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収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2010/04/26 No.56
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【目次】
1.量産効果(製造原価)
まえがき
こんにちは 前田です!
自宅前公園の八重桜がきれいです。ソメイヨシノは、葉っぱが青々となってきまし
た。玄関横の白木蓮もです。植え込みにあるスズランも花をつけ始めています。や
はり、そこらじゅう春ですね \(◎o◎)/!
近くの街路樹のハナミズキ(花水木)がきれいに咲いています。この花を見ている
と、小生はなぜかほっとするのです。なぜなんでしょうか (=^^=)
この木は、今から約100年前、1912(明治45)年、東京市から米国に桜の苗木三千本
贈られ、その返礼として日本に贈られたものです。今でも日本では、ワシントン・
ポトマックの桜が咲いたことが報じられます。桜はアメリカでも愛されているよう
ですが、日本でのハナミズキは影が薄いようです (○`ε´○)プンプン!!
量産効果については、今まで立ち入った内容の紹介をしてきませんでした。数字中
心の説明になると思い、テキスト形式では書きにくかったためです。これまでも、
説明の必要上から最小限の用語解説にとどめています。全体最適には欠かせない要
素の一つでもあるため、分りやすい説明を心がけ、今回紹介することにしました
m(_ _)m
タイトルでお分かりのように、製造原価を中心として今回は述べることにします。
いずれ、売上原価についてもお話しする予定です (^−^)
1.量産効果(製造原価)
◆量産効果とは
量産効果とは何でしょうか。次の用語解説で、まず内容確認をしましょう m(_ _)m
*用語「量産効果」
売上数量が増加することによって売上原価が一定割合で下がること。または、生
産数量が増えることによって製造原価が一定割合で下がることです。損益分岐点
売上(あるいは生産)数量分析で算出できます
◆量産効果の効用
業種の違いにより、活用方法には量産効果を重視する場合と、比較的重要視しない
ケースに分かれます。量産効果が販売上で重視される製品には、ゲームマシン、テ
レビ・ビデオなどの家電製品、パソコンなどマーケットシェアが重視されるものが
特徴的です。大量販売により、販売価格の低下を促し、さらに普及度を増す意図が
見られます。いわば、シェアを取りに行くのが特色です。組立型業種に多い特徴か
も知れません
*用語「業種」
商品あるいは事業による分類 ex.食品、水産、建設、機械、化学
◆重要視する組立型業種
組立型の業種とは、どのような内容なのでしょうか。部品組立によって製品化する
メーカーのことです。一般に、一社ですべての部品を製造していることはなく、産
業の裾野が広くなっています。最終組立工場における、付加価値は高くないのも特
徴です。組立型産業の代表格、自動車は部品点数が2.5〜3万点にもおよびます
ここでいう付加価値とは、最終製品の販売価格から外部調達コストを引いた残りを
指しています。たとえば、販売価格が1万円、部品調達コストが9千円ならば、内部
加算分は、価格の10分の1、千円に過ぎません。販売価格に占める調達コストの割合
が高い場合を、付加価値が相対的に小さいと表現します
したがって、利益拡大を図ろうとすれば、調達コストの低減、販売量の拡大が避け
てとおれません。販売量拡大により、調達コストの低減、製品1個の利益増加、しか
も量増加が利益を相乗的に伸ばします
◆組立型メーカーの特徴
装置型と比較した、組立型メーカーの特徴を挙げると、次のとおりです
・組立の自動化も多くなっていますが、人手によることが主流。
人が付加価値を造っています
・作業人員が相対的に多い
・設備投資が小さくて済む
・生産量の増減には対応力がある
結果として、生産コスト回収に必要な限界生産量に対する柔軟性が高くなります
*用語「限界生産量」
生産プラントや、生産ラインごとの生産コスト回収に必要な生産量をいう。プロ
フィットセンター管理のケースで相当するのが、損益分岐点生産数量です。この
生産量を上回ると利益が計上され、経済生産量とも呼びます
*用語「プロフィットセンター、コストセンター」
プロフィットセンターとは利益責任単位のことです。企業の各部署の経営業績を
明確にするため、独立採算として収益・費用を集計する管理単位が相当します。
これが成り立つためには、責任・権限の委譲と責任部門の確立が必要です。
代表例には、営業部門が相当します。販売計画で売上および経費を想定した利益
計画立案が責務です。つまり、利益と経費の計画が必須な部門がプロフィットセ
ンターに相当します。これに対し、経費のみの年度計画あるいは予算立案を要求
されるのは、製造・物流部門が代表格でしょう。経費予算のみで、利益予算を求
められない部門がコストセンターです
◆製造原価の量産効果
ところで、なぜ生産コストが下がるのでしょうか。素朴な疑問です。一般に、多く
造れば下がると言われます。多く造るとなぜ下がるのですか?
