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収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2011/02/14 No.91
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【目次】
1.編成効率
まえがき
こんにちは 前田です!
今朝2月12日(土)は寒かったですね。一階の居間は8℃でした。猫用にベランダの窓を少し開けていたことも原因ですが…。最低気温は零度だったようです。朝5時、まだ暗い朝が続いています。それでも夜明けが1月10日頃の6時52分から早くなり、今朝は6時32分でした。お昼が20分長くなったわけです。朝、お隣の屋根には雪が見られました。それも、お昼頃にはなくなっています
旧芝離宮恩賜庭園
この雪は、昨日2月11日の午前中に降ったものです。早朝のみぞれから、水分の多い牡丹雪に変わり積もりました。道路にはまったくありません。都心では、積もったようですが…。とにかく、まとまった雪を間近に見るのは今冬初めてです (^v^)
右の看板は、旧芝離宮庭園の入口にあるものです。お天気が良く、暖かい日和に誘われ、庭園内を散策しました。ちょうど、お昼の時間帯です。入園料150円を払って中に入りました。お客さんの数は10人もいません。これ幸いと、春を撮らせていただいたわけです。ここは、江戸初期の大名庭園の一つで国の「名勝」に指定されています
池を中心として、石が置かれ、あちこちに「山」もあります。下の風景から見ると、春はまだ少し先のようです (^−^)
旧芝離宮恩賜庭園 2011年2月7日
じゅうがつざくら 2011年2月7日
散策しようと思ったのは、ジュウガツザクラ(十月桜)を見るためです。庭園に1本だけあるこの桜は、ソメイヨシノが咲く直前まで咲き続けると聞いたことによります。これ目当てに訪れる人も多いそうです。散策は正解でした (●^o^●)
この時期に咲く桜も結構あるようです。仕事でしばしば行く、JR大崎駅のすぐ近くでも、まだ咲いています。今年はまだ行っていませんが、熱海市内の糸川沿いに咲くアタミザクラ(熱海桜)も見応えがあります
じゅうがつざくら 2011年2月7日
庭園内の梅の数は多くないのですが、咲き始めています。浜松町駅の海側に位置するこの庭園ですが、増上寺よりだいぶ遅く咲くようです。写真のように、いかにも暖かそうな日だまりの中で可愛げに見えました (∩_∩)
梅 2011年2月7日
花粉の飛散が本格化する前に、梅を観賞できて良かったと思います。事務所近くで観梅できるとは、これまで思ってもいませんでした。やはり、心に余裕がないと周りも見えなくなるのかもしれません (^−^)
梅 2011年2月7日
旧芝離宮庭園の園内は、約13,000坪あります。縦横おおよそ200m位と言ったほうが、分かりやすいかもしれません。次回も紹介の予定です (^0^)
1.編成効率
No.90では「使える統制指標とは」と称して、統制指標設定の留意事項を紹介しまし
た。事例企業における「工事平準化率」の設定と運用、管理会計の必要性、営業利
益による評価の重要性などです。また、管理・統制指標の違いについても最後に触
れています。引き続き、今回の「編成効率」をとおして、統制指標の考えかたをご
理解いただければ幸いです。工事平準化率は設計・施工会社でしたが、編成効率は
メーカーを対象としています (●^o^●)
◆編成効率とは
編成効率とは、生産ラインが持つ生産能力の使用割合を指しています。ここでいう生産ラインは、原材料投入から完成品に至る生産工程のことです。生産ラインは、単独の設備であっても構いません。たとえば、ある生産ラインの1カ月間の生産能力が100トンあったとします。同月の生産量は70トンでした。この場合、次のように算出します
編成効率=生産量70トン÷生産能力100トン×100=70%
生産能力の活用度は70%ということです。生産余力30%の活用度引き上げは、生産
