収益改善に役立つ統制指標の切り口

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 収益改善に役立つ統制指標の切り口 【現役 経営コンサルタントの裏情報!】
 発行 2010/01/18 No.43

 

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【目次】

1.物流は見直し時期か

まえがき

こんにちは 前田です!

 

本年最初のメルマガをお届けします。毎週のように書いていたのを休むと、何か物
足りなかった感じでした。書くこと自体に抵抗はないのですが、毎週となるとなか

なかアイディアが浮かんでこないこともあるんです。肩の力を抜いて、今年も書い
て行こうと考えておりますので、本年も宜しくお願い申し上げます m(_ _)m

 

今年の干支(えと)は寅(とら)ですね (^-^)
本来は長男の場合のみに使うようですが、小生は次男ですが一応、年男です。

ただ、今年は厄年なんです (>_<)
初詣で厄払いをしていませんので、近いうちに厄除けの神社仏閣に詣でてこようと

思っています (=^^=)

 

 

◆新Webサイト「業務改善コンサルティング」

 

前回紹介しましたが、新Webサイト「業務改善コンサルティング」を12月16日(水)
大安に、ようやく公開に漕ぎ着けました。2010年1月16日現在のキーワード入力検索

結果です。前回ご紹介時、ヤフーではランク外でしたが、今回はランクインしてい
るものが増えています

 

検索時入力キーワード    検索結果
業務改善コンサルティング  google 2位(yahooランク外(涙))

製造業における収益改善   同上 2位(同上 4位)
社内コンサルタント養成研修 同上 1位(同上 1位)

経営管理用語集       同上 1位(同上 23位)
業務改善 無料相談会    同上 2位(同上 4位)

 

暮れには、工事中であった経営管理用語集も完成しています。収録用語は、社内コ
ンサルタント同士およびクライアントとの意思疎通のため、コンサルティング現場

で実際に使用しているものです。社内において改善活動をおこなう場合にも有効と
思います

 

まだ工事中の頁がありますが、2月末をメドに公開予定です。ぜひ一度「業務改善コ
ンサルティング」に遊びに来て下さい m(_ _)m

 

業務改善コンサルティング http://www.ab-consul.com/

1.物流は見直し時期か

最近、物流あるいはロジスティクス分野におけるコンサルティングの必要性が新た
な視点から高まっている気がしています。以下、とくにお断りしない限り「物流」

の用語を使用します

 

*用語「物流」
 完成品を生産ラインの終点から消費者まで有効に移動させることに関連を有する

 幅広い活動のことであって、原材料の供給源から生産ラインの始点まで移動させ
 ることを含む場合もある(旧米国ロジスティクス管理協議会、NCPDMの定義)

 

*用語「ロジスティクス」
 サプライチェーンプロセスの一部であり、顧客の必要条件に適合できるように、

 産出地点から消費地点に至るまでの財とサービス、ならびに関連する情報のフロ
 ーとストックを効率的、かつ効果的にするよう計画立案、実施、統制するプロセ

 スである(米国の旧物流管理協議会、CLMの定義)

 

 

◆立体自動倉庫の老朽化が引き金

 

典型的な問題には、多額の投資による物流拠点の老朽化が引き金となり、今後の物
流のあり方を再検討すべき例が見られることです。20年ほど前にお手伝いした企業

が、2万数千パレット保管可能な立体自動倉庫を建設しました。当時の最先端倉庫で
す。建屋図面の確認後に見学させていただきましたが、国内最大級の規模に圧倒さ

れた記憶があります。製品は20Kg程度の紙袋パレット積み品で、生産包装ラインか
ら高層ラックまで自動搬送・保管される構造です

 

この物流拠点に関わる部分はコンサルティング対象外でしたが、最先端を強調した
担当者の説明を前に「過大投資ではないのかなあ?」と思ったことが忘れられませ

ん。顧客企業は化学メーカーで、場所は大阪近郊です

 

