収益改善に役立つ統制指標の切り口

★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2011/06/13 No.107

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

【目次】

1.全体最適の進めかた

まえがき

こんにちは 前田です!

 

アジサイの季節がやってきました。アジサイの種類は50種類ほどあるようです。自
宅植え込みのアジサイを紹介します。和名がガクアジサイ 墨田の花火(すみだの

はなび)と鹿鳴館です。昨年は、鹿鳴館を掲載しました。両方とも、見頃一歩手前
のようです (^∧^)

 

アジサイ 墨田の花火

         自宅のアジサイ 墨田の花火 6月11日

 

それにしても、アジサイは本当に雨に合う花だと思います。この写真も、今朝6月11
日(土)、まだ雨が降っているさなかに撮りました。梅雨入りは昨年が6月13日、今

年は5月27日です。今年は、割りと梅雨らしい雨の日が多くなりそうです。夕べ遅く
から、今朝6月11日(土)も雨でした。今朝方は、雨足もかなり強かったせいか、チ

ンチラも外に出せと言っていません (∩_∩)

 

アジサイ 鹿鳴館

          自宅のアジサイ 鹿鳴館 6月11日

 

話は変わりますが、今年の人間ドックは7月1日を予定しています。この様子だと、
梅雨真っ盛りの受診確実です。今年の受診メニューは例年の項目にくわえ、数年ご

とに受けている脳ドックも追加しています。MRI検査のことで、磁気共鳴画像診
断というそうです。この検査は、寝台の上に寝かされ、頭から台ごと筒の中に押し

込まれます。真っ暗で、音がうるさいんです。それ以外には何ともないのですが、
閉所恐怖症のかたには、大変な検査かもしれません。総合判定では、一昨年、昨年

と2年続けて便潜血陽性で、大腸検査を申し渡されました。結局、何ともなかったの
ですが、今年はどうなることやら… (=^^=)

 

これも例年のことですが、受診前にはお酒をセーブしています。周りからは、そん
なことをしたら、平常の検査にならないとの声があるのも承知の上です。実は、こ

れが一番大変なことなんです。簡単にやめられないからです。今回も、4月中旬から
節酒期間に入りました。しかし、以前に比較し酒量そのものが減っていることもあ

り、意外にすんなりと飲まないが続いています (^-^)

 

今年は、節酒によって新たな発見をしました。前日飲まないほうが、翌朝の体調が
いいからです。飲まないことで体調が良くなる感触は、従来味わったことがありま

せんでした。これなら、節酒期間を延ばして見ようとも考えています。先月5月は、
少しでも飲んだ日が6日間でした。飲むときは、大半が夕食時です。残り25日間は、

お酒を飲んでいません。飲まない人から見れば、それでも多いと思われるかもしれ
ませんが…。今月6月も同様の日々を過ごしています \(◎o◎)/!

 

小生自身、節酒が健康管理にどの位貢献するものなのか分かりません。一種の気休
めにすぎない可能性もあります。とにかく、人間ドック受診まであとわずかです。

今年の新たな発見、2つ目です。こんなにスムーズに飲まない日を続けられると思っ
ていませんでした。やはり、確実に弱くなっています (^0_0^)ナルホド

1.全体最適の進めかた

No.103から4回、全体最適の考えかたや課題、効果等の紹介をしてきました。それで
は、実際に企業で全体最適のしくみ構築をおこなう場合は、どうすればいいのでしょ

うか。今回は、以前から予告していた全体最適の進めかたについて述べることにしま
す。内容の説明を後回しにし、最初は結論とも言うべき進めかたの紹介です

 

 

◆全体最適のしくみ構築手順

 

次の期間は一つの目安であり、全体最適のしくみ構築の対象の大きさ、事業内容等
により変化します

 

 第1段階 課題の自己診断  (半年程度)
 第2段階 基本構想立案   (1〜2年程度)

 第3段階 しくみ立案と実運用(半年〜1年程度)

 

各段階における目的と内容は、後段で説明しています。その前に、全体最適の原則
的な内容を紹介します (^−^)

 

 

◆全体最適の意味

 

従来の定義にこだわらず、全体最適を分かりやすく言うと、次のように現わせます

 

『全体最適とは、営業利益を常に最大化する方向に業務遂行をおこなうしくみである』 (●^o^●)

 

対象の営業利益は、一企業あるいは企業グループを指しています。一時的な全体最
適ではなく、継続的に維持できることが前提です。そのため、必要な権限を持って

コントロール可能な、企業内組織の設置あるいは役割分担が欠かせません。全体最
適で対象とする企業の主な組織は、販売・生産・物流・開発の全ライン部門です。

これらライン部門は、営業利益を日常的に生み出す役割を持っています

 

