収益改善に役立つ統制指標の切り口

収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2011/01/31 No.89

【目次】

1.用途別の収益力強化

まえがき

こんにちは 前田です!
                        武士屋旅館 2011.1.26

武士屋旅館たびたびですが、毎度の日奈久温泉です。今回で泊まる旅館は、7軒目になります。写真でも確認できると思いますが、武士屋旅館です。鉄筋コンクリート造りの建屋です。旅館の位置は、国道3号線から見て、前回の写真で紹介した金波楼の裏手にあります。すぐ向かい側は、共同浴場の西湯です。まだ、入っていませんが、もちろん温泉で、大人が200円となっています (=^^=)

                         武士屋旅館 温泉
武士屋旅館 温泉
右の写真は、武士屋旅館の温泉です。朝7時から22時半まで入ることができます。タイマーをセットして、自動的に給湯するようになっているとのことです。お湯は実にいいですね (^−^)

ただ、夜にお湯を抜かないせいでしょうか。湯口から勢いよく温泉は出ていたのですが、朝7時に入ったときは底のほうがぬるかったです (>_<)

                       武士屋旅館の案内板

案内板
次は、武士屋旅館の案内板です。旅館玄関の下駄箱の上に立てかけてありました。案内板の温泉には、晩白柚(ばんぺいゆ)が入っていますが、上の写真にあるように、今は季節なのですが、晩白柚(ばんぺいゆ)風呂は味わうことができませんでした (^∧^)

 

案内板の左上には、ネコが写っています。ここの飼いネコです。元気に走り回っているのに、何度か遭遇しました。どうやら、朝の食事は削り節、夕方のご飯はネコ缶のようです。大きなお椀に入っているのを目撃しました。ちなみに、我が家では朝がカリカリ、夕方は日替わりのネコ缶です (^0^)


                         晩白柚(ばんぺいゆ)

ばんぺいゆ以前から、晩白柚(ばんぺいゆ)を食べたいと思っていました。ようやく、今回その願いが叶ったわけです。近くのスーパー、マルショク・日奈久店でばんぺいゆを1個(\777)求めました。その後、いつもの食事処(日奈久温泉センター、愛称「ばんぺい湯」の2階)で皮をむいてもらったわけです。メルマガ掲載用に大きさを知っていただくため、コップを置きました。大きさが分かるでしょうか。このばんぺいゆは、ハウスものです。重さは計っていないのですが、1kg弱あるかもしれません (∩_∩)

 

 晩白柚(ばんぺいゆ)
ばんぺいゆハウスものの大きいもので、過去4.2kgのものが収穫されたことがあるようです。何といっても、日本では八代市の日奈久温泉当たりが特産地になっています。気候が合うようです。皮は砂糖漬けにしても、温泉に入れてもいいそうです。お風呂に入れると、実に香りがいいと、皮をむいてくれた賄いのかたが言っていました (=^^=)

 

勢い込んで食べたのはいいのですが、1個の4分の1しか食べられませんでした。甘みは、同じくここの名産、デコポンほどでありません。果汁もデコポンほどはなく、両手がベトベトするようなことはありませんでした。この前、自宅近くの伊勢丹・浦和に行ったら、1個3千円ほどです。ここでも贈答用は違うようですが、大きいもので1個1500円弱、規格外品だと500円位で買うことができます。小生の実家と兄貴宛に、一番大物の4個入り、1箱5800円のものを送りました (●^o^●)


  足 湯

足湯最後は足湯です。No.86でも同じ足湯を掲載しています。昨2010年12月15日に撮ったものでした。そのときは、お湯が入っていません。今回は、温泉が入っているので再度紹介します。朝出かける直前だったため、残念ながら浸かっていません。朝、この前でいつも車で拾ってもらっているんです。湯気を確認できるでしょうか \(◎o◎)/!

1.用途別の収益力強化

標記タイトルに沿って、管理会計による原価の利用と、管理会計そのものの経営管
理への活用法をテーマにしています。今回は、その3回目です。日本における管理会

計採用の普及度は承知していませんが、あまり高くないような気がします

 

 

◆管理会計の採用度(セミナーからの推定)

 

2007年から昨2010年までの4年間で、関連セミナーを8回開催しました。経営の総合
効率を内容とするセミナーであり、必ずしも管理会計導入を意図するものではあり

ません。セミナー出席者のかたに質問させいていただいた回答は、8回合計でおおむ
ね次のとおりでした。一部、小生の推定も入っています (^-^)

 

・参加企業  160社(上場企業が圧倒的)
・参加者   210名

・管理会計採用企業 82社(約50%)
・変動損益計算書の作成企業 40社(25%)

 

