受

 注と販売方法になります。インプットの上方展開による設定によっては、現状の
 営業のしかたにもメスが入る可能性大です。No.66でデザインアプローチについて

 述べましたが、インプットの上方展開については触れておりません m(_ _)m

 

*用語「インプットの上方展開」
 目的を設定したのち、システムのインプットを一旦設定します。次に、仮設定し

 たインプットを時系列的にさかのぼることがインプットの上方展開です。たとえ
 ば、電話受注をインプットと仮にすると、顧客側で電話発注するための社内注文

 書作成、補充在庫品の算出などのように時間的に前にさかのぼって行きます。結
 果的に、従来どおり電話受注をシステムのインプットと設定すれば、自ずとイン

 プット側のシステム対象範囲決定です。インプットを上方で設定すれば、通常は
 システムの簡素化が期待できます。アウトプットは、目的実現の姿ですから、イ

 ンプットと合わせ、これがシステムの対象範囲です

 

3.アウトプットの設定
 目的が達成された状態です。デザインアプローチ上は、制約条件と呼んでいます

 が、黒字化が目的といっても、どの程度とするのか、方針・目標の設定が必要と
 なります。従来の営業利益率は10%です。受注急減によって、大幅ダウンが避け

 られません。目標として、従来の営業利益率と額を上回ることが示されました
 逆境を跳ね返す積極的な目標設定です (^o^)//""パチパチ

 

4.制約条件の設定
 前段で制約条件の一つ、目標は設定しました (^−^)

 そのほか、顧客の値下げ要請受入、業績回復の達成期限は1年以内としました

 

5.変換手順の設定
 具体的な進めかたの立案をします。内容は、前段シミュレーションアプローチで

 紹介のシナリオ1と同じです \(◎o◎)/!

 

6.テスト・実施・フォローアップ
 シナリオ1に沿った内容の実現により、テストを経た実施は不要となりました。

 フォローアップでは、顧客の要望が内々に示されていたにもかかわらず、社内対
 応が甘かったとの反省も得られています。事前に得られる情報をもっと生かすこ

 とが、今後の課題です m(_ _)m

 

 

◆改善アプローチの共通項

 

例のとおり、実際の進めかたでは各アプローチのしかたが混在することも稀ではあ
りません。一つの手法にこだわることなく、使い分けて欲しいと思います

 

さて、ここでもう一つの問題です。いずれのアプローチによってもいいのですが、
なぜ「問題点」「論理的仮説(=シナリオ)」「機能」が分かったのでしょうか 

 (?_?)

 

着眼点の発案がされるということは、どういうことでしょうか。これを知ることに
より、初めて取り組むテーマに対しても臆することなく挑戦が可能です。誌面の都

合上、号を改めて述べたいと思っています m(_ _)m

編集後記

関東地方が7月17日に梅雨明けしました。昨2009年より3日遅れての梅雨明けです。
関東地方の梅雨入りは6月14日でしたので、梅雨は33日間です。昨2009年は41日でし

た。2000〜2010年の10年間の平均梅雨日数は40.5日です。今年は、梅雨の期間がや
や短かったのですね (^−^)

 

平年値では、梅雨入り6月8日、梅雨明け7月20日、梅雨日数42日となっています。こ
れを書いていて気がついたのですが、小生の手帳と幾分違っているのです。たとえ

ば、昨2009年の関東地方の梅雨入りは6月10日でした。しかし、気象庁のデータによ
れば、速報日だったのです。確定日の梅雨入りは6月3日でした。小生の感覚によれ

ば、今年の梅雨明けは2日早い7月15日だと思うのですが、もしかすると今後、修正
されるかも知れません (=^^=)

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m

 

それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!