 

◆惚れ込んだ立体自動倉庫

 

その後も、いろんな企業で立体自動倉庫が建設されています。どちらかと言えば、
採算面より設備に惚れ込んだ投資のような気がしてなりません。当時の日本物流管

理協議会では、このような最先端の物流施設の見学会を開催していたものです。
そういう小生も、だいぶ参加しましたが… (^−^)

 

*用語「日本物流管理協議会」
 1970(昭和45)年11月に設立された旧通産省の外郭団体。

 現(社)日本ロジスティクスシステム協会の母体の一つに相当します

 

立体自動倉庫の建設は、一種のステータスを表しているかのようでした。類似自動
倉庫建設の流れは、好景気企業を中心に、2000年頃まで続いていたと思います

 

 

◆立体自動倉庫の自社見直し困難例あり

 

立体自動倉庫の建設から20〜25年程度経過した企業では、見直しの時期に入ってい
ると思われます。いっぽうで、立体自動倉庫は造ったものの、設備トラブルと運用

のしづらさから、解体または不要不急品置場と化した例が相当数あるのも事実です
が… (>_<)

 

物流拠点は、物流の一部機能を分担しています。見直しは、一部の例外を除き、全
体像把握が必須です。ところが、物流の姿を再検討しようにも自社では手に負えな

い事例が見られるようになっています。何故でしょうか (?_?)

 

前述の「一部の例外」とは、次のことを指しています

 

・生産拠点に併設する生産都合の製品在庫のみの保管
・原材料・部品・仕掛品・中間品などの製品以外の在庫保管

 

次に、社内で検討を進めにくい原因と推定される課題を挙げることにしましょう

 

 

◆物流拠点見直し時の典型的な課題

 

・物流業務を外部委託しているため拠点内作業の実態把握不足

 

・立体自動倉庫の運用に問題を感じている
 ex.出荷能力不足による出荷時間の長時間化

 

・問題解決の案作成が困難

 

・物流全体の整合性の取り方が不明

 

・社内に物流の専門家が不在
 物流企画部署があっても、物流現場の実態を必ずしも理解していません。物流業

 務の外部委託により、現場を知る必要性が薄くなった結果です。現場を知らずし
 て企画はできません

 

 

◆課題の背景

 

1980年代後半から、物流子会社化が急速に進みました。とくに、1990年代後半は多
かったような気がします。それと同時に、物流業務の外部委託も急激に広まってい

きました。3PLが物流業務受託の受け皿として広まったのもこの頃です

 

*用語「3PL(さんぴーえる)」
 3PL(Third Party Logistics)、サードパーティー・ロジスティクス。

 1997(平成9)年4月4日閣議決定された「総合物流施策大綱」によれば、サードパ
 ーティー・ロジスティクスを「荷主に対して物流改革を提案し、包括して物流業

 務を受託する業務」と意義付けています。また、同年3月に旧運輸省の「物流コス
 ト低減方策策定調査報告書」では、「提案型」物流企業と略称しています

 

メーカーの中には、物流改善の余地がなくなり、担当部門を廃止したところも出て
きました。メーカー自身が物流を直接管理しなくなったことが、拠点見直しの困難

さを引き起こした原因と考えられます

 

 

◆物流の歴史

 

物流の歴史を簡単に紹介しておきます

 

・日本に物流紹介
 1956(昭和31)年、米国に派遣された生産性本部の流通技術専門視察団によって

 紹介されました(団長:伊澤道雄氏)
 当時は「Physical Distribution」を「流通技術」の意味で使用しています

 

・現在の物流を意味する「物的流通」が昭和30年代後半から使われるようになりま
 した

 

・神武景気を迎える
 1955年(昭和30年)から1957年(昭和32年)に発生した好景気時期です。

 作れば売れるプロダクトアウトの時代でした。したがって、作ったものをいかに
 して運ぶかが最大の課題です

 

