収益改善に役立つ統制指標の切り口

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 収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2011/08/29 No.116

 

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【目次】

1.遊休設備と内製化

まえがき

こんにちは 前田です!
                   こぶしの湯 8月18日

こぶしの湯お盆休みを利用し、8月17日(水)〜8月20日(土)の3泊4日で草津温泉に行ってきました。前回訪れた7月16日は、草津温泉全部で18箇所ある共同浴場の3湯だけ入っています。瑠璃の湯(るり)、関の湯、千代の湯です。今回は念願かなって、18の共同浴場全部と足湯3箇所も入湯することができました。前回入湯したところにも再度入浴したわけです  \(^^)/

 

草津温泉の東から西に向かって、順番に写真を紹介していきます。最初は、こぶしの湯です。この場所は、建設会社(株)長岡組の一角にあり、上の写真の左側が国道292号線に面しています。長岡組は、草津温泉の古くからのお寺である、光泉寺鐘楼の工事などもしている地元の企業です
                     こぶしの湯

こぶしの湯こぶしの湯の源泉は万代鉱(ばんだいこう)です。万代鉱というのは、この場所とは反対側、白根山に近い草津町西側の草津国際スキー場近くにある大規模な源泉です。元々、硫黄発掘の工事中に温泉が湧きだし工事が中止されたと聞いています。硫黄噴出などの危険があるため、源泉立ち入りは禁止となっているそうです。こぶしの湯は、18の共同浴場の一番最後にできたことが、浴場脱衣場にあったポスターに示されています。ここのお湯は熱かったですね。小生よりだいぶ年配の先客がお一人入湯していました。この日は、朝食前の朝6時半に散歩がてら出かけて入湯したものです

 

こぶしの湯 由来

             こぶしの湯 由来

 

                    恵の湯 8月18日
恵の湯次の恵の湯(めぐみのゆ)は、朝6時50分に入湯しました。国道292号線を、こぶしの湯から約300m、草津温泉中心街方向に戻り、脇道を左折し曲がりくねった坂道を約300m進んだ小高いところにあります。ぬるめで、源泉は万代鉱です。写真のとおり、建屋は新しく建替えられて間もない様子がうかがえます。周りは住宅街で公民館などもあり、犬を連れた散歩のかたと数組出会いご挨拶を交わしました。小生が温泉から上がる頃には、次のかたが入ってきました

 

                      恵の湯
恵の湯浴槽の写真を見て感じて欲しいのですが、とにかく気分のいい雰囲気がただよう温泉です。地元のかたの愛着がなければ、これだけ手入れの行き届いた状態を維持するのは難しいのではないかと思います。朝飯前の風呂の気分を、十分に味わった気分です

                    睦の湯 8月18日
睦の湯続いて、朝食前に入湯した最後の温泉「睦の湯(むつのゆ)」です。この写真を撮ろうとしていましたら、後ろで入湯のかたが待っていました。写真の両側にあるアジサイが、誠にきれいに咲いています。やや季節はずれの感がしますが、ここ草津温泉は気温が低いせいか、植生もやや違うのかもしれません。スナップ待ちしていただいたかたの後を追い、小生も入浴させていただきました。時刻は朝7時10分頃になります。建屋はやや古いのですが、本当の地元の温泉といった雰囲気です。恵の湯から草津温泉中心部に、約300m戻ったところにあります。写真の右隣はセブンイレブンです

                       睦の湯
睦の湯ここの源泉は湯畑です。やや熱めで、先客がお二人いました。写真を撮らせてください、とお断りして写したのがこの浴槽です。どうぞどうぞと、実に気さくなかたばかりでした。感謝感激です。入浴中のかたは、写真の右奥にいます。改めて感謝申し上げます m(_ _)m

 

次回以降も、草津温泉18湯のご紹介を続けさせていただきます (=^^=)

