収益改善に役立つ統制指標の切り口

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 収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2011/05/23 No.104

 

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【目次】

1.全体最適による効果

まえがき

こんにちは 前田です!
                  日奈久温泉 幸ヶ丘 4月19日

幸ヶ丘今回ご紹介の4箇所は、いずれもまだ入湯していません。最初の写真は幸ヶ丘です。以前、訪問し女将さんからお話しを伺ったことがあります。もともと、旅館として宿泊できたのですが、現在は人手の問題もあり、立ち寄り湯のみに限定しているとのことでした。日奈久温泉旅館組合のWebサイトでは宿泊可能となっていますが、新しい内容に更新されていません。入湯料は500円です。一度入湯してみたいと、前から思っていたのです。日奈久の中では、数少ない硫黄の入っている温泉と聞いています。4月19日(火)、その機会がようやく訪れました。写真では張り紙を読めませんが、休館日に付き残念ながら入湯できませんでした (>_<)

 

                   日奈久温泉 東湯
東湯次は、町の東側に位置する公共の東湯です。入湯料は大人200円で、営業時間は6:00〜22:00となっています。朝早い時間から入浴されるかたが多いようです。向かって左側が男湯、右側が女湯になっています

 

                      日奈久温泉のネコ
日奈久のネコどういうわけか、あちこちでネコを見かけます。逃げずにポーズを取ってくれたネコをパチリ。東湯の隣のヘイの上でした (∩_∩)

 

別府では、日奈久温泉ほどネコを見かけません。ここ日奈久は、ネコにとって環境がいいのかもしれません

 

 

                    日奈久温泉 西湯
幸ヶ丘次は、町の西側に位置する公共の西湯です。最近宿泊した鏡屋旅館の目の前にあります。入湯料は大人200円、営業時間は6:00〜22:00です。朝5:30頃に管理人のかたが現われ、6時前には入口に並んでいる人がいました。まさに、地元の人の温泉そのものといった風情です (^^)

 

日奈久温泉は、狭い地域に集中して温泉があります。海に向かって横方向に約300m、同縦方向に約150mの長方形にすべて入ってしまう範囲です。東湯と西湯では道のりで約300m、歩いて4分弱しかありません
                   日奈久温泉 松の湯

幸ヶ丘最後は、松の湯です。今年3月頃に改装が終わり、外装が一新されました。もともと、自炊の出来る湯治客向けの宿だったようです。現在は、入浴のみの施設になっています。場所は、鏡屋旅館の左斜め向かいです。機会を見て、今回ご紹介した温泉を巡ってみたいと思っています (^o^)

1.全体最適による効果

全体最適のしくみによる効果は、営業利益の最大化です。もちろん、業種業態、企
全体最適のしくみによる効果の一つは、営業利益の最大化です。もちろん、業種業

態、企業規模、事業環境、改善・改革への取り組み状況などにより、得られる効果
は大きく変わってきます。さて、営業利益を最大化するための課題とは何でしょう

か。本文の流れを、まず紹介します

 

 

◆本文の流れ

 

・全体最適の意味(再録)
・メーカー営業利益の最大化課題

・事例1 生産能力を超える受注のA社
・事例2 生産余力あるB社

・なぜ、営業利益増の余地があるのか
・経営の総合効率が課題

 

本文では、いろいろな利益がでてきます。念のため、それぞれの算出方法を次に示
しました。いずれも、メーカーを対象とし簡略化のため在庫を無視しています

 

 粗利(粗利益)  =売上高−売上原価(=在庫無視のため製造原価と同じ)
 限界利益     =売上高−変動費

 営業利益     =売上高−売上原価−販管費
 純利益(当期利益)=売上高−売上原価−販管費−営業外・特別損益−法人税

 

次の段落は、No.103の再録です。用語解説は省略しましたので、詳細はNo.103でご
確認お願いします m(_ _)m

 

 

