収益改善に役立つ統制指標の切り口

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 収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2010/08/09 No.69

 

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【目次】

1.社内仕切りルール

まえがき

こんにちは 前田です!

 

お盆の季節です (^−^)
近くの町会では季節の恒例行事、盆踊りが盛んです。毎週末、どこかでやっているのがおはやしで分かります。また、隣の蕨(わらび)市では第60回機祭り(はたまつり)の真っ最中です。七夕祭りですが、昔は機織りが盛んだったための命名と聞いています。今年2010年は8月5日(木)〜8月8日(日)の4日間開催です。以前、市で地元の高校生にインタビューしたところ、蕨の漢字を書けない子が増えているとか…

 

メルマガWebサイトには、機祭りの一コマを掲載しています (^-^)

 

蕨機祭り

              蕨機祭り(わらびはたまつり)

 

たまたま、8月5日は仕事が早く終わったため、メイン会場を覗きに行きました。自宅から、1km強のところにあります。ちょうど、蕨市長の開会挨拶が始まったばかりでした。会場には、全長縦16メートル×横1.7メートルの短冊があり、参加者の願い事を書くイベントもありました。何でも、ギネスに挑戦がうたい文句だそうです (^o^)//""パチパチ

 

また、川口市の恒例のたたら祭りも、今日8月7日(土)〜8日(日)の2日間開催されます。今年の人手は20万人を見込んでいるとのことです。お祭りの会場は、川口駅近くの市役所周辺とオートレース場となっています。以前、主会場の近くに住んでいたこともあり、サンバパレードが楽しみでした (=^^=)

 

祭りの最後は、オートレース場での花火です。その直前まで、メインステージのライブコンサートがあります。楽しみなメニューの一つです (●^o^●)

 

ただ、難点が一つ。夕立がよくあることです。ライブの最中、激しい雨で何度もずぶ濡れになったことがあります。それでも、出かけるのは物好きとしかいいようがないんでしょう (^−^)
今回、ライブに参加するかどうかは明日の空模様次第といったところでしょうか

 

お祭りは参加することに意義があります。皆さんのところでも、いろいろな催しがあると思いますが、ぜひ参加したいものです (^o^)

1.社内仕切りルール

メーカーの社内仕切りを採りあげます。社内仕切りは、メーカーの製造から販売に
部門振替する製品単価の決定ルールです。製造原価で販売に渡すのか、利益を上乗

せして渡すのか、おおむね2つの方法があります

 

また、製造子会社の収益確保の考えかたもほぼ同様です。よく見られる、コストプ
ラスを紹介します。企業業績向上には、やる気醸成と利益確保策を確実にすること

が経営管理上欠かせません。今回は、その裏付けとなる考えかたの一端を紹介した
いと思います

 

それぞれの概略を見ていきましょう

 

◆メーカー型(メーカー型営業指向)

 

一般的に多く見られるのがメーカー型です。あるいは、メーカー型営業指向と呼ん
だほうが分かりやすいかもしれません。ここではメーカー指向型、あるいは単に

メーカー型と呼びます

 

利益は製品にありとする考え方が基本です。この考え方では、生産側から販売側に
製品を渡すときの仕切価格が製造原価となります。販売側は、限界利益が得られる

のであれば、販売することが原則です。あらかじめ予測し得ない状況で、生産能力
に制限があるケースでは、販売側の要求に対し供給カットがあり得ます。世間一般

的には、このタイプが圧倒的に多く見られます

 

生産側における年度内の期中管理は、決められた製造数量、原価、経費などの製造
予算達成が重点です。同様に、販売側の期中管理は、決められた販売予算の達成と

なります

 

*用語「限界利益」
 限界利益=売上高−変動費

 限界利益は貢献利益と呼ぶことが多く、ほかに、付加価値、変動利益と呼ぶこと
 もあります

 

 

◆商社型(商社型営業指向、OEM販社型)

 

もう一つが、商社型です。商社型では「組織が利益を生む」という考え方が基本に
なっています。ただし、部門を越えるごとに利益を上乗せするのか、特定部門では

単なる経費のみの上乗せなのかは、ケースバイケースです

 

紛らわしいかも知れませんが、商社型といっても、メーカーで同様の仕切りルール
を採っていることがあります。たとえば、メーカーと言いながら、生産機能のない

企業も現にあるからです。自ら生産機能を持たないメーカーでは、OEMなどの生
産組織の選択をおこない、あたかもメーカーとして振る舞うことがあります。この

場合は、メーカー型・商社型の両者を併せ持つということです

 

