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収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2009/08/03 No.23
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【目次】
1.全体最適とポテンシャルの切り口
まえがき
こんにちは 前田です!
昨日(7月31日)、人間ドックを受診。大腸の検査を申し渡されました。ほぼ1日つ
ぶれる検査になるということです(>_<)
ドックの正式な結果連絡は、2〜3週間後とのこと。検査はそれからになりますね。
ほかの項目で、目立ったことといえば、メタボリック検診の一つでウェスト回りの
測定があります。昨年より5cm細くなっていました (^^)♂♂
看護師さん曰く、おかしいですね。測り間違いかしら…
思い当たることは別にないんですが…。あるとすれば、夜遅くの食事はしないこと
と、お酒の量が減っていることぐらいですね。節酒の理由は、原稿書きに支障がな
いようにしているためだけなんですが…(?_?)
体重は相変わらず、ほとんど変わりません。高校1年の時とほぼ同じです。例年、
あまり良くないのが骨密度です。年齢別の比較でも、やや悪いのです。食事から取
るようにとのお話しなのですが、普段の摂取量を計算してみると500mg弱みたいです
ね(汗)
カルシウムのサプリメントを早速、通販で注文しました。1年間飲んでみることに
します。あとは、大体昨年並みです(^^)
サプリメントを発注するために調べていましたら、日本とアメリカでは違うんです
ね。厚生労働省によると、日本の基準は1日700mgだそうです。欧米では、1日1200
mg以上の接種が推奨されています。しかし、日本における実際の摂取量は、2000年
の調査でも1日550mgでしかありません。カルシウムは、日本人に不足している栄養
素なんですね。1日700mgは最低限であって、骨粗鬆症を予防しようとするなら1日
800mgは必要なようです
1.全体最適とポテンシャルの切り口
ポテンシャルとは、ある対象が本来持っている潜在能力を指しています。営業ポテ
ンシャルと言えば、営業が本来持っている潜在能力のことです。この例は、前回第
22号メルマガで紹介しました。また、生産ポテンシャルは、生産が本来持っている
潜在能力を指し、開発ポテンシャルについても同様です
それでは、ポテンシャルをより引き出すために、どのような切り口から見るべきで
しょうか。前回メルマガでは、損益計算に重点を置いて紹介しました。ここでは、
ポテンシャル引き出しの切り口とマーケット環境の変化が与える影響を採りあげま
す
◆ポテンシャル引き出しの切り口例
・人
・設備
・技術
・評価制度
・運用ルール・基準
ポテンシャル引き出しの切り口は、これらの複合要因や、ほかにも可能性がありま
す。前回採りあげた、Z社の営業ポテンシャルを例に確認してみましょう
◆Z社の最小販売価格基準
Z社の営業見積基準は、次のとおりです
最小販売価格(基準売価)=製造原価+販売経費
製造原価(100)は、製造固定費(15)と製造変動費(85)で構成。売上高(100)
に占める販売経費(10)は、運賃と手数料を含む販売数量比例の販売変動費です。
前回紹介していませんが、販売経費には畜産基金への拠出金も含みます。当基金
は、農水省の認可により設立された全国畜産配合飼料価格安定基金のことです
◆運用ルールが営業ポテンシャル抑制の原因
つまり、最小販売価格は粗利の確保と、販売変動費の回収が条件となっています。
一般的には、最小販売価格は粗利確保を条件とし、最悪でも限界利益確保とするこ
とが多いでしょう。しかし、Z社では粗利+αの基準採用により、失注が増加して
いたことになります(もっとも、社内では限界利益という概念が認知されていませ
んでしたが…)(>_<)
◆失注増の要因は飼料価格の高騰
売上増の可能性ありという、営業ポテンシャルを阻害していたのは社内基準に一因
があったわけです。従来は、Z社の知名度、マーケットシェアの高さから問題にな
らなかった価格設定が、なぜこのように変化したのでしょうか
それは、配合飼料の高騰が一番の要因です。地球温暖化の阻止が狙いで始まった新
燃料のバイオエタノール製造が、皮肉なことに、穀物の値上げをもたらしたことに