◆全体最適の意味

 

従来の定義にこだわらず、全体最適を分かりやすく言うと、次のように現わせます

 

『全体最適とは、営業利益を常に最大化する方向に業務遂行をおこなうしくみであ
 る』

 

対象の営業利益は、一企業あるいは企業グループを指しています。一時的な全体最
適ではなく、継続的に維持できることが前提です。そのため、必要な権限を持って

コントロール可能な、企業内組織の設置あるいは役割分担が欠かせません。全体最
適で対象とする企業の主な組織は、販売・生産・物流・開発の全ライン部門です。

これらライン部門は、営業利益を日常的に生み出す役割を持っています

 

営業利益の最大化を目的に、PDCAのマネジメントサイクルを回すことを「しく
み」と表現しています。このほか、しくみにはコントロールをおこなう判断基準が

最低限必要です。測定できないものはコントロールできません。従来から私どもが
推奨している測定手段として、管理指標と統制指標があります。もう一つくわえる

なら、これら管理・統制指標算出や、各種の測定手段を提供できる管理会計の導入
が不可欠です

 

説明に用いた、PDCA、管理指標、統制指標、管理会計の用語解説は、省略して
います (^^)

 

 

◆メーカー営業利益の最大化課題

 

メーカーを例にした、営業利益を最大化するための課題を紹介します。言い換える
と、全体最適のしくみ導入により、営業利益の増加見込み判断の項目になるわけで

す (^−^)

 

・生産プロダクトミックスの算出
・編成効率の算出

・生産プロダクトミックスが可能となる販売促進
・販売プロダクトミックスに生産プロダクトミックスを一致させる

 

生産プロダクトミックスそのものの事例を含む詳細は、No.92、93で紹介しました。
また、用語の定義は後段を参照してください。上記中点の生産および販売プロダク

トミックスは、いずれも短期的な生産・販売プロダクトミックスを指しています。
以下、とくにお断りしない限り短期的なプロダクトミックスの意味です。以下、中

点の上から順に説明します

 

生産プロダクトミックスの算出とは、現生産能力を活用し、どの製品をどの位造っ
て販売すれば限界利益が最大化するのか明らかにすることです。この生産プロダク

トミックスを分母にして、毎月生産・販売して得られた限界利益を分子にしたもの
が、下記の編成効率算出式になります。つまり、あるべき姿に対する月次の収益獲

得実態を数値で捉える意味です。編成効率の算出式は、次に示しました

 

 編成効率(%)=生産した製品の収益÷生産プロダクトミックス時の収益×100
 *「短期的な」は省略。原則として、収益は限界利益を使います

 

次の中点、生産プロダクトミックスが可能となる販売促進とは、販売計画を生産プ
ロダクトミックスと同じにすることです。通常のメーカーでは、販売計画と生産プ

ロダクトミックスは一致していません。すぐに一致させるのは、困難をともなうの
が普通です。そこで、半年先、1年・2年先などの販売計画に反映させていくように

します

 

最後の中点、販売プロダクトミックスに生産プロダクトミックスを一致させるとは、
文字通り、販売プロダクトミックスが限界利益最大となるように生産設備等を変え

ることです。販売プロダクトミックスは、販売計画が相当します。差異の内容によ
り、生産形態等の変更が可能かどうか慎重な対応せざるを得ないでしょう。実際は、

販売プロダクトミックスに生産プロダクトミックスを近づけて行くのが現実的かも
しれません (=^^=)

 

*用語「短期的な生産プロダクトミックス」
 現生産能力の範囲内で限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状同様に出

 荷できる生産アイテム・数量の組み合わせをいう

 

*用語「生産プロダクトミックス」
 限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現有インフラで生産可能なアイテム・

 数量の生産組み合わせをいう

 

*用語「短期的な販売プロダクトミックス」
 現状扱い品種の範囲内で限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状生産可

 能なアイテム・数量の組み合わせをいう

 

