収益改善に役立つ統制指標の切り口

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 収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2010/02/01 No.45

 

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【目次】

1.効率的な物流拠点とは

まえがき

こんにちは 前田です!

 

空気が乾燥し、晴天が多いですね (^^)♂♂
何気なく、近くの木々を見渡すと、春の息吹が感じられるようになってきました。

もうすぐ、春だなあと周りから呼びかけられているようです

 

ところが、喜ぶことばかりではありません。花粉症の季節がやってきたんです。今
日1月30日(土)、例年のことですが花粉症の薬を処方していただくために医者に

行ってきました。まだ少ないようですが、やはり、花粉症の治療に訪れている人が
います

 

小生は、1990年2月に発症しました。何と20年になるんです。漢方(小青竜湯)を含
め、全部で5種類処方していただいています

 

皆さんは大丈夫ですか (?_?)

 

仲間入りは歓迎します (^^)♂♂

1.効率的な物流拠点とは

物流拠点の目的とは何でしょうか (?_?)
倉庫、SP、デポ、流通センター、物流センターなどと呼ぶこともあります。いずれ

でも構いません (∩_∩)

 

*用語「物流拠点」
 「トラック ターミナル,コンテナー ターミナル,物流センター,倉庫,上屋など,

 物流の各段階に設けられる施設」JIS Z0111:2006による「物流拠点」の定義

 

*用語「倉庫」
 倉庫業法 第2条では、次のように定めています。この法律で「倉庫」とは、物品

 の滅失若しくは損傷を防止するための工作物又は物品の滅失若しくは損傷を防止
 するための工作を施した土地若しくは水面であって、物品の保管の用に供するも

 のをいう

 

*用語「SP」
 Stock Point、販売側出先にある、在庫保管、配送機能を持つ物流拠点

 

*用語「デポ」
 Depot、販売側出先にある、配送機能を持たない物流拠点。これが本来の意味です

 が、実際には、異なる使い方が見られます。たとえば、配送機能を持っているの
 にデポと名称に使っているなどです

 

いきなり、言われてもとまどうかもしれません。ここでは、毎日の出荷に製品を保
管する流通型物流拠点が対象です。流通型以外には、工場の生産ラインに原材料・

部品を供給する用途もあります

 

前項紹介のJISでは施設を指していますが、必ずしも物理的な施設にこだわる必要は
ありません。物流インフラを考慮すれば、必ずしも施設が必要とならないこともあ

るからです。物品が一時滞留する場所の意味で、小生は物流拠点の用語を通常使っ
ています

 

 

◆流通型物流拠点の目的

 

流通型物流拠点の目的ですが、小生は次のように考えます。狭義の流通型物流拠点
の目的とは、出荷品を納入条件の遵守可能な時間までに運送事業者に引き渡すこと

です

 

今回は触れませんが、物流拠点の目的だけ考えて物流拠点そのものの設計はできま
せん。なぜ物流拠点が必要なのか、もっと広い物流戦略からの位置づけを明らかに

することが優先されます。念のため (^−^)

 

 

◆物流拠点の善し悪しは使い方

 

物流拠点がやっかいなのは、単に施設を見ても善し悪しの判断が困難なことです。
同じ物流拠点でも、使い方により良くも悪くもなります。ものは使いようとでも言

うのでしょうか。何か禅問答めいていますが、本当の話です (=^^=)

 

例を挙げましょう。物流拠点の運用方法を次のとおりとします

 

・物流拠点は公道に面して立地
・拠点と公道の間にトラック2台のみ横付け可能

・毎日、客先に出荷する流通型として利用
・13時から17時(4時間)まで、トラック20台の積み込み必要

・トラックへはバラ積み
・拠点内の荷揃えスペースは2台分のみ

・荷揃え30分、積み込み30分かかる
 (荷揃えしながら積み込みの同時作業可)

 

 

◆出荷作業の実施

 

前項の条件にしたがって、出荷作業をおこないます

 

・〜13時 あらかじめ荷揃え完了
・最初のトラック2台横付け、即積み込み13時30分出荷完了

・2番手トラック2台横付け
・13時30分から次の荷揃え開始、同時積み込み14時出荷完了

・3番手トラック2台横付け
・14時から次の荷揃え開始、同時積み込み14時30分出荷完了

 

以下、同様に作業します。30分で2台積み込み可能となっていますので、13時から17
時までの4時間では、16台出荷可能です。出荷トラックは20台ですから、同様の作業

を続けると、余分に1時間かかり、作業終了は18時となります (>.<)

 

実際には、積み込み待ちトラックの待機場をどうするのか、出荷遅れトラックによ
る納品時間の遅れ発生が常態化してしまうなどの問題が残ります

 

ここで挙げた物流拠点の出荷作業には、無理があるということです。作業者の工夫
の範囲を超えており、別途何らかの方策を施すことが欠かせません (>_<)

 

 

◆条件変更後の出荷作業

 

使い方を変えてみましょう。前項の例に使用した物流拠点の運用方法を一部変更し
ます

 

・13時から17時(4時間)まで、トラック10台への積み込みとする
 (20台を10台に半減します)

 