この内容で、日本の平均像を語るのは誤差が大きすぎるかもしれません。業種や企
業による例外はありますが、国内では大幅な右肩上がり経済が終えんを迎えていま

す。その意味で、より正しい経営判断のためにも管理会計を生かす努力が必要です

 

 

◆管理会計の導入形態はさまざま

 

実際に管理会計を採用している企業でも、その活用法は多岐に富んでいます。No.87
では、その辺のところを紹介しました。一つは、原価計算で対象とする製品の範囲

があります。つぎに、原価だけへの適用なのか、事業損益までとするのか、あるい
は連結企業まで含む領域に適用するのかの選択肢です。損益把握にとどまらず、小

生はもっと積極的に管理会計を経営管理に生かすべきと考えています。本号では、
管理会計導入による利点を2つの面から採りあげました。管理会計の活用を図ってい

ただくためです (^∧^)

 

 

◆今後の事業計画立案への活用

 

No.88では管理会計を導入する利点の一つ、収益予実績管理への活用を採りあげまし
た。収益予実績管理の目的は、現状の予算達成を確実にすることです。今回はもう

一つの側面と言える、今後の事業計画立案に有効な利用方法を紹介します。それは、
マーケット用途別の収益力強化策の立案です。事業収益源の見える化と、事業遂行

力を高める体質改善が、何といっても収益力強化のポイントと確信しています。事
業収益源の見える化によって得られる課題は、多くの場合次のとおりです

 

 

◆事業収益源見える化の課題例

 

・現製品のマーケット用途別・適合性向上(対マーケット収益モデル)
 製品は、マーケット収益(=売上)を得るための一手段です。幾ら製品そのもの

 が優れていても、ほかの要件が顧客要求と合わない場合は販売が伸びません。こ
 のときの顧客要求仕様が、マーケット収益モデルと呼ぶものです。その構成は、

 最終需要家としての顧客から見た製品、販売チャネル、価格、供給量保証、機能
 保証を指しています。製品は、モノあるいはサービスです。供給量保証とは、顧

 客の必要な量を適宜供給することを指しています。量供給保証が必要となるわけ
 です。機能保証とは、製品の価値を分からせるためのおこないを指しています。

 幾ら高機能な製品でも、顧客が使い方を分からなければ、製品から得られる効用
 と満足は得られません。製品によって変わりますが、カタログ、取扱説明書、購

 入前後の対応、クレーム対応、品質保証、技術サービス、納入条件対応がありま
 す

 

・収益性の高い製品への移行
 生産能力の使い方で収益は変わります。一つの工場で生産する品種と量によって

 得られた利益を、同じ生産能力の範囲内で異なる品種の生産に切り替えた場合、
 利益が倍になるとしましょう。いろいろ前提はありますが、この際無視して下さ

 い。あなたなら、どちらを選びますか (∩_∩)
 これは、実際に良くある現象で、珍しいものではありません。販売側が生産能力

 と収益への理解力不足の場合によく見られる現象です。最初、このように試算し
 て収益力を定量化します。つぎに、現実の制約をまな板の上に載せて企業内関連

 部門で討議するわけです (^∧^)

 

・生産配分の再設定
 前項の例は単純なケースです。複数の工場で同じ製品を生産できる場合、国内外

 の工場あるいはグループ企業全体に適用する例が、ここでいう生産配分になりま
 す。実際に試算してみれば明らかですが、現状の営業利益が数十パーセント向上

 することも例外ではありません (^−^)
 (数パーセントの間違いではありません。念のため (=^^=))

 

・マイナーチェンジ製品による新市場開発(用途開発)
 用途開発への取り組みも、よく見られることです。しかし、実際はかなり困難な

 ケースがしばしばあります。用途開発はリスクもあり、開発年数も長くなりが
 ちです。比較的取り組みやすいのが、既存あるいは周辺マーケットへのマイナー

 チェンジによる代替需要を狙う用途開発があります。
 ある企業が、新市場に参入したのですが、大幅な赤字におちいりました。製品そ

 のものには問題が見られません。むしろ、高品質といえます。上述のマーケット
 モデル、機能保証部分に対する不備があったのです。従来事業と新市場では大き

 な差があったのですが、機能保証不備の原因は従来事業の延長で対応したためで
 した。その後、いろいろ苦労はありましたが、機能保証部分の大幅是正により黒

 字化を達成しています。小生が実際にお手伝いした、大手鉄鋼メーカー子会社の
 メーカーです \(◎o◎)/!