*用語「販売プロダクトミックス」
 調達可能な製商品のうち、確実に販売ができ限界利益額あるいは限界利益率を最

 大化するアイテム・数量の組み合わせをいう

 

営業利益最大となる、全体最適の事例を紹介します (^∧^)

 

 

◆事例1 生産能力を超える受注のA社

 

幸いなことに、メーカーA社は生産能力を超える受注が見込まれています。納品リー
ドタイムが長くなりすぎるため、選別受注せざるを得ません。A社は、従来から次

の基準で受注しています

 

☆現状の受注判断基準

 

・粗利率がプラスであること
・粗利率の高い受注を優先する

・取引年数が長く、粗利率の高い得意先を優先する
・1社への売上依存度は最大20%以下、できれば10%以下を目標とする

・継続取引を優先する
・品質保証できる製品であること

 

現状の経済環境では、A社のような企業は珍しいかもしれません。しかし、現存し
ていることも事実です。ここで問題ですが、A社における全体最適のしくみとは何

でしょうか。もちろん、最大の目的は、営業利益の継続的な最大化追求です。A社
は受注生産ですが、売上高の70%は繰り返し受注生産品で占められています。残り、

25%強も製品の寸法、公差など条件が多少変わる繰り返し受注と言っても過言では
ありません。最後の3%程度が、新規の受注品となります。現時点では、生産能力を

超える受注は、長続きしないとの見方が支配的です。そのため、生産能力拡大は当
面の検討課題から除外されています。次に掲げた項目は、営業利益を最大化するた

めの判断基準です (^0^)

 

☆営業利益を最大化する受注判断基準

 

前項同様、生産プロダクトミックスは短期的な意味で使っています

 

・生産プロダクトミックスに含まれる製品であること
・生産の時間当たり・限界利益額の大きい製品を優先販売する

 

生産プロダクトミックスとは、限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現有イ
ンフラで生産可能な品種・数量の生産組み合わせのことです。生産能力は限られてい

ますから、儲かるもののみを生産・販売できれば営業利益も当然最大化します。問
題は、儲かるとは何かという判断基準です。売上高、売上単価、粗利額、粗利率の

大きさが判断基準ではありません。通常は、時間当たり・限界利益を使いますが、
時間当たり・営業利益でも同様の判断基準となります。海外生産の場合は、税制や

移転価格のため、時間当たり・純利益による判断が必要です

 

過去の経験則では、A社において営業利益を最大化する受注判断基準に変えた場合、
おおよそ20%の営業利益増が期待できます  (^^)♂♂

 

 

◆事例2 生産余力あるB社

 

メーカーB社は、見込み生産型の企業です。B社は、従来から次の基準で受注して
います。現状は生産に余力がありますが、損益は黒字です

 

☆現状の受注判断基準

 

・引き合いがあれば、原則として全量受注する
・販売価格が最小限(製造原価+販売変動費)を上回り、かつ粗利率が35%以上

・取引年数が長く、粗利率の高い得意先を優先する
・継続取引を優先する

 

当業界には、B社のほかに競合先が3社あり、この中でマーケットシェアはトップで
す。B社製品の品質は業界の中でも、高いレベルにあるとされています。その分、

販売単価に高めの傾向があるようです。ただし、製造原価も高いとされています。
このような環境下で、営業利益を増大させる受注基準はあるのでしょうか。確かに、

これだけの情報で判断するのは難しい点があるのは承知しています。少ない情報で
夢のある基準を大胆に提示してみましょう (∩_∩)

 

☆営業利益を最大化する販促・受注判断基準

 

前項同様、販売および生産プロダクトミックスは短期的な意味で使っています

 

・限界利益が黒なら原則として受注する
 (現状より基準売価を下げることになります)

・生産プロダクトミックスを算出する
・販売・生産プロダクトミックスの差異解消策立案

・生産の時間当たり・限界利益額の大きい製品を優先販売する

 