……… (?_?)
簡単な例をもとに説明します。次の数値は、製造原価の構成比です
(現状)
生産数量 10
原材料費 20(1個2×10個)
労務費他 80(生産量で変わらい製造固定費)
原価合計 100(原材料費+労務費他)
製造原価 10(原価合計÷生産数量)
仮に、生産数量が倍の20になったとします。原価はどう変わるでしょうか
(数量2倍時)
生産数量 20
原材料費 40(1個2×20個)
労務費他 80(生産量で変わらない製造固定費)
原価合計 120(原材料費+労務費他)
製造原価 6(原価合計÷生産数量)
生産量が倍になり、製造原価は10から40%減の6に下がりました。これが、製造原価
の量産効果です。製造原価に占める原材料費の構成比で、原価変動の割合は変化し
ます。ここでいう原材料費が製造変動費、労務費他が製造固定費です。製造変動費
の大小により、原価変動の大きさも変わってきます
◆装置型業種では量産効果の概念が薄い
これに対し、装置型業種では、量産効果の概念が薄いと言わざるを得ません。同業
種の代表格には、石油化学・建材・食品メーカー等あります
装置型業種の特徴は、人より装置が付加価値を多く造っていることです。ただし、
化学や食品メーカーの一部では、正確にいうと装置というより、重合反応、酵母な
どと言ったほうが正確かも知れません (●^o^●)
なぜ、これらの業種では量産効果が重視されてこなかったのでしょうか?
小生自身も、装置型メーカーに元々在籍していました。もっとも、当時はそんなこ
とを考えたことがありませんでしたが… (^0^)
どうやら、新製品の企画から販売に至る流れの中に、その原因がありそうです。簡
単に、この流れを確認してみましょう
◆サイクル管理の概略
新製品の企画から、販売に至る流れをサイクル管理と呼んでいます。ここでは、
装置型業種の量産効果に対する概念が薄い原因を探ることが狙いのため、概略の紹
介です
*用語「サイクル管理」
サイクル管理とは、マーケットサイクルとビジネスモデルの同期化を指していま
す。マーケット、販売、生産、調達の各段階における異なる周期を、販売計画・予
約・受注などの情報、あるいは在庫などで同期化させることによって機会損失最小
化を図ることです(この説明では不十分かも知れません m(_ _)m)
・製品企画(量産型製品のケース)
自社技術を生かし、顧客ニーズを満たす新製品が企画されます
・販売価格、販売量、納品リードタイム、アイテム数の設定
販売価格は、自社の都合ではなくマーケットで決まります。販売量は、マーケッ
トシェアの想定などによって意志決定が必要です。同時に、販売に必要な顧客サ
ービスとしての、納品リードタイム、アイテム数などが設定されます
・製品ライフサイクルを基に生産投資枠の設定
製品ライフサイクルに代えてマーケットサイクルが採用されることもあります。
ここまでの流れで、マーケットから得られる売上高(=収益)が想定されます。
結果としての、生産投資枠の設定です
*用語「マーケットサイクル」
車は4年毎、パソコンは春モデル、秋モデルなどもっと短い期間でモデルチェン
ジをおこなっています。これら、各企業の投資・回収の繰り返し期間がマーケット
サイクルです。一般に、マーケットにおける投資・回収が繰り返される期間を指
しています
・生産能力設定
生産投資枠の範囲内で必要生産量を生産可能な製造設備・プラントの設計が実施
されます。同時に、生産能力・生産サイクル・生産リードタイム・稼働率・基準
在庫量・製造原価なども設定できます。一旦設置した装置型プラントは、容易に
変えられません。また、一定の稼働率を維持しないと採算確保も困難です
・稼働率向上が関心事
稼働率が一定以上になれば、利益が保証されます。装置型メーカーの関心事は、
稼働率向上にならざるを得ません。利益が保証される稼働率が目標となり、マー
ケットシェアは結果です。マーケットシェア拡大には、プラント増設が必要で
す。装置型生産では、稼働率が確保される計画量達成時の製造原価が到達目標と
考えられます。量産型のため、わずかな販売量増減では製造原価もほとんど変化
しません。これが営業見積時の量と基準売価設定に影響します
◆量産効果の概念が薄い原因
結論です \(◎o◎)/!