側だけでできません。販売側あるいは開発部門と協同の対策が不可欠です。ケース
によっては、同じ生産ラインで生産可能なマイナーチェンジ品に生産余力を振り向
ける案があるかもしれません。編成効率は、複数部門が協同で取り組む業際間課題
の統制指標です
ところで、生産能力とは何を指すのでしょうか
◆生産能力とは
一般に、生産能力は生産可能な量を表わしています。量は、重さ、個数、面積、容
積、長さなどさまざまです。しかし、生産能力が同じだとしても、生産品種と量の
組み合わせにより、実際の生産量は大きく変化します。生産開始当初は別にしても、
生産品種と量の組み合わせは顧客と販売部門の対応により、一定のパターンに収れ
んしていくのが一般的です。つまり、生産能力とはある品種と量の組み合わせを前
提としたときの生産可能な量と言えます
ここで問題提起です (∩_∩)
生産能力は、現状の品種と量を前提に捉えるだけでなく、収益性の視点を加えるべ
きではないでしょうか。もう少し明確に言うなら、収益最大化の品種と量の組み合
わせを本来の生産能力とする見方です。収益を最大化する品種と量の組み合わせを
「生産プロダクトミックス」と呼んでいます。もう少し厳密に言うなら、次のとお
りです
生産プロダクトミックスとは、限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現有インフラで生産可能な品種・数量の生産組み合わせを指しています
このときの編成効率の算出式は、次のとおりです
編成効率(%)=生産した製品の収益÷生産プロダクトミックス時の収益×100
収益は、売上高あるいは営業利益を指すのが一般的ですが、ここでは限界利益で捉
えます。分かりにくいかもしれませんので、例を挙げましょう
◆事例の概要と問題提起
某メーカーの販売製品には、A、B、Cの3品目があります。販売可能な数量は、A
100個、B80個、C65個です。販売単価から変動単価を引いた限界利益は、A20円、
B40円、C60円となっています。1個当たりでは、Cが一番儲かるわけです。1個造
るのに必要な生産時間は、A1分、B2分、C5分となっています。したがって、生産
1分当たりに得られる限界利益は、A20円、B20円、C12円です。Cは1個の限界利
益は最大ですが、分当たり製造時間では最小となっています。ただし、生産時間合
計の制限は500分です
ここで問題です (^v^)
生産時間合計の制限500分以内で、限界利益を最大化する販売可能な品目と数量の生産組み合わせはどのようになるでしょうか (?_?)
◆試算例1 1個当たり限界利益重視のとき
まず、時間当たり限界利益の大きい品目の生産を優先させてみます。1個当たりの限
界利益は、C→B→Aの順です。そこで、Cを販売可能量65個まで生産します。C
の生産時間は325分です。Bの販売可能量80個の生産時間は、160分となります。生
産時間にまだ余裕がありますので、生産への組み込みは全量80個です。残りの生産
可能時間は、15分あります。Aの単位生産時間は1分です。そこで、Aを15個生産に
組み込むことにします。これで、生産制限時間の500分となりました。最後に、限界
利益を算出します。結果は、7,400円です。この内容を、次の例で確認お願いします
(^0^)
☆1個当たり限界利益の大きい順に生産・販売したとき
品 目 A B C 合計
販売可能量 100 80 65 245
1個の限界利益(円) 20 40 60
単位生産時間(分) 1 2 5
1分の限界利益(円) 20 20 12
生産量(個) 15 80 65 160
生産時間計(分) 15 160 325 500
限界利益計(円) 300 3,200 3,900 7,400
◆試算例2 時間当たり限界利益重視のとき
今度は、前項と視点を変え、1分当たりの限界利益が大きい順に生産・販売させてみ
ます。1分当たり限界利益は、AとBが20円、Cが12円です。そこで、AとBを販売
可能量まで優先的に生産枠を確保します。幸い、両方生産しても生産時間は260分で