営業利益の最大化を目的に、PDCAのマネジメントサイクルを回すことを「しく
み」と表現しています。このほか、しくみにはコントロールをおこなう判断基準が

最低限必要です。測定できないものはコントロールできません。従来から私どもが
推奨している測定手段として、管理指標と統制指標があります。もう一つくわえる

なら、これら管理・統制指標算出や、各種の測定手段のもととなる管理会計の導入
が不可欠です

 

 

◆全体最適の考えかた

 

全体最適の視点から、メーカーの経営資源活用と収益性引き上げのポイントは、次
の中点項目に示しました。従来の改善・改革の一般的視点と、大きく変わるもので

はありません。むしろ、オーソドックスな主張です。まず、項目の確認をお願いし
ます m(_ _)m

 

・設備固定費回転率の引き上げ
・同上含む、資産回転率の向上

 

全体最適取り組みの特徴は、収益源の顕在化とコントロールのしかたをしくみ化す
るところです。収益源の顕在化は、営業利益が最大化する短期的な生産プロダクト

ミックスの算出が相当します。当該プロダクトミックスと現営業利益との差異が、
最大となる収益改善余地です。コントロールの判断基準には、管理指標と統制指標

を活用します。双方とも、コスト、製造原価、営業利益等で定量的な最適化の判断
が可能です。コントロールとは、営業利益を最大化する観点から、部門内や事業部

門あるいは企業内でマネジメントサイクルを回すことが相当します

 

*用語「短期的な生産プロダクトミックス」
 現生産能力の範囲内で、限界利益額あるいは限界利益率を最大化する現状同様に

 出荷できる生産アイテム・数量の組み合わせをいう

 

*用語「管理指標」
 管理指標とは、対象業務・作業全体の運用が適切かどうか判断する物差しや業務

 効率の測定基準をいいます。または、部門あるいは部門内の運用が適切かどうか
 判断する物差しです。言い換えると、部門運用効率の測定基準になります

 

*用語「統制指標」
 部門最適ではなく全体最適実現のため、業際間の課題について権限を持って管理

 する優位性判断の物差しをいいます。統制指標の目的は、全社収益最大化の方向
 に統制することです

 

つぎに、全体最適のしくみ構築手順の第1段階から順を追って、内容を解説します

 

◆第1段階 課題の自己診断

 

第1段階の目的は、全体最適の視点から現事業の見える化を図り、収益源開発の余
地を見出すことです。実際のアウトプットには、収益源開発の課題と余地、今後の

活動の進めかたを表わす改革行程表等になります。収益源の余地を単に顕在化する
ことを、活動の目標に置くことは好ましくありません。少なくとも、次の事項は事

前に明示すべきです

 

・全体最適取り組みへの方針・目標設定
 たとえば、事業収益を5年後に、3割向上させるなどです

 

・制約条件の明確化
 活動に入ってからでもいいのですが、いずれかの段階で明示が必要です。制約条

 件とは、改善・改革の活動をおこなうときに守るべき条件を指しています。たと
 えば、国内販売のみおこなうなどです

 

全体最適に取り組むさい、対象選定の問題があります。本来は、企業全体、あるい
は事業全体を対象に取り組むのが本筋かもしれません。ケースによっては、連結製

造原価や連結採算分析の対象となる製造子会社まで含む事業もあります。多くの場
合、最初から領域全体に広げる取り組みは推奨していません。問題となるのは、全

体最適のしくみ運用までの期間の長さ、失敗のリスク、得られる期待効果、取り組
みやすさです。そこで、最初はモデルを対象に始めることが適切と判断しています。

当初対象としなかった事業等への横展開は、モデルへの取り組みを見てから判断し
ていただくのが妥当です。モデル事業選定には、次の項目を配慮します。いずれも、

他製品と混在した日常業務、組織、工場、生産設備になっていないことが基本です

 

・特定製品の販売・生産・物流が一つの事業となっている、
 または分離した情報収集が可能

・当該製品の専用生産設備となっている
・当該製品の生産工場が単独となっている、

 または分離した情報収集が可能

 

現事業の見える化は、いろいろな角度から実施します。ただし、内容は、方針・目
標、制約条件、与えられた期間等によって当然変わってきます。あえて、対象とな

りうる項目を挙げるなら次のとおりです

 

・経営理念・経営方針、中長期経営計画
 事業遂行に対する理念、事業のめざす姿と守るべき行動等を明らかにします。こ

 れらの内容は、しくみ構築チームの活動に対する制約となります。単に参考情報
 としての提供にとどめるなど制約としない場合は、混乱を避けるためにも、その

 旨を事前に明示することが欠かせません

 

