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収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
発行 2010/02/08 No.46
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【目次】
1.販売の業績評価
まえがき
こんにちは 前田です!
2月4日(木)は立春。寒さがあけて春に入る日、いわば春の初日に当たります。とこ
ろが、小生の住む川口市では最低気温が氷点下3度位だったようです。気象庁による
と、各地でこの冬一番の冷え込みとなり、4地点で観測史上最低を更新したと報じて
います。東京都心でも最低気温が氷点下0.4度とのこと。ちなみに、小生の故郷・五
所川原では最高気温が氷点下2度でした(寒)
(財)日本気象協会の桜開花予想は、東京都心で3月23日頃と発表しました。民間気象
会社、ウェザーマップが桜開花予想に新規参入し、3月24日頃の予想です。昨年の都
心の開花は3月21日ですから、やや遅くなるんですね。昨年は、自宅向かいの公園の
桜も同日に咲き出したんです。いっぽうで、気象庁はこの発表を今年取りやめまし
た。さて、軍配はどこに挙がるのでしょうか (?_?)
先日、メーカー設備設計部長のY氏から、設備の最新価格をお聞きしていました。
たとえば、製品をパレットに積み付けるパレタイザーですが、アーム式で1,500万円
位だとのことです。随分前のことですが、製品一列並んだら押し出し式に高積みし
ていく方式では、3,000万円位だったと記憶しています。随分下がっているなあと驚
きました (^−^)
Y氏いわく、景気が良くないため余計に値段が下がっているとのこと。この種の中
古市場もあるそうです。小生は、この分野にうといのですが、異分野のお話しをお
聞きする重要性を再認識しました (=^^=)
1.販売の業績評価
企業の業績評価には幾つかの形態が見られます。内容紹介の前に、業績評価とは何
か、またその目的と背景を確認しておきましょう
◆業績評価とは
業績評価とは、業績の達成要件を明確にし、達成度を測る判断基準設定により到達
度を明らかにすることです。業績とは、達成すべき対象の到達度のことであり、売
上や利益を指す場合と、業務効率や自社の強み確立など、重点課題ではあっても定
量把握に向かないものがあります。したがって、目標とされた売上高・営業利益・
課題に対する満足度などが、業績の達成要件に相当します
例を挙げましょう
対象部門:某社大阪営業所(部門以外にグループ、個人のこともあり)
対象品:前月発売の新製品
業績評価の対象期間:2010年1月1カ月間
目標:売上高500万円、営業利益率15%
(→業績の達成要件、達成度を測る判断基準が同じケース)
実績:売上高600万円、営業利益率12%
賞罰:目標到達度に応じた表彰あり
この例では、達成要件と達成度を測る判断基準が同じですが、必ずしも同じになる
とは限りません。売上高が目標を上回っていますが、営業利益率は目標に到達して
いません。目標到達度に応じた賞罰がある場合と、そうでない場合があります。と
もなわない場合といっても、皆さんご存じのとおり、昇進・昇給など何らかの形で
反映されるのが現実です (=^^=)
達成度を測る判断基準には、売上高・利益・歩留まり・時間・稼働率などの定量把
握可能なものと、サービス充足度・満足度・強みなど定性的なものがあります。定
性的とならざるを得ない場合でも、なるべく客観的な到達度測定の工夫が重要です
(=^^=)
◆業績評価の目的
業績評価の目的は、目標達成に至る過程をとおして企業の重要な経営資源「ヒト」のモチベーション(動機付け)向上と維持、組織効率向上を図ることと言えます。組織効率向上とは、事業部・部門等の組織が持つ目標到達度を引き上げることです。簡単には、やる気を促して目標達成を確実にする仕掛けとでも言えばいいのでしょうか (=^^=)
◆評価基準の背景
それでは、業績評価はどんな視点からおこなうべきでしょうか (?_?)