1.遊休設備と内製化

表題のタイトルは、本来は遊休設備による内製化のほうが分かりやすいと思います。
メルマガWebサイトへの表示桁数の都合上、遊休設備と内製化としました。今回内容

は、埋没コストの活用方法です。No.112「外部購入の損得」、No.113「段取替えの
損得」に続く3回目の埋没コストの見方紹介になります

 

埋没コストの見方は、説明を聞く限り理解しやすいものです。しかし、判断を誤り
やすい対象と言えます。企業内で全体最適追求をおこなうさい、埋没コストの判断

を正しくできるようにすることが重要です。最初に用語解説に触れ、実例に基づく
演習問題を解く形式でお話しを進めたいと思います (∩_∩)

 

*用語「全体最適」
 個別部門の部分最適にとどまらず、販売・生産・物流・開発の全ライン部門が経

 営資源を生かし切り収益能力の最大化追求をすること

 

*用語「埋没コスト」
 Sunk cost、埋没原価とも呼び、代替案の間で変化しないコストを指しています

 

 

◆演習問題「遊休設備活用の内製化」

 

K社では、部品Aを、一定の購入単価契約で協力工場に生産委託しています。協力工
場の変動費は分かっていますが、固定費の内訳は把握していません。ところが、自

社内設備Cを使っても、部品Aの生産は可能です。設備Cは、試作品を造るため元々使
われており、当然、減価償却費が発生しています。ただし、稼働時間は、月間で数

時間しかありません。事実上、遊休設備となっているわけです。理由の一つに、設
備Cは本来生産用ではなく、開発のために設置された経緯があります。しかし、使わ

れない最大の原因は、協力工場に比べ減価償却費が割高であり製造原価が高くなっ
てしまうことです。最初に、生産数量等の実態を紹介します。見やすさを考慮し、

数値は単純にしていますが判断基準は変わりません (=^^=)

 

現状購入数量 100個/月
購入単価   200円/個(月100〜150個までのとき)

 

K社では内製化の検討に入りました。埋没コストの考えかた、製造原価の算出方法、
基準売価設定のしかたをセミナー演習で習得したためです。本文では、基準売価設

定について触れていません。次回以降のテーマです

 

 

◆内製案1 従来社内ルール適用時

 

案1は、従来社内ルールにしたがって製造原価を算出したものです。この計算のた
め、社内生産は割高と従来判断されてきました。算出条件は次のとおりです

 

・材料費等の変動単価は生産委託時と同じ
・社内稼働時には他の設備と多数台持ちが可能なため、一定生産量以内ならば労務

 費の上昇はありません。140個程度までは現作業人員で生産可能です。ただし、労
 務費は稼働時間比で配賦します

・減価償却費が割高
・その他製造固定費も配賦

 

現状外部購入時と比較する形で表記します。生産委託とあるのは、現状・外部購入
のことです。内製案1は、従来の社内ルール適用により原価算出しています。ご覧

いただいて分かるとおり、現在の購入単価が200円なのに、内製化の製造原価は270
円です。従来ルールでは、購入単価より35%も割高になります。結果として、外部

に生産委託してきたわけです (^∧^)

 

      生産委託  内製案1 (生産数量:個、金額:円)
         単価    単価

生産数量 個  100     100
製造変動費 10,000 100 10,000 100

 材料費   8,000 80  8,000 80
 その他   2,000 20  2,000 20

製造固定費 10,000 100 17,000 170
 労務費         4,000  (稼働時間比で費用配賦)

 減価償却費      10,000  (費用を直課)
 その他         3,000  (稼働時間比で費用配賦)

合 計   20,000 200 27,000 270

 

 

◆内製案2 埋没コストを除く比較

 

さて、次の案は、埋没コストを考慮に入れた試算です。ここでいう埋没コストは、
減価償却費とその他製造固定費、増加しない範囲内の労務費が該当します。遊休設

備Cは、生産するしないに関わらず減価償却費は変わりません。その他の製造固定費
合計も同様です。したがって、外部購入するしないに関わらず発生する埋没コスト

を除いた比較をします

 