・事業構造
 事業定義の明確化と過不足検証をおこなうことが目的です。内容には、ビジネス

 モデル、事業定義、ビジネスプロセス、製品体系ツリー等あります。事業構造の
 用語説明は後段に記載しました

 

・収益構造
 事業収益と投入資源のかい離率検証をすることが目的です。内容に、収益源マッ

 プ、収益構造図、採算分析等あります。収益構造の用語説明は後段に示しました

 

・需要構造
 マーケットから見た事業構造の過不足検証が目的です。内容は、競合分析、マー

 ケットシェア、製造原価等あります。需要構造の用語説明は後段に明記しました

 

・事業資源の活用度
 現状事業資源の、収益能力の活用度を検証することが目的です。内容には、短期

 的な生産プロダクトミックス、編成効率等あります。通常の企業では、この部分
 の算出を当段階で実施できることは、まずありません。理由は、データ収集・作

 成に時間を要するためです。そのため、多くの例では、第2段階の作業項目に編
 入されることになるでしょう。第1段階では課題指摘どまりです

 

収益源の開発余地は、収益獲得の機会損失をできるだけ定量的に確認することを心
がけます。ただし、顕在化をどの程度できるかは、現状の財務会計、管理会計、管

理水準等によりけりです

 

進めかたは、部門管理層を中心に編成されたチームで、自己診断型ワークショップ
方式で実施することを推奨します。必要時には、事業管理層がチームに参画してい

ただいて構いません。事業管理層と部門管理層の説明は、後段に注記しました。
チームメンバーは、業務や実務に詳しく自由な討議を制約なくできるかたが望まし

いと思います

 

自己診断型ワークショップ方式の進めかたとは、私どもコンサルタントからの考え
方、基準、案例示に基づき、演習・実践をとおしてメンバーが自ら判断および作業を

おこなう、技術修得がよりできやすい実践型の方法を指しています。目標と成果物、
期限、チームリーダーを設定し、おおむね6カ月間以内をめどに活動することが通常

の形態です。それなりの負荷は発生しますが、ノウハウを得られる利点があります

 

*用語「連結製造原価」
 連結製造原価とは、連結企業間で製造工程が分担された製品を、一工場で製造し

 たように算出する原価を指しています。算出方法は2とおりです。関係会社のデー
 タに内部取引を含めず、積み上げ計算する方法。関係会社のデータに内部取引を

 含め合算し、次に内部取引のみ集計・消去し合算する方法(単純合算消去法、推
 奨)。後者の方法は、個別企業の変動PLをそのまま利用でき、分かりやすいのが

 特徴です。しかも、アイテム別に集計可能なことから採算分析もできます。算出
 目的は、採算分析等の情報提供とグループ全体の最適追求です

 

*用語「連結採算分析」
 連結採算分析とは、連結対象の複数企業を対象に企業グループの固定費回収実態

 を知ることです。損益分岐点分析の結果も分かるようにできます

 

*用語「事業構造」
 収益事業の目的、提供する付加価値、マーケット収益獲得に欠かせない基本業務

 とその運用を指しています。事業構造を知る目的は、これに沿った要件と水準の
 過不足を知り対策検討に役立てるためです

 

*用語「収益構造」
 マーケット収益獲得の実態を、マーケット用途と企業の経営資源の投入状況の関

 係を指しています。収益構造を知る目的は、事業収益の源泉と採算性の確認によ
 り、経営資源の再配分に役立てるためです

 

*用語「需要構造」
 マーケット収益獲得の事業構造に対応するマーケットの実態を指しています。需

 要構造を知る目的は、マーケットの実態を知り、対峙する自身の位置づけ明確化
 です。マーケットの実態とは、マーケットの需要動向、製品に対する要求仕様、

 競合先の調査と分析を指しています

 

*用語「編成効率」
 一定期間の受注に対する生産能力の活用割合のことです。

 編成効率(%)=生産した製品の収益÷生産プロダクトミックス時の収益×100

 

☆企業内の階層別役割

 

会社組織の階層別役割は、3つに区分して捉えます。小規模な企業では、このよう
な階層に分かれていない場合もありますが、機能的に見ると役割を兼ねることが多

いものです

 

・経営層の役割
 利益創出機能であり、現状の経営資源を生かし切る全社最適追求が役割です。

 一般的には常務クラス以上の役員、経営企画部門の上層管理者を指しています

 