・1970(昭和45)年10月、(社)日本能率協会が中心となって、日本物的流通協会が
 設立されました。旧運輸省の主管です

 

・1970(昭和45)年11月には、(財)日本生産性本部と(社)日本包装技術協会が企画
 した物的流通全国会議の実行委員会が統合し、日本物流管理協議会が発足しまし

 た。この頃から物的流通は、物流と呼ばれるのが普通となり用語としても定着し
 ています。旧通産省の主管です

 

・物流氷山説(物流コスト氷山説)
 1977(昭和52)年頃、早稲田大学名誉教授 西沢脩氏が提唱し脚光を浴びました

 

・1980年代から、私どもは物流改善のコンサルティングを開始
 (小生は1984年から物流改善コンサルティングも担当)

 

・1980年代後半から立体自動倉庫の建設が見られるようになりました。バブル崩壊
 の1990年を挟み、2000年頃まで多かったと思います。この時期は、物流子会社の

 量産期でもありました

 

・1990年12月1日「物流二法」施行
 戦後40年ぶりに道路運送法を主体とした法体系から、新しい法律2本による規制緩

 和に踏み切った記念すべき出来事です。貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事
 業法が該当します。規制緩和自体は、米国に10年遅れての着手です

 

・1991年、日本物的流通協会は日本ロジスティクス協会に名称変更しました

 

・1992年5月、日本ロジスティクス協会と日本物流管理協議会が解散、旧通産省と
 旧運輸省の共管になる(社)日本ロジスティクスシステム協会として新たに発足し

 現在に至ります(=JILS)

 

・1990年代半ばには3PLが登場。SCM(Supply Chain Management)が日本に紹
 介されたのもこの時期でありブームになりました。SCMの登場により、物流お

 よびロジスティクスはサプライチェーン・プロセスの一部と認識されています

 

・2000年頃を最後に、物流コスト低減の案件が急減。いっぽうで、物流子会社の
 M&Aも、かなり見られるようになりました

 

・2003年4月1日「物流三法」施行
 「物流二法」施行後、12年ぶりのトラック、鉄道貨物の規制緩和の本格的な法改

 正です。「貨物自動車運送事業法」「貨物利用運送事業法(旧・貨物運送取扱事
 業法)」「鉄道事業法」の3つが相当します。

 まだ、米国並みには規制緩和されていませんが、最終段階に近いのではないかと
 思います

 

小生は1999〜2008年度の9年間、JILSの物流技術管理士認定講座の講師を担当し
ていました。内容は、物流拠点戦略および物流拠点の設計です。最近5年間ほどは、

受講者の構成が様変わりしています。従来のメーカー受講者主体から、物流子会社
と物流事業者のかたに大きく変わっています。2008年度では、年間6回開催していま

すが、メーカー受講者の割合が、おおむね15%程度以下だったと思います。時代は
変わったと肌で感じます

 

このような歴史をたどってきた日本の物流ですが、今後メーカーの物流企画部門を
中心に見直しが始まる可能性が感じられます

編集後記

いつも長いと言われていますので、努めて今年は短くまとめようとしております。
といっても、今回も5頁になってしまいました(汗)

 

空が真っ青で、今日もいい天気ですね。空気が乾燥して、静電気に悩まされる日が
増えてきそうです。小生は、静電気がたまりやすいんです。何故なんでしょうね

(?_?)

 

スポーツクラブから帰って原稿の清書をしています。1700m泳いできました

 

今日1月17日(日)は、忘れもしない「阪神・淡路大震災」の発生した日です。小生も
震災発生の約1カ月前まで、神戸ハーバーランドのお客さまにに通っていました。

犠牲者の方々のご冥福と、ご遺族の皆さまの心痛が癒されんことをお祈り申し上げ
ます

 

最後まで、お読みいただきありがとうございます m(_ _)m
次回、またお会いしましょう (^.^/)))~~~bye!!