 

・コアテクノロジー活用による新市場開発(用途開発)
 前項は、同様の製品による場合の例でした。ここでは、製品を造る基のコアテク

 ノロジー活用により、新市場開発に結びつけようとする例です。これもよく見ら
 れることですが、リスクと開発年数の長さが問題となります。一人前の収益事業

 に育て上げるには、相当の覚悟と努力が必要です (=^^=)

 

 

◆体質改善の典型例

 

業務遂行力を高める体質改善の典型例は、次のとおりです。体質改善は、マーケッ
ト環境の変化に即応できる企業のしくみに変えることを指しています

 

・販売量の増減に連動できる在庫コントロール
 販売量の増減に応じて、在庫量も適正な水準に維持できるしくみ構築をおこなう

 ことを指しています。販売・生産・物流の複数ライン部門にまたがる需給調整の
 運用基準・ルールと、これらを統制する機能が不可欠です。

 主要項目では、販売計画の明示、生産能力の定量化、在庫保有基準の明確化、納
 品リードタイムの遵守等あります

 

・マネジメント力強化により、課題遂行力の向上めざす
 マネジメントはPDCAサイクルを回すでことであり、管理すると同義です。こ

 のPDCAサイクルが、うまく回らない企業が意外に多い気がします。課題遂行
 力の根源となる部分であり、これがうまく機能しないと、どんな管理会計を導入

 してもうまく運用できないでしょう。
 ポイントは、PDCAのP、計画に相当する方針の明示と、実践可能な段階まで

 の計画具体化にかかっています

 

体質改善の課題は、管理会計の導入そのものと直接の関連はありません。ただ、予
実績管理および収益力強化のインフラである課題遂行力の強化には不可欠なもので

す。つまり、管理会計という道具立てが揃っても、使えこなせない恐れありという
ことになります。その意味で、体質改善は管理会計導入以前の企業経営のインフラ

部分です。現実には、このインフラ未整備の企業が意外に多く見られます
 (>_<)

 

 

◆事業損益算出の領域までの適用必至

 

No.88では、予実績管理への活用推奨の企業実態例を紹介しました。インフラ整備に
は段階があります。予実績管理強化が、まず先です。その次が、今回テーマ「用途

別の収益力強化」への管理会計の活用領域拡張となります。もっとも、同時導入の
選択肢も捨てきれませんが…。事業損益算出を推奨する企業の実態例を、次にご紹

介します

 

 

◆用途別の収益強化策が必要な実態例

 

事例企業は、産業用資材の供給を主力とする国内工場のみのメーカーです。技術力
は高く評価されており、高規格品の品質は事実上、世界のディファクトスタンダー

ド(=事実上の標準)になっています。しかし、利益の大半を稼ぐ汎用品は、国内
外に競合メーカーが増えているのが実態です。国内シェアは、現在も50%以上を維

持しています

 

その反面、供給先であるメーカー工場自体の海外移転が進み、ここ10年間程度は、
国内販売量がゆるやかに減少してきました。その分、海外販売比率が年々高まって

います。高規格品は、今後も伸びが予測される分野です

 

いっぽうで、強敵出現があります。同機能を持つ、代替材料製品の出現です。この
代替材料品は、品質と価格面から数年前まで競合していませんでした。ところが、

当該品の競争力向上により事情は一変しかねない状況になっています。要求品質、
販売単価の両面で競合が目立つようになってきたのです。現時点の予測では、製法

と材料の違いによる代替材料品の優位性が、今後ますます強まると見られています

 

汎用品分野では、売上単価の低落に歯止めがかかりません。要因は、海外品の国内
参入があります。汎用品の価格低落に引きずられるように、高規格品の売上単価も

次第に低落しているのが実態です

 

問題点・課題を整理すると、次のようになります。全体的には、事業のあり方その
ものの検討に等しい内容です

 

 

◆事業収益強化から見た問題点・課題

 

・国内マーケット縮小への対応
・汎用品の原価低減(現状の労務費率40%)

・高規格品の原価低減(現状の労務費率35%)
・代替材料による高規格品開発

・汎用品の高品質化による差別化推進
・現状のマーケットシェア保持と拡大策

・資材販売から加工度高めた部品生産・供給の摸索(川下戦略)
・新用途への代替需要を狙った資材投入(用途開発)

・海外需要地への生産拠点確保
・海外生産を視野に入れた生産計画・物流業務の強化

 

これらの問題点・課題の顕在化、収益改善のシナリオに基づく収益試算が、管理会
計の出番となるところです。事業収益源の見える化による課題例は既述しました。

実際の事業収益源の見える化手段に、収益源マップ、採算分析等あります。また、
シナリオに基づく変動損益計算書をアウトプットとするシミュレーションも有効で

す。これらの方法については、本文では触れていません。参考となる主なメルマガ
は、次のとおりです。ただし、シミュレーションについては、まだメルマガでは紹

介していません m(_ _)m

 

・収益源マップ No.74「収益源マップ改訂版」
・採算分析等  No.31「採算分析」、No.32「採算感度分析」他

 