最初の中点にある、限界利益が黒なら原則として受注することは、固定費の回収に
貢献するため、営業利益を増加させます。ただし、営業利益率を低下させる要因と

なるため、慎重な判断が都度必要です

 

生産プロダクトミックスについては、事例1でも触れました。生産プロダクトミック
スは、限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現有インフラで生産可能な品種・

数量の生産組み合わせのことです。現状の生産から見た、あるべき姿を知る必要が
あります。問題は、次の中点「販売・生産プロダクトミックスの差異解消策立案」

です。販売プロダクトミックスは、販売計画が相当します。通常の例では、この2つ
にはかい離が見られ、生産能力を生かし切っていません。冒頭の項で述べたとおり、

望ましくは、販売計画を生産プロダクトミックスと同じにすることです。より儲か
る製品販売に、シフトすることを意味します。すぐに一致させるのは、困難をとも

なうのが普通です。そこで、半年先、1年・2年先などの販売計画に反映させていく
ようにします。最後の中点ですが、生産の時間当たり・限界利益額の大きい製品を

優先販促することが、営業利益の増加に寄与します (^v^)

 

 

◆なぜ、営業利益増の余地があるのか

 

前項で紹介したA社、B社とも財務会計主体の収益管理をおこなっています。残念
ながら、財務会計では本当に儲かるものの判断が困難です。本当に儲かるものが分

からない状態では、収益最大の姿を描くことが困難と言えます。つまり、経営管理
のツールとして管理会計を採用していないことが大きな要因です

 

右肩上がりの経済は、終焉を迎えました。事例A社のような売り手市場となってい
るメーカーが皆無とは言いませんが、稀少な存在です。そのような企業でも、収益

拡大の機会が眠っています。ましてや、競合関係の厳しい環境下で経営しているメー
カーにとって、全体最適のしくみ採用は必至でしょう

 

*用語「財務会計」
 財務会計は、財務諸表を中心とした会計情報を、企業外部の利害関係者(株主、

 債権者、徴税当局など)に提供することを目的とした会計をいう

 

 

◆経営の総合効率が課題

 

自社内の収益源活用度合いを「経営の総合効率」とも呼んでいます。経営の総合効
率とは、現状の販売力を前提とし、あるべき収益能力の姿に対する収益水準を表し

ます。販売・生産・物流各ライン部門は、実需に基づく個別最適から、全社の収益
能力が最大化する方向に業務連鎖の統制をすることにより経営の総合効率は改善し

ます。今回の例で言うなら、生産プロダクトミックスの実現が対象です。最終的に、
統制機能(システムコントロール機能)を持つ部門が必要となります。本項でいう

業務連鎖とは、複数部門が協同でおこなう業務分野であり、部門間で発生する業務
のつながりを指しています

 

上記の内容で、よく質問されることがあります。「現状の販売力を前提」とはどう
いう意味ですかと…。言いたいのは、販売力を向上させることは考えていないのか

ということです。決して、そんなことはありません。私どもから見る限り、現在持っ
ている販売力を、生かし切っていないのが普通です。そこで、全体最適の方向に持

てる能力を生かしていただくことが、活動の主眼となります (^o^)

編集後記

今日5月21日(土)は暑かったですね。川口市の午前12時で、気温30℃、湿度42%、
南風、風速3m/sでした。普通なら、空調を入れる気温ですが、省エネのことも考え

窓を開けて、この原稿をパソコンに向かって書いていました。書き終わったあと、
スポーツクラブの光明石の温泉に行きました。やはり、広いほうがのんびりとでき

ます \(◎o◎)/!

 

夕食後、清書も終わり、最後のところを書いています。次回も、まえがきには日奈
久温泉の写真を紹介する予定です (^▽^)

 

 今回頁数は次のとおりです
  315行/校了時点の合計÷53行/頁≒5.9頁

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!