このケースにおける出荷作業では、トラック台数が半分になりましたので、同様に
作業すれば、15時半までの2時間半で出荷完了となります

 

問題は、身の丈に合う使い方さえすれば同じ物流拠点でも十分活用できることを、
ご理解いただけたでしょうか (∩_∩)

 

 

◆出荷実態に合わない物流拠点

 

物流拠点の問題発生の根源は、ほぼ決まっています。現状の出荷実態に物流拠点が
合っていません。それも、金を掛けた拠点ほど問題は深刻度を増しています。さら

に悪いことに、現在運用している企業では、どうすればいいのか絵を描けないこと
が多いのです。金を掛けた物流拠点の代表格には、立体自動倉庫があります。典型

的な問題点は次のとおりです

 

・出荷時間帯が深夜におよぶ
・結果としての残業が常態化する

 

 

◆積み込み場と保管機能が問題解決のキー

 

それでは、どうすればいいのでしょうか (?_?)
結論は単純です

 

・積み込み場の確保
 あらかじめ荷揃えを完了させておき、トラック到着後、ただちに積み込み可能と

 するスペースの確保。何も障害物がない運動場のように線引きしてあるのみの場
 所が該当します。

 物流拠点にとって一番重要なのは見栄えのする建屋ではなく、普段何も置かれて
 いない積み込みに十分な広さの確保です。エンジニアリングメーカーから見れば

 お金をいただけない部分になります。メーカーは、分かっていて言わないのか、
 分かっていないのかは不明ですが、ユーザーにとって不幸な事態に変わりありま

 せん (>_<)

 

・出荷実態を反映した保管機能の区分別設置
 通常は、密積保管、大口出荷用保管、小口出荷用保管に区分して設置することを

 推奨しています

 

 密積保管とは、大口あるいは小口出荷用への在庫補充のための保管です。間違っ
 ても、日々出荷用の保管ではありません。実際の保管方法は、高層ラックあるい

 はパレット高積み3段等の平置き型保管です

 

 大口出荷用保管とは、車単位の出荷対応の保管が相当します。実際の保管は、パ
 レット高積み3段等の平置き型保管です

 

 小口出荷用保管とは、毎日の小口出荷に対応するためのものです。当保管は、荷
 揃え場と同時確保が絶対条件になります。方面別・車番別・配送逆順仕分け、運

 送会社別仕分け等が欠かせません。荷揃え場の面積が不十分だと、出荷遅れの多
 発につながります。問題の多い物流拠点に共通する課題です (>_<)

 

何でこんなに空きスペースがあるんだ。もっと効率よく使えないのかなどの発言が
飛び出す経営層が昔はいたものです。弁護するのに苦労したことを思い出します。

現場の人がかわいそうですね(=^^=)

 

小生は、どちらかと言えば、立体自動倉庫はお薦めしていません。しかし、時と場
合によりけりです。立体自動倉庫というより、単位面積当たりの保管量を確保でき

る高層ラック保管は捨てがたい魅力があるからです。前述の保管機能に応じた使い
方が問題であって、高層ラックが問題なのではありません (●^o^●)

 

 

◆高層ラック保管のスペース効率

 

ラック保管と平置き型保管では、どちらが面積当たりの効率が良くなるのでしょう
か。参考までにご紹介します。ただし、ラックおよびパレット間の余裕間隔は考慮

していません

 

流通用在庫の保管パレット数を10,000枚、パレットはT11型の1100×1100mmを使うと
します。パレット高積み保管ではフォークリフト荷役で通路幅4m(通路率45%)、

3段積みで、7,335平方メートル(2,223坪)必要です

 

これに対し、高層ラック保管では、スタッカークレーン荷役で通路幅2m(通路率50
%)、15段積みで、1,614平方メートル(489坪)で済みます

 

つまり、スペース効率は(7,335:1,614≒4.5:1.0)となり、15段積み高層化では3段
積みパレット高積みに比べ、平面積で4.5分の1で済むことになります。ただし、投

資金額が嵩みますので、このような実態を知った上でやむを得ない場合に限るべき
でしょう

 

*用語「通路率」
 物流拠点内の保管場面積に占める通路面積の割合のことを指しています。保管場

 を上から平面図的に見て、製品が置かれている正味保管面積と、通路の合計が保
 管面積です。たとえば、保管場が1,000平方メートル、このうち通路が450平方メ

 ートルだとしたら、450÷1,000で通路率45%となります。流通用在庫、パレット
 高積み保管のケースでは、45%程度の通路を確保することが効率的な荷役上欠か

 せません

 

皆さんの企業では、物流拠点の使い方で悩んでいませんか (?_?)

編集後記

今回採りあげた物流拠点ですが、立体自動倉庫を使っている企業にとっては深刻な
問題です。しかも、お話を伺うと使い勝手が悪い、とくに出庫能力が忙しいときに

不足していることが聞かれます。結果として、出荷時間帯が深夜におよぶのです

 

要は、道具の使い方です。道具の機能と特性をわきまえて、使いこなすことが必要
です。皮肉なことに、金を余り掛けていない平置き型保管の物流拠点では、深刻な

お話しをお伺いすることが少ないことです

 

後生に憂いを残さないようにしたいと深く感じ入っております m(_ _)m

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!