なります。酪農家にとって、配合飼料価格の高騰は死活問題であり、価格に敏感と
ならざるを得ません。バイオエタノール用穀物への転換が、回り回って配合飼料
メーカーの価格競争に輪をかけたことになります
◆マーケットの環境変化に即応必要
知名度の高さ、マーケットシェアの高さを武器にした経営が、あるきっかけで流れ
が変わることがあります。限界利益基準を積極的に採用することは、決して好まし
いものではありません。というのは、限界利益基準で最小販売価格を決めると、利
益率を落とすことになるからです。中期的には、もっと根本的な競争力を高める方
策が欠かせません
たとえば、多様なコスト低減策、付加価値を高める配合飼料の開発、飼料穀物調達
の多様化、工場の統廃合による生産集中化、補完しあう事業の多角化展開などです
◆今後の方向性
日本全体から見た今後の流れは、次のような方向に進むと考えられます
・飼料穀物調達から配合飼料製造までの囲い込み進展
(飼料穀物生産後から、配合飼料販売までの付加価値丸抱え)
・飼料穀物栽培の開発輸入
・飼料メーカー共同による工場の大規模統合
・新配合飼料の開発
◆全体最適の主題は業際間課題
飼料メーカーの営業ポテンシャル抑制の原因は、社内の運用ルールにありました。
利益率を落とすため、根本的な方策抜きには、あまり好ましいとは言えませんが…
(^∧^)
営業ポテンシャルを引き出す「切り口」は、ほかにないのでしょうか。営業は人が
主体です。人の「営業能力」を引き出すのが、むしろ本道かもしれません
私どもは、部門長の責任でおこなうべき課題をフィールドの課題と呼んでいます。
全体最適では、部門内の課題に直接関わらず、部門間にまたがる課題(業際間課
題)を解決することで収益向上に資する立場を取っています。営業の能力そのもの
を引き上げる課題は、フィールドの課題です。それに対し、運用ルールの改定をと
もなう課題は業際間課題に相当します
営業能力を引き出すのは重要です。これ自体、大きなコンサルティングテーマにな
ります。参考図書を紹介しましょう。最近読んだ営業に関する書籍では、もっとも
お勧めできるものです。営業担当者から見ると、当たり前のことが書かれています
が、現実は実行されていないのが大半ではないでしょうか
佐藤 昌弘著「凡人が最強チームに変わる魔法の営業ミーティング」
(株)日本実業出版社 2009年6月発行
◆評価制度は営業の行動決める
ベテランの営業ほど、自分の営業行動が良い方向に評価されることに非常に敏感で
す。逆に、悪い評価になることが予測されると、現在進行中の営業行動でも中止す
ることが見られます
たとえば、販売価格をある程度自由に決められるケースを想定しましょう。いっぽ
うで、会社のルールは、粗利の大きさで営業の評価やボーナスが決まるとします。
顧客との商談で提示された価格では、限界利益が黒になるものの、粗利が赤あるい
は営業利益が赤となるケースが問題です
限界利益が黒ですから、全社の営業利益増に貢献することは明らかです。しかし、
ベテラン営業は大抵のケースで、商談中止が多くなります。商談が成立したとして
も、本人および所属チームの成績がマイナス評価を受けることになるからです
皆さんの企業では、いかがですか。組立型メーカーでは、限界利益による評価が見
られますが、装置型メーカーにおいては、意外に評価基準が限界利益にはなってい
ません
◆生産ポテンシャル
同様の視点で、生産を見てみましょう
多くの企業では、生産における管理の基準が、量中心となっています。たとえば、
原材料、仕掛品、製品在庫の量を一定水準以下にする、歩留まりを引き上げるなど
です。生産日程計画立案でも、決められた期日までに必要なものを造るなど、量中
心の管理がほとんどと言っていいでしょう。反面、量を評価基準にすると矛盾が出
てくることもあります
たとえば、生産工程では後工程になるほど付加価値が加わり、在庫評価金額も大き
くなります。工程全体では在庫重量(在庫量)が同じであっても、前工程のほうが
多ければ全体としての在庫金額は小さく、後工程が多くなれば、逆に在庫金額は大
きくなってきます。ごく当たり前のことです
各工程で効率化や基準を守る判断基準を製造原価や収益に変えると、また別の世界
が見えてくるものです。本文最初のほうで、ポテンシャル引き出しの切り口として
人、設備、技術、評価制度、運用ルール・基準を挙げました