・事業管理層の役割
 売上改善・改革機能であり、所管事業の経営資源を活用した売上高・利益率向上

 を図る管掌事業部門・最適追求が役割です。一般的には、執行役員、事業部門
 長、取締役部長、取締役、経営企画部門の管理層が該当します

 

・部門管理層以下の役割
 コスト効率向上機能であり、品切れ防止、少ない資源で処理量増やす、時間当た

 り業務処理量を増やすなどの部門最適追究が役割です。一般的には、部課長等の
 部門長以下のすべての階層が対象となります

 

 

◆第2段階 基本構想立案

 

第2段階の目的は、全体最適のしくみ構築に不可欠な課題の調査・分析等により、
実施可能な構想案を作成することです。アウトプット面から見ると、多くのケース

で次の2つに区分することができます

 

・全体最適の基盤整備事項
 たとえば、納期遵守率の改善、全部原価計算となっている製造原価の部分原価計

 算への移行などの課題があります(全部・部分原価計算の用語は、後段参照)。
 納期遵守率が悪い場合は、全体最適のしくみ構築前に一定の水準まで引き上げる

 ことが、販売計画の達成率向上にも不可欠です。次に区分した「需給のしくみ」
 の基礎に相当します。製造原価の算出は、製造形態による違いがあるものの、多

 くは直接原価計算採用が不可欠です。いずれも、全体最適のしくみ構築の基盤整
 備に当たる事項が相当しています

 

・全体最適のしくみ構築の直接的課題
 複数部門を横断する、本来の全体最適のしくみ構築の課題が主な対象です。需給

 のしくみ構築、管理・統制指標の算出と設定、短期的な生産プロダクトミックス
 と編成効率の算出、これらの運用のしくみ立案等あります。これらは、いずれも

 部門間ステージバランスの効率性追求の道具立てと言えるものです

 

実際のアウトプットは、上述の管理・統制指標設定と運用案、短期的な生産プロダ
クトミックスと編成効率算出および運用案、収益予実績管理の運用案、これらをサ

ポートする情報システム等あります。経験則では、この段階でもっとも手間暇がか
かるものは管理会計の導入です。管理会計導入の狙いの一つには、判断基準の定量

化支援があります。この整備なしには、運用の要となる予実績管理の推進が不可能
です  (^^)♂♂

 

*用語「全体最適のしくみ」
 全体最適のしくみとは、マーケット環境の変化に即応可能とする体質改善実施と、

 投入経営資源の再配分により、営業利益の最大化を維持可能にするコントロール
 の推進を指しています

 

*用語「全部原価計算」
 製品原価算出にあたり、製造活動に要したすべての経費を原価とする計算方法の

 ことです。日本の制度会計では、製品の原価計算方法として全部原価計算のみが
 認められています。したがって、メーカーでは当計算をおこなわざるを得ません。

 もともと、国の徴税上からの要請と、販売価格設定のため作られた経緯がありま
 す。これに対するもう一方の方法が部分原価計算です

 

*用語「部分原価計算」
 全部原価計算と相対する原価計算の方法です。製造活動に要した部分経費を取り

 出して原価とする計算方法を指しています。直接原価計算が代表的なものです。
 部分原価計算は、企業の経営管理に有効な情報提供を可能とする管理会計の基礎

 となっています

 

*用語「ステージバランス」
 販売から生産・物流に至る、ライン部門の能力を均衡させることを指しています。

 生産におけるラインバランス同様、ステージにおける能力が不均衡な場合、企業
 の能力はもっとも小さい能力のステージで決まるはずです。よく見られる例とし

 ては、在庫がステージバランスを均衡させる役割を持っています

 

 

◆第3段階 しくみ立案と実運用

 

第3段階の目的は、前段で作成した基本構想の具体化を図り、テスト運用を経て実
運用に供することです。ようやく、この段階まできて本格的に全体最適の効果を味

わう段階に到達したことになります。まだ、終わったわけではありません。しくみ
運用による効果確認、評価、しくみの修正・追加等が必須です。当初想定し得なかっ

た問題が、多くの場合発生します。当初取り組みから、あるいは基本構想立案から、
かなり期間が経過していることも稀ではありません。環境は変化します。しくみを

育てる発想を忘れてはなりません。ここまでは、モデルを対象に進めてきたわけで
す。一応の好評価が得られたら、次の対象事業に横展開を図っていくことになりま

す \(◎o◎)/!