算出条件は次のとおりです

 

・材料費等の変動単価は生産委託時と同じ
・社内稼働時には他の設備と多数台持ちが可能なため、一定生産量以内ならば労務

 費の上昇はありません。140個程度までは現作業人員で生産可能です
・段落の表題通り、埋没コストを除いて算出します

 

次の試算結果を見ていただけば分かりますが、内製化時の単価は100円です。現状の
外部購入する場合の半分で済みます。本来は、このような比較をして、内製か、外

製かを判断することが必要だったわけです (^v^)

 

      生産委託  内製案2 (生産数量:個、金額:円)
         単価    単価

生産数量 個  100     100  
製造変動費 10,000 100 10,000 100

 材料費   8,000 80  8,000 80
 その他   2,000 20  2,000 20

製造固定費 10,000 100    0  0
 労務費           0  

 減価償却費         0  
 その他           0  

合 計   20,000 200 10,000 100

 

 

◆内製案2 埋没コストを含む比較

 

もう一つの比較方法を紹介します。前項の試算は、埋没コストを除いて試算しまし
た。今度は、埋没コストを双方の案に含んで試算したものです。その他の条件は、

前項と変わりません。算出時には生産委託のコストに、K社内で発生している設備C
の固定費をプラスします。したがって、購入単価は370円です。前項の内製案2に設

備Cの固定費をプラスしたものは内製案1と同じ内容となります。そこで、次の試算
例では、埋没コストをプラスした内製案1を比較対象としました。内製コストに埋

没コストをプラスした内製案1の単価は、270円です。内製化時のコストが安いこと
が分かります  \(^^)/

 

      生産委託  内製案1 (生産数量:個、金額:円)
         単価    単価

生産数量 個  100     100
製造変動費 10,000 100 10,000 100

 材料費   8,000 80  8,000 80
 その他   2,000 20  2,000 20

製造固定費 10,000 100 17,000 170
 労務費         4,000  (稼働時間比で費用配賦)

 減価償却費      10,000  (費用を直課)
 その他         3,000  (稼働時間比で費用配賦)

案1の埋没コスト
      17,000 170

合 計   37,000 370 27,000 270

 

 

◆内製案3 数量増時の埋没コストを含まない案

 

生産数量が150個以上になりますと、作業者の可能持ち台数を超えてしまいます。そ
こで、不足生産量を残業でカバーせざるを得ません。その分固定費が上昇します。

これを見込んだ案が内製案3です。外部購入の数量を150個にしたときの、埋没コス
トを含まない比較になります。算出条件は次のとおりです

 

・材料費等の変動単価は生産委託時と同じ
・社内稼働時には他の設備と多数台持ちが可能なため、一定生産量以内ならば労務

 費の上昇はありません。140個程度までは現作業人員で生産可能です。ただし、こ
 の案では150個生産のため労務費が2,000円、その他製造固定費が1,000円上昇しま

 す。この埋没コストを上回る増分コストを固定費に計上しました

 

現状・外部購入時との比較は正確ではありません。というのは、現契約の単価は140
個台の購入数量になっているためです。正確な比較は、購入単価の再見積が必要と

なります。その場合の参考にもなるため、例示しました (^0^)

 

      生産委託  内製案3
         単価    単価

生産数量 個  100     150
製造変動費 10,000 100 15,000 100

 材料費   8,000 80 12,000 80
 その他   2,000 20  3,000 20

製造固定費 10,000 100  3,000 20
 労務費         2,000  (内製案3の増分コスト)

 減価償却費         0
 その他         1,000  (内製案3の増分コスト)

合 計   20,000 200 18,000 120

 

 

◆内製案4 設備追加時の埋没コストを含まない案

 

参考までに、もう一つ試算をくわえます。K社における部品Aの使用量が増えて、現
状の設備Cの能力を上回る場合の例です。新規設備による生産分を200個とします。

このときの製造原価を試算したものです。試算結果によれば、製造原価が1個180円
になりました。つまり、現状設備Cと同等の新たな設備投資をしても、採算確保の可

能性が高いことを意味します (^0_0^)ナルホド

 