今回は、用途別の収益力強化策への管理会計の活用法について紹介しました。管理
会計の導入レベルは、企業によりさまざまです。もう一つ上の段階にまで活用法を

高め、自企業のノウハウとしていただきたいと考えます (^v^)

 

実際、企業の役員のかたとお話ししてみると経営管理のツールとしての管理会計に
対する理解度は高くありません。むしろ、経営能力を個人の能力とイコールと捉え

る傾向が強いようです

 

2008年9月のリーマンショックは、企業経営のあり方にも絶大な影響がありました。
難しい課題ですが、個人の経営能力向上、同じく企業家精神の育成を必要とするこ

とに変わりはありません。管理会計は、直接これらに寄与することが少ないかもし
れません。しかし、収益向上への有効なツールとなることは確かです。ぜひ、前向

きに活用を図って欲しいと念願しています (^^)♂♂

 

 

◆管理会計の活用が進みにくい背景

 

仕事柄、セミナーや実際の企業でお話しを伺う機会が多くあります。なぜ、管理会
計の活用が進まないのだろうかと…。以下に、その内容をまとめました

 

一部製品のみに導入するのか、全製品対象か、あるいは連結企業の製品まで広げる
のか、管理会計の適用範囲はさまざまです。一部上場の大企業でも、製品の直接原

価計算はしていても、事業損益算出には管理会計を適用していないケースも見られ
ます

 

管理会計導入の目的は、企業によりいろいろでしょう。多くの企業において活用が
進まない理由を、小生は次のとおり推定しています

 

・企業経営者の管理会計に対する理解度不十分
 有能な管理者の能力は、個人に起因していると考えられがちです。確かに、個人

 の能力が重要なことを否定するつもりは毛頭ありません。また、有能な管理者の
 判断は、論理的に捉えにくく定量化できないことも多々あります。全部できると

 は思えませんが、キー部分は定量化できることが実際に多いのです。この手段を
 提供するのが管理会計です。長年の経験と有能なかたの勘に頼っていた部分を、

 測定できるもの差しに置き換えることが可能となります。ここでの結論は、管理
 会計で何ができるのか分かっていないことでしょうか (^-^)

 

・経営管理に計測手段導入の必要性が薄かった
 業種、企業により異なりますが、これまでは右肩上がりの経済環境が長く続いて

 きました。少々の経営判断ミスがあっても、マーケットが拡大していく中では、
 造れば売れる、いいものなら売れた時期があったわけです。しかし、近年のマー

 ケット環境は変わりました。高度経済成長は二度とあり得ません。国内マーケッ
 ト縮小を前提に、企業の成長戦略を描くことが不可欠です。前項でも述べたよう

 に、一部有能なかたの経験と勘に頼るばかりでは経営が成り立ちません。その意
 味で、経営管理への測定手段提供が不可欠となっています

 

・管理会計の活用手引きが不足
 前項でも述べたとおり、従来から経営能力は個人のノウハウが主と捉えられる傾

 向が強かったと思います。少々極端に言うと、新興宗教並みの目で見られる経営
 管理技術も現にあります。しかし、論理面の大半は管理会計を中心とする手段で

 測定可能です。経営管理における、管理会計の具体的な活用方法の開発は、今だ
 不十分と思っています。企業実態に合う管理会計の活用策こそ、本当の意味での

 ノウハウです。欧米直輸入の経営管理技術の導入では、日本の風土に合うものと
 はなりません。自前のノウハウを積み重ね、一歩抜きんでた経営管理技術に成長

 させて欲しいと心から念願しています (●^o^●)

編集後記

今回まで、3回に渡って管理会計の活用法について述べてきました。製造原価にのみ
管理会計を導入し、事業損益の領域までの活用に至っていない企業が意外に多いの

です。その意味では、管理会計による製造原価の活用法を、事業全体に広げること
を狙ってお話ししたつもりです

 

その分、個別課題に対する管理会計の適用のしかたを具体的に述べるに至りません
でした。というのは、小生の狙いを話していませんでしたが、今回は別なところに

焦点を当てていたためです。それは、管理会計の一部導入している企業で、どうす
れば次の段階に進むのか考えつつ筆を進めていたことによります (^0^)

 

本文最後の節で、管理会計の活用が進みにくい背景を述べました。この内容が、各
企業で管理会計の導入や活用が進まない「真因」のようです。それなら、各企業が

直面している課題の解決策に使える具体例を持って提起するしかないのかもしれま
せん。いずれにしろ、企業トップの認識と理解度がポイントです (^∧^)

 

 今回頁数は次のとおりです
  342行/校了時点の合計÷53行/頁≒6.4頁

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!