す。そこで、残りの240分でCを生産します。Cは1個5分かかりますので、48個生産
可能です。これで、生産時間の制約500分となりました。限界利益の合計は8,080円
です。この内容を、次の例で確認お願いします (^-^)
☆時間当たり限界利益の大きい順に生産・販売したとき
品 目 A B C 合計
販売可能量 100 80 65 245
1個の限界利益(円) 20 40 60
単位生産時間(分) 1 2 5
1分の限界利益(円) 20 20 12
生産量(個) 100 80 48 228
生産時間計(分) 100 160 240 500
限界利益計(円) 2,000 3,200 2,880 8,080
◆結論 時間当たり限界利益を優先すべき
試算内容を見ていただければ一目瞭然です。時間当たり限界利益が大きい順番で、
生産・販売した場合の収益が大きくなります。実際には、企業の政策や顧客との関
係で、必ずしもこのとおり運用できるわけではありません。しかし、生産の投入努
力が同じでも、生産品種・品目と数量の組み合わせによって獲得収益は変わること
を、ぜひ認識して欲しいものです
ここでは試算のため、極めて単純な例を用いました。現実のメーカーでは生産設備
や品種も多く、品種により生産可能な設備が変わるなどの事情もあります。それで
も、算出の方法は変わりません (^−^)
◆算出時の留意事項
算出時の留意事項です
・生産ラインごとに生産できる品種を区分する
多品種工程図によって整理するのが現実的です。複数の生産ラインで生産できる
品種は、双方に計上します
・限界利益の算出
最初は、生産ラインごとの前項品種の単位数量・限界利益と時間当たり・限界利
益の算出です。次に、時間当たり限界利益の大きい順に品種を並べ替えます
・販売可能量の設定
マーケットの需給バランスによって変わります。製品が品薄で供給メーカーが優
勢な売り手市場なのか、逆に製品が過剰気味で供給メーカー劣勢の買い手市場な
のかも大きく影響するということです。いずれにしろ、中期的な販売努力を織り
込んだ販売可能量とすることをお薦めします (●^o^●)
・単位生産時間
実際は、生産方法により変化します。量産型の場合、単位生産量にプラスされる
段取時間の割合は、通常極小です。このような製品の少量生産では、生産時間を
どのように見るのか難しい問題も出てきます。基本的には、実態に応じた最小生
産ロットにするなどになるでしょう (^−^)
・生産プロダクトミックス
編成効率算出で苦慮するのは、生産プロダクトミックスの姿設定です。割り切る
しかありません。試算例を参考に一度やってみて、悪ければあとで修正すれば済
むことです
◆編成効率の使い方
同様の指標設定をおこなう場合、一番難航するのは頭の切り替えです。とくに、工
場側は、言われたことはやる式の受け身の姿勢が強いケースが目立ちます。そこで、
短期的に変えようとせず、1年先の販売計画に反映させるつもりで望むなど、やや中
期的な取り組みが必要です。機会利益の大きさを見せれば、人は行動を起こすしか
なくなると割り切りましょう (^0^)
いずれにしろ、編成効率は単独の部門で解決できる課題ではありません。その意味
で、統制する部門あるいは統制機能の役割付与が不可欠です
編集後記
No.90に引き続き、梅の写真を掲載しました。梅の次は、春一番、白モクレン、桜と
恒例行事が待ちかまえています。しかし、一方で今冬一番の冷え込みです。やはり、
素直に春はやって来てくれません
花粉の飛散量も今のところはわずかです。薬を真面目に飲んでいるせいか、目立っ
た症状はまだ出ていません。時々、鼻水がでていますが…。そろそろ、薬が品切れ
します。2月14日(月)、お医者さんに寄るつもりです
今年の飛散量は多いので、新たに発症するかたもいると思います。お知らせいただ
ければ、仲間入りをともに分かち合うつもりです (^∧^)
今回頁数は次のとおりです
259行/校了時点の合計÷53行/頁≒4.8頁
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!