メーカーで、かつ製造原価渡しの仕切りルールを空気のごとく当たり前としてきた
企業にとり、商社型の「組織が利益を生む」という考えかたは、多少分かりにくい

かも知れません。生産組織の選択も同様と思います。まず、メーカーの基本業務に
ついて少し解説します

 

 

◆メーカーの基本業務(=収益構造)

 

メーカーに必須な基本業務は次のとおりです

 

・生産(自社生産、外注、OEM、購入販売、ファブレス)
・開発(自社、委託、依存)

・販売(直接販売、代理店販売(委託))
・マーケット開発(自社、委託)

・物流(自社、委託)

 

この内容は、メーカーのビジネスモデルに欠かせない基本業務そのものです。収益
構造とも呼びます。括弧内は、それぞれの基本業務の形態です。さて、生産組織の

選択に話を移しましょう

 

 

◆生産組織の選択

 

生産組織の選択とは、上述5つの生産形態の中からいずれか、あるいは複数を選ぶこ
とです。企業の基本業務には、経営計画、研究開発、生産、物流、販売、人事、財

務、情報システムなどがあります。ここで採りあげているのは、その中の一部、生
産についてです。念のため、生産形態の用語を紹介します

 

*用語「自社生産」
 原材料を外部から調達し、加工・醸造・重合反応等を経て製品化する工程をす

 べて社内でおこなうケース

 

*用語「外注」
 外注は、自社の生産工程の一部を外部に委託することを指しています。生産の

 中核部分は、あくまで自社で持とうとするのが普通です。
 購買は、主として調達先企業の仕様を受け入れることが多いのに対し、外注は

 発注側の仕様に基づいて生産することが多いのも特徴となっています。
 委託先にも外注、協力工場、下請、子会社、発注元とは独立の企業等いろいろ

 変化が見られます

 

*用語「OEM」
 OEM(original equipment manufacturing)とは、販売側ブランドによる生

 産を指しています。OEMでは、一方の企業が開発と生産を、もう一方の企業
 が販売やマーケティングをになうのが普通です。新製品を開発しても販路を

 持っていないとか、販売力が弱い場合、販売側ブランドで販売がおこなわれま
 す。

 また、シェアを高めるため人件費の安い国で生産し、自社ブランドで販売する
 戦略的な方策もパソコンや家電の業界ではよく見られる事例です。メーカー側

 は生産設備の操業度向上に、販売側は品揃えや顧客への浸透やリスクの分散が
 メリットとなります

 

*用語「購入販売」
 自社に製造設備、製造技術がないものの、販売上の品揃えが必要となる場合、

 外部から購入し相手方メーカーのブランドで販売するケースです

 

*用語「ファブレス」
 ファブレス企業(fables enterprise)。メーカーでありながら生産部門を持た

 ず、設計・開発に特化した企業のことです。通常のメーカーでは、製品の企画か
 ら設計・開発、生産、物流と一連の手順を踏んで販売に至ります。

 この過程で、自社はもっとも付加価値の高い分野に特化し、あとはアウトソー
 シングする戦略が特徴です。しかし、実際の生産活動が設計・開発のためには

 欠かせません。いずれ、開発能力が落ちていく懸念があります

 

 

◆メーカー・商社型の社内仕切り比較

 

メーカー型と商社型の社内仕切ルールを比較してみましょう。本来は表形式で表わ
すと見やすいのですが、テキスト形式のため、それぞれ箇条書きにしました

 

 

◆メーカー型社内仕切りルール

 

 比較の視点     メーカー型の特徴
1.利益の考え方    利益は製品(商品)にあり

2.製造仕切価格    製造原価
3.販売促進      限界利益得られるなら販売促進

4.品切れ対応     生産能力に制限あるものは営業要求カットあり
5.製造予算の評価基準 製造原価の遵守

6.製造改善の評価基準 製造原価の低減
7.商品の外部調達   生産組織の選択ととらえる

 

 

◆商社型仕切りルール

 

 比較の視点     商社型の特徴
1.利益の考え方    組織が利益を生む

2.製造仕切価格    製造原価+利益
3.販売促進      利益が大きくなる方向で販売促進

4.品切れ対応     原則、品切れなしで管理
5.製造予算の評価基準 製造仕切価格の遵守

6.製造改善の評価基準 製造利益の増加
7.商品の外部調達   販売側主導で調達先を選別

 

 

◆仕切りルールは経営管理のしくみ

 