業績設定の目的は前項で述べましたが、その設定に至る背景を次に考えてみます
まず、自社が将来到達すべき姿を、経営方針や中期経営計画などの形で明らかにし
ます。当然ですが、掲げた目標達成にはかなりの努力が通常必要です。とくに、当
面の売上高や利益確保が優先されるでしょう。業績評価は、業務目標到達への努力
を促す動機づけとなるわけです (^−^)
並行的に、将来の成長に必要な強み育成・業務改善・しくみ構築なども推進するこ
とが欠かせません。業績評価は、今を存続させる利益確保と、将来の成長を促すマ
ネジメントのしくみの一部なのです。本稿では省略していますが、全体の運用のし
くみは「役割分担マップ」というワークシートによるまとめ方を小生は推奨してい
ます
*用語「役割分担マップ」
基本業務フローの作業・業務処理の主担当部署および副担当を表したマネジメン
トサイクルの運用ルールを定めた表形式の業務運用基準
◆販売部門の業績評価基準例
良かれ悪しかれ、業績評価基準の設定は、長い目で見るとヒトの行動の行く末を決
める傾向があります。ヒトは誰でも良く評価されることを好み、逆の選択は避ける
ものです。この点、業績評価基準は日常業務の目指すべき方向性を決めると考えま
す
前置きが長くなりました。販売部門の業績評価基準を紹介します。まず、例を見て
行きましょう
◆粗利基準
算出式: 粗利=売上高−売上原価
粗利は「売上総利益」が本来の呼び方です。ほかに、粗利益、荒利益と呼ぶことも
あります。上場企業の中でも、もっとも多く採用されている基準と思います。この
基準では、営業活動の動機付けが粗利最大化に置かれることです。とくに、粗利マ
イナスとなる販売に直面したとき、営業活動に違いがでてきます。当然といえば当
然ですが、ベテラン営業のかたほど粗利マイナスを避ける傾向が強くでてきます。
粗利マイナス時の処遇が見えるからです (^∧^)
この基準の利点は、獲得すべき粗利の水準を設定することで一定以上の利益確保を
計りやすいことです。過去のコンサルティング事例では、次のケースで粗利基準の
採用が多い気がします
・マーケットシェアが比較的高い
・品質・技術レベルが高く競合が少ない
・売上高追求型
売上単価は低いが売上数量が多く、売上高の大きさ追求のケース。大量生産・大
量販売型の消費物資が該当
・販売直接費の配賦が困難
消費物資で、販売部門の人件費に比較し、広告宣伝費、販売奨励金などの販売直
接費の割合が高く、かつリーズナブルな販直費の製品配賦が困難な場合。売上高
追求型と同企業になることもあります
同様に欠点を挙げます
・価格競争で競り負けやすい
・実際には、売上単価を安くしても利益拡大に貢献できるはずなのに、粗利確保に
こだわるため失注しやすい
次に本基準採用の留意点です
・量産効果が大きい場合には、売上原価の段階的な設定を推奨
生産量増加とともに製造原価も逓減し利益は増加します
◆部門利益基準
算出式: 部門利益=売上高−売上原価−部門販売直接費
粗利基準に次いで採用される方法です。部門利益の呼び方は、各社さまざまです。
本来は異なる意味ですが、貢献利益と呼ぶ企業もあります。部門販売直接費は、業
績評価の対象製品や品種など、販売を直接担当する営業グループの販売直接費を指
しています
*用語「貢献利益」
本来は(売上高−変動費)のことです。本稿では、この貢献利益を限界利益と呼
んでいますが、ほかに変動利益ともいいます
前項の粗利基準では、販売経費の大小が業績評価に影響しません。その点の不公平
感を取り除き、販売経費を差し引いた部門利益で業績を見る方法です
◆営業利益基準
算出式: 営業利益=売上高−売上原価−配賦販管費
配賦販管費とは、全社の売上高に対する販管費率を基に、売上があったとして、こ
れにかかる全社の販管費を対売上高比率で設定することです。この基準採用の企業