 

 

◆全体最適を推奨する背景

 

No.105の最後でも、同様の趣旨を述べたつもりでした。しかし、読者に意見をお聞
きすると、真意が伝わっていない気もしています。そこで、もう少し史実を交えて

全体最適を推奨する背景の説明をくわえることにしました

 

紹介する史実の内容は、戦後の日本企業の成長戦略が経済規模拡大にともなう拡販
への対応にあったということです。結果として、企業で利用される管理技術は、現

在も拡販型をベースとしたものが基本となっています。これが、多くの企業で予実
績管理に支障をきたす原因となっていることに気付くべきです。とくに、現経営層

の役割は、次の世代に管理会計というツールを残すことが課題と小生は考えていま
す。以下、これらの内容解説です (∩_∩)

 

 

◆戦後の経済成長と経営管理技術

 

全体最適のしくみ構築は、戦後続いてきた日本企業の、経営管理の概念を変える可
能性があります。最近では、戦後と言っても素直に通用しないかもしれません。第

二次世界大戦のことですが、1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドへ侵攻したこと
から始まり、日本が降伏文書に署名した1945年9月2日までの6年間にわたる世界規模

の戦争のことです

 

戦争で荒廃した日本経済は、皮肉にも戦争で回復の第一歩を歩み出すことになりま
した。朝鮮半島が南北分断された、1950年から1953年の朝鮮戦争特需によってです。

日本の高度経済成長は、1954年12月から1957年6月までの朝鮮戦争特需がきっかけ
となった神武景気(じんむけいき)が爆発的な好景気の基礎となりました

 

経済学者により、以下の年次に違いはありますが、高度成長期は1956年から1973年
あたりまでの17年間を指しています。この間の、実質GDP(国内総生産)の成長

率は9.1%です。その後、1974年から1990年あたりまでの16年間を安定成長期と呼
び、実質GDPの成長率は4.2%です。一部省略しますが、この間、円高不況を挟み

ながら1980年代の後半にはバブル経済発生となり、1990年2月にはバブル経済が崩壊
しています。昭和から平成になったのは、1989年のことでした。経済的には、1991

年から低成長期の時代と呼ばれています

 

経済史を持ち出したのは、理由があります。戦後のほぼ一貫した経済成長は、企業
の経営管理に強く影響したはずです。1954年の神武景気から、1990年のバブル経済

崩壊までの36年間、日本経済全体として見れば、売上高がほぼ一貫して増えてきた
ことになります。やや言い過ぎかもしれませんが、経営管理面から見ると需要増大

を前提に経営していれば済んだということです。経営管理技術は、このような経済
環境を前提として採用されたことになります。多くの現経営層は、この日本経済の

成長期に一線を歩んで来たはずです。その考えかたが、現在の経営管理技術に深く
影響するのは、むしろ当たり前と言っていいかもしれません (^0_0^)ナルホド

 

 

◆国内外に通用する管理技術の導入

 

2008年9月15日、米国のリーマン・ブラザーズ証券が連邦破産法11条(日本の民事再
生法)の適用申請で倒産しました。米国史上でも最大規模の倒産となる負債総額は

6130億ドル(日本円で約63兆1500億円)です。景気悪化の引き金を引いてしまいま
した。この影響は、本年3月11日、東日本大震災の発生とともに、経済への悪影響が

まだ残っている可能性を否定できません

 

2005年12月22日、厚労省は、2005年の人口動態統計(年間推計)を発表しました。
出生数は前年比4万4000人減の106万7000人、死亡数は同4万8000人増の107万

7000人、差し引き1万人の自然減です。人口減少社会という大きな転換期に入ったこ
とになります。国内の需要構造に、変化が起こっているわけです

 

経済規模全体としてみれば、停滞する日本経済が徐々に縮小していくことは明らか
と言えます。もちろん、国内需要の構成変化による、部分的な縮小と増加が同時的

に発生することもあります。これに対し、海外需要は日本の高度経済成長並に増加
している地域が多く見られ、活路をそちらに向けるのは、ごく自然な成り行きです

 

企業活動の国内外への展開と、経営の管理技術を改革する必要性を強く感じていま
す。もちろん、管理技術は全体最適だけではありません。企業の特性に合わせて、

管理技術も採用すべきです。ただ、全体最適に関して言えば、管理会計の導入が変
革の第一歩と信じて疑いません

編集後記

                  ご近所のアジサイ 6月11日
ご近所のアジサイまえがきに我が家のアジサイの写真を掲載しました。50mほど先の交差点角にあるお宅にもツツジがあります。近所では一番よく咲いています。方角がいいのか、日当たりが我が家よりいいみたいです。我が家も東南の角地なんですが、アジサイを植えている場所が悪いせいかもしれません。書いたついでに、写真を撮ってきましたので掲載します (^∧^)

 

 今回頁数は次のとおりです
  424行/校了時点の合計÷53行/頁≒8頁

 

最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!