繰り返しになりますが、私どもは、部門長の責任でおこなうべき課題をフィールド
の課題と呼んでいます。生産現場での、仕掛品の量管理、歩留まりの向上などは、
フィールドの課題であり、全体最適の立場から直接的には採りあげません。あくま
でも、生産部門の部門長の責任で解決すべき事項と考えます
◆外注品の内製化
全体最適から見た生産ポテンシャル引き出しの例として、外注品の内製化を採りあ
げます
ある企業で、一部の製品を外注化しています。製品製造の設備は工場内にもありま
す。従来からのルールにより、内製化では社内労務費の適用、製造設備の償却費負
担が必要です。結果的に、原価計算すると内製化は外注に比べ割高になってしまい
ます。これらの経緯から、いまだ内製化には至っていません
しかし、製造設備は事実上、遊休化しており、現時点ではほかの製品製造に転用す
る計画もありません。製造設備の償却費は、外注を続けても、製品の内製化をして
も一定で変わりません。再度の内製化検討により、増分コストはないことも判明し
ました。外注品の量が多くなかったこともあり、製造要員を増やさずに対応できる
というのです。仮に、製造設備の償却費を原価に入れなければ、外注より割安とな
ることも分かりました
このときの設備償却費を埋没コストといいます。外注時でも、内製化しても変わら
ずに発生しているコストのことです。このケースでは、外注しているときでも設備
償却費は発生しており、内製化しても同様に発生します。つまり、内製化したとき
には、設備償却費は無視して比較できるということです。あるいは、外注費と内製
費化時の費用を比べる場合、双方に設備償却費を入れて損得を見ることになります
このケースから言えることは、埋没コストの活用を図る場合、社内の原価計算の
ルールを変えることにより、利益増に貢献できることになります。生産ポテンシャ
ル引き出しの運用ルール改定です
編集後記
ポテンシャル引き出しを考える場合、その取り組みが部門長の専権事項なのか、
それとも部門横断で最適解を求めるべき事項なのかによって、次のように区分でき
ます
◆ポテンシャル引き出しの課題区分から見た取り組み
・人(主にフィールドの課題)
・設備(主にフィールドの課題)
・技術(主にフィールドの課題)
・評価制度(主に業際間課題)
・運用ルール・基準(フィールド・業際間の課題)
◆フィールドの課題とは
部門権限でできる自部門内の能力開発・改善・改革事項を指します。販売では、顧客
サービスに関わる事項、販売管理、人材の能力開発が相当。生産では、生産計画のし
かた、歩留まり改善、品質向上、製造、原価低減、人材の能力開発に関わる事項等が該
当します
◆業際間課題とは
業際間課題とは、複数部門が協同でおこなうべき課題であり、部門横断の最適解が
必要な事項を指しています。全社の収益改善に寄与する観点から判断が求められる
ことが多いのも特徴です
◆実際はフィールドも同時並行取り組み必須
全体最適の視点から収益改善に取り組む場合は、主に業際間課題を対象とします。
そうは言っても、実際各社で課題調査を実施してきた内容からすると、フィールド
の課題にも同時に取り組むことが不可欠となることが大半です
◆8/2〜8/3川口市の第31回たたら祭り
第57回戸田橋花火大会が、今日8月1日(土)です。家の前からも見えまよ(∩_∩)
明日の天気はどうなるのかなあ。小生の住む川口市では、例年8月第1週の土日
「たたら祭り」があるんです。たたらとは、製鉄の時に風を送る「ふいご」を意味
します。鋳物の町にちなんだ名前です。毎年人出が2日間で40万人を超しているよう
ですね(^-^)
天気が良ければ、明日の日曜日出かけようと思っています。メイン会場の川口オー
トレース場までは約5kmです。自転車で行くのにちょうどいい距離ですね(^o^)
◆8/6〜8/9第59回わらび機まつり
8月6日(木)〜8月9日(日)は、道路を一つはさんだ隣町、蕨市の第59回わらび機まつ
りです。七夕祭りですね。会場は蕨駅の西口付近で、自宅から歩いて12分くらいの
近さです。この前、ラジオ番組で採りあげていましたが、市の名前を書けない地元
高校生も多いそうです。市でも名称を平仮名に変えることを検討していると聞きま
す
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう(^.^/)))~~~bye!!