は、意外に多い気がします。当基準による発生問題の典型例を紹介します
☆異なる性格の複数製品部門がある問題例
・当事業の製品単価は安い反面、大量販売し結果的には売上高も大きいのですが、
販売担当者も少なく、実際の販売直接費も少ない部門
・他の事業は、販売主力部門で、人員も多く売上も大きい部門
・販直費の小さい部門は、売上高に対して自部門で発生しない販管費まで配賦さ
れ、相対的に他部門より業績が下回る
このようなケースは、食用油メーカーの油と搾り粕の販売が典型的です。搾り粕は
副次的に大量生産され価格は安いのですが、販売先はほぼ固定しており、営業担当
者も多くを必要としません
反面、食用油は相対的に価格は高いのですが、広告宣伝費、営業担当者を始め販直
費を多く必要とします。結果的に、搾り粕は薄い利幅を大量販売と低い販売直接費
率によって、利益貢献度を高めています。このようなケースでは、次の限界利益基
準と、複数の業績評価基準採用をお薦めします
◆限界利益基準
算出式:売上高−変動費
管理会計採用の企業では、比較的多くみられる方法です。一律な限界利益基準の採
用は、営業利益率の低下につながりやすくなります。したがって、歯止め策を考慮
しつつ運用することが不可欠です。歯止め策については、誌面の都合もあり今回触
れません。当基準は、次のケースにとくに有用さを発揮します
・利益拡大を第一義的に目指す
・価格競争の激しい製品に適用する
・シェア獲得に力点を置く(さらに、量産効果の反映をおこなう)
小生は、歯止め策を含む当基準の採用を推奨しています
◆定量的な業績評価基準なし
これまでの経験則から意外に多い気がします。先日も、一部上場企業の方にヒアリ
ングさせていただきましたが、この例に相当します。定量基準によらない方法も、
幾つかのパターンに分類できるのではないでしょうか。小生の今後の課題です
業績評価の方法は、採用に至る企業の歴史があり、一概にどれがいいと言いにくい
ものです。繰り返しになりますが、業績評価は利益確保のマネジメントのしかたそ
のものです。上記では触れていませんが、実際は工場と販売先立地による物流費配
賦、製品別・変動費率の大小、生産量による量産効果の側面もくわえての考慮が必
要になります
編集後記
暮れに書斎のカラープリンタが故障し、年賀状はモノクロで出すことになってしま
いました。カラー出力の頻度が少ないためらしく、ノズルが詰まってしまったよう
です。キャノンのA4版対応のカラーインクジェット式で2006年7月30日購入、16,800
円でした。修理に出そうとしてキャノンに問い合わせたら、配送料込みで約1万円と
のこと。こりゃ駄目だと思い、買い換えを決意。今まで、よく持ってくれました。
お疲れさんです (^0^)
とは思ったものの、置くところがありません。ついでに、壊れていた書棚一つとプ
リンタを一緒に処分し購入したのが2月6日(土)となりました。Brotherのカラーイン
クジェットプリンタ、A3対応、57,270円です。買う前に、家電量販店に下見に行っ
たところ、約1万円割高なことが判明。結果的に、インターネットショップで購入し
ました。ちなみに、今回故障したキャノンのプリンタは、自宅近くのコジマで購入
しています (∩_∩)
A4版カラー1枚出力コストが6.8円と説明にありました。調べましたら、インクも互
換製品があり、約5分の1で買えます。これでは、白黒の出力コストも、現在使用中
のレーザプリンタとほぼ同じか安いことになるようです
家電量販店の対面販売について、考えさせられてしまいました。
もしかしたら、量販店はインターネットショップの見本展示場になっているのでは
ないかと… m(_ _)m
最後までお読みいただきありがとうございます m(_ _)m
それでは、次回またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!