現状・外部購入時との比較は正確ではありません。現契約の単価は140個台の購入数
量になっているためです。正確な比較は、購入単価の再見積が必要となります。現

状の生産委託時の数値は、参考までに例示しました

 

      生産委託  内製案4
         単価    単価

生産数量 個  100     200
製造変動費 10,000 100 20,000 100

 材料費   8,000 80 16,000 80
 その他   2,000 20  4,000 20

製造固定費 10,000 100 16,000 80
 労務費         4,000  (内製案4の増分コスト)

 減価償却費      10,000  (追加設備の増分コスト)
 その他         2,000  (内製案4の増分コスト)

合 計   20,000 200 36,000 180

 

 

◆各案の比較

 

参考までに、ここまで例示した各案を一覧にします。ただし、内製案2「埋没コス
トを含む比較」は含んでいません。各案の内容は次のとおりです

 

 生産委託 … 現在の外部購入時
 内製案1 … 従来社内ルール適用時

 内製案2 … 埋没コストを除く比較
 内製案3 … 数量増時の埋没コストを含まない案

 内製案4 … 設備追加時の埋没コストを含まない案

 

      生産委託  内製案1  内製案2  内製案3  内製案4
         単価    単価    単価    単価    単価

生産数量 個  100     100     100     150     200
製造変動費 10,000 100 10,000 100 10,000 100 15,000 100 20,000 100

 材料費   8,000 80  8,000 80  8,000 80 12,000 80 16,000 80
 その他   2,000 20  2,000 20  2,000 20  3,000 20  4,000 20

製造固定費 10,000 100 17,000 170    0  0  3,000 20 16,000 80
 労務費         4,000      0    2,000    4,000

 減価償却費      10,000      0      0   10,000
 その他         3,000      0    1,000    2,000

合 計   20,000 200 27,000 270 10,000 100 18,000 120 36,000 180

 

 

◆内製化時のまとめ

 

現状の外部購入を含む、いずれの案においても発生するコストが埋没コストです。
今回の例で言えば、K社の設備Cの減価償却費とその他製造固定費、増加しない範囲

内の労務費が該当します

 

埋没コストの扱い方としては、基準売価への反映のしかた紹介がまだ残っています。
次回以降のテーマです  (^^)♂♂

編集後記

                    食処 渓 8月9日
食処 渓8月8日、ラーメン屋さんに寄りました。小生の知る限り、つけ麺ではピカイチではないでしょうか。食処「渓」という、川口駅東口から約700m、歩いて10分のところです。川口駅東口を出て、駅を背に左側の産業道路(県道35号線)沿いに歩いた道路沿いの右側にあります。食処「渓」と産業道路の反対側には、ショッピングセンター「アリオ川口」があります。比較的分かりやすい場所かもしれません。アリオ川口には映画館「MOVIX川口」もあり、時々出かけています

  (●^o^●)
                    お薦めのつけ麺

つけ麺現在の店舗は、元々別なお店が廃業した後にテナントとして入りました。写真でも次に掲載していますが、立ち退きを迫られ棟続き隣の店舗のほうは、来月9月に閉店せざるを得ないとのことです。継ぎ足しの店舗ですが、メニューによって分けています。ご主人にお話を伺ったところ、移転先のめどはついていないそうです。一度は食してみる価値のあるつけ麺と思っていますので、ぜひ機会を見つけて訪問してみてください (^o^)

 

こぶしの湯 由来

           渓 閉店と移転予告のお知らせ

 

渓の売りのもう一つは、まぜそばです。濃厚な出汁がきいた、汁なしのそばです。そばといっても、ラーメンと言ったほうが正解かもしれません。太めで歯ごたえのある麺で、これも行けますよ  (^^)♂♂

 

 今回頁数は次のとおりです
  321行/校了時点の合計÷53行/頁≒6.05頁

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!