実際には、メーカー型の社内仕切りルールが数のうえでは多数派です。いっぽう、
歴史ある大手企業では、メーカーでありながら商社型仕切りルールを採用する企業

も現にあります。たとえば、日立製作所がその代表例です

 

社内仕切りルールは、やる気醸成のインセンティブを与え、業績向上にまい進させ
る経営管理のしくみと言えます。言い方は悪いのですが、やる気を引き出し、利益

確保につなげるアメとムチの関係です。アメは業績達成に応じたインセンティブ
(報償)であり、ムチは逆の評価です (^∧^)

 

 

◆社内仕切りの背景

 

社内仕切りの背景にある考えかたは何でしょうか (?_?)
前段で述べたことと一部重複する部分がありますが、次に整理しました

 

・組織・人の戦力化
 (組織と人のやる気を引き出す)

・収益の確実な確保
 (ここでいう収益は売上高と利益です)

 

これらを確実にするため、同時に信賞必罰の評価制度が欠かせません。いわゆる、
業績評価制度が相当します(No.46〜48で紹介済み)

 

 

◆プロフィットセンター、コストセンター

 

メーカー型仕切りルールの製造はコストセンターであり、また商社型の製造はプロ
フィットセンターです。この管理形態は日本的なもののようで、代表的なERP、

ドイツのSAPでは、この考えかたは提供されていないようです

 

 

*用語「プロフィットセンター、コストセンター」
 プロフィットセンターとは利益責任単位のことです。企業の各部署の経営業績を

 明確にするため、独立採算として収益・費用を集計する管理単位が相当します。
 これが成り立つためには、責任・権限の委譲と責任部門の確立が必要です。

 代表例には、営業部門が相当します。販売計画で売上および経費を想定した利益
 計画立案が責務です。つまり、利益と経費の計画が必須な部門はプロフィットセ

 ンターに相当します。これに対し、経費のみの年度計画あるいは予算立案を要求
 されるのは、製造・物流部門が代表格でしょう。経費予算のみで、利益予算を求

 められない部門がコストセンターです

 

次に、同様の考えかたの延長にある子会社の収益保証について簡単に触れます

 

 

◆子会社の収益保証

 

適用せざるを得ないケースは、次のとおりです

 

子会社設立後の間もない時期、特別な戦略商品の生産委託、世間によく見られるコ
ストセンターとしての「物流子会社」「賃加工メーカー」などの管理形態です。一

般的に「コストプラス」と呼んでいます。子会社だけでなく、委託製造先について
も見方は同様です。コストプラスの意味は、次の用語解説で確認お願いします

 m(_ _)m

 

*用語「コストプラス」
 コストプラス法(cost-plus pricing)は、原価補償主義の価格決定方式です。単

 に、コストプラスと呼ぶこともあります。許容される実際原価に一定の利益を加
 算して価格を決める原価加算方式です。企業間取り引きでもよく見られます。た

 とえば、参考となる市場価格がない請負工事、製品の試作などです。国や地方自
 治体の公共工事の発注も、この方式を採るものが多く見られます。原価に一定の

 利益を加えた価格、いわゆる原価価格のことをコストプライス(cost price)と
 いいます

 

小生の経験則で恐縮ですが、コストプラスによる子会社管理はあまり好ましくあり
ません。とくに、物流子会社は数多く見てきましたが、親会社のお荷物になってし

まうことが、あまりにも多いのが現実です。コストプラスの反対側にあるのは、
インセンティブ方式です

(インセンティブ方式の内容は、今回省略します m(_ _)m )

 

コストプラスを含む価格決定方式の検討には、コスト競争力の確保、製品開発力な
ど、現状の得失を明らかにすることが欠かせません。得失には、コアコンピタンス

とコアテクノロジー、政策や方針との整合性検討などあります。大きなテーマで、
いずれ触れるつもりです (=^^=)

 

今回は経営管理のしくみの一部、社内仕切りルールを採りあげました。仕切りルー
ルは、経営管理のしくみの一部です。確実に収益を生み出せる方向に、企業体質を

変革することが求められています

編集後記

田舎のお袋から野菜が届きました。毎年のことですが、全部食べようとしても、食
べ切れないうちに傷んでしまう量なんです (=^^=)

もちろん冷蔵庫に入れておいたとしてもです。そこで、隣近所のかたが重宝してい
る気がします

 

野菜が届いたのち、今度は兄からメロンが届きました。これも食べきれません。
野菜同様、ご近所のかたにおすそ分けしました (^o^)

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!