装置型業種で量産効果の概念が薄い原因は、次のとおりと推定します
・稼働率が一定以上にならないと利益が出ない
・そのため、量を増やして原価低減に貢献するというより、量産時の原価に到達
するための量確保=一定の稼働率が指向されてきた
◆装置型メーカーの特徴
組立型と比較した、装置型メーカーの特徴を挙げると、次のようになります
・装置が付加価値を造り、人は監視作業が多い
・相対的に作業人員が少ない
・装置に多額の投資が必要
・生産量増減によるコスト増減は、組立型に比べ柔軟性に乏しい
◆全体最適の指向からは固定費回転率の向上
量産効果は、全体最適の観点から見ると固定費回転率を上げることに相当します。
固定費回転率とは、固定費の回転率を上げ、資産および資産以外の効率性追求を表
わす指標です。固定費回転率は(売上高÷固定費)で算出します。固定費回転率を
上げるということは、売上高を多くするか、固定費を小さくすることです。やや専
門的になりますが、貸借対照表と損益計算書を同時に効率化する意味を持っていま
す。管理手法の一つ、シックスシグマの改善の重点は貸借対照表と理解しています
*用語「シックスシグマ」
日本の品質管理(QC)を研究し、1970年代後半に米国モトローラ社が開発した
生産プロセス改善手法。現在は、製造以外の分野にも展開され、経営改善の方法
論となっています
これに対し、サプライチェーンマネジメント(SCM)の重点は、損益計算書の改
善に置かれています
*用語「サプライチェーンマネジメント(SCM)」
サプライチェーンを構成する販売・生産・調達・物流に至る各業務の連鎖が、もっと
も効率よく運用され、収益能力最大となるしくみをいいます。SCMは統制機能
です
固定費回転率は私どもの造語ですが、一般用語には総資産回転率があります
(総資産回転率=売上高÷総資産)。これは、貸借対照表を分析する際によく使わ
れる指標です。しかし、この場合の総資産には人を含んでいません
この点、量産効果には人の費用も固定費として算入して算出します。ここでいう固定費は、管理会計で用いられる概念の固定費と同義です
*用語「固定費」
変動費に相対するコスト概念。生産数量、販売数量の増減に関わりなく発生する
コストです。労務費、減価償却費、保険料などあります。実際には、固定費と変
動費の境界は明確でなく、実質的にコストを決めている雇用契約などの制度、生
産・販売方法などで流動的です
編集後記
量産効果には売上原価もありますが、誌面の都合上、今回は製造原価中心となって
しまいました。いずれ、売上原価についてもご紹介予定です (=^^=)
世間では、ゴールデンウイークの過ごし方に注目が集まっています。今日26日(土)
から、すでに連休が始まっているかたも中にはいるかもしれません。全体的には、
4月29日(木)、あるいは5月1日(土)からというかたが多いのではないでしょうか。
今年は、暦の関係上、長丁場の休みが取りにくいような気がします (>_<)
皆さんは、どこかに出かける予定を立てていますか?
小生は、連休を利用して遠出することはあまりありません。どこに行っても、人が
多く、宿泊料金も高いのが普通です。そこで、大抵は近場の温泉に日帰り程度と相
場が決まっています (^o^)//””パチパチ
今年は、これにくわえ、仕事が溜まっています。ある程度、連続して時間を掛けな
いと捌きにくいのが原因で、連休まで持ち越してしまいました (>_<)
そこで、連休の過ごし方は、仕事7、遊び3くらいの割合になる予定です
いずれにしても、5月の連休は例年お天気も良く、新緑もきれいな折ですから、自然
に親しみ、体を動かすことに努めたいと思っています
4月25日(日)、スポーツクラブから帰って清書しています。きょうは、3,300m泳ぎま
した。良く聞かれるのですが、25mプールです。2,150m泳いだ時点で、左足ふくらは
ぎが吊ってしまい、一時小休止。それから850m泳いで、ちょうど3,000mとなりジャ
グジーでしばらく暖まりました。割と空いていたこともあり、追加で300m泳いで完
了です。正味泳いでいた時間は70分弱。我ながら、タイムが落ちたものだと嘆いて
います (>_<)
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!