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収益改善に役立つ統制指標の切り口
【現役 経営コンサルタントの裏情報! No.19】
発行 2009/07/06
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【目次】
1.横のマネジメントサイクル
まえがき
こんにちは 前田です!
◆新型インフルエンザ感染者の把握困難?
WHO発表の感染国・世界地図では、感染者なしの白色地域が、中央アジア一帯と
アフリカ位しか残っていません。中央アジアでは、モンゴル、ウズベキスタン、
カザフスタン等です。WHOの地図では、感染国の症例数により色分けされていま
す
2009年6月28日、読売新聞によると、厚労省は新型インフルエンザの患者全員の報告
を求める「全数調査」を7月中旬に中止、抜き出し調査への変更を明らかにしてい
ます。学校や職場で複数患者が出た場合の届け出は求め、集団発生の早期把握に重
点を置くとのことです。これで、日本の症例数把握の総数が把握できなくなるので
しょうか?(_ _)
◆予防アニメ視聴のお薦め
今後は、秋冬に想定される流行に備え、必要な体制整備が最重要課題と捉えられて
います。厚労省では、アニメーションと特殊映像を使ったWebムービーで、個人
で出来る感染予防法が分かりやすいYoutubeでの解説です。「新型インフルエンザ
から身を守る知っておきたい感染予防策」と題して、次のURLで見られます。
小生も、見ましたがとてもお役所仕事とは思えません。お子さんのいる家庭では、
ぜひ一度ご覧になることをお薦めします(^v^)
http://www.youtube.com/watch?v=WNQ7Y9d4D4k
◆発症から現在までの経緯
4月27日インフルエンザ警戒水準 フェーズ4発表
4月29日インフルエンザ警戒水準 フェーズ5への移行発表
6月11日(木)インフルエンザ警戒水準 最高のフェーズ6移行発表
世界的大流行(パンデミック)のフェーズです
6月24日(水)update53から新しいパターンの世界地図に変更
*WHOも分かりやすさに工夫を凝らしながら発表しています。事務方の労に
注目しています(^-^)
◆1週間で感染国112から125カ国に増加
WHOの発表から症例の増加数を算出。updateの後の( )内は、前1週間の増加症例
数を、症例の後の( )内は日本の症例内数です。6月19日以降の感染国数は、小生が
数えています
最初の発表 2009年04月24日(金)米国、メキシコで感染症発生、症例 7
update 7( 324) 09/05/01(金) 感染国 11、症例 331( 0)、死亡 10
update 36( 3648) 09/05/22(金) 感染国 42、症例 11168( 294)、死亡 86
update 51(14618) 09/06/19(金) 感染国 94、症例 44287( 690)、 死亡 180
update 54(15527) 09/06/26(金) 感染国112、症例 59814(1049)、死亡 263
update 57(30107) 09/07/03(金) 感染国125、症例 89921(1446)、死亡 382
心配なことに、ここ1週間の感染速度が、それ以前の同期間に比べ、ほぼ倍になって
いることです。感染国数も、世界194カ国のうち125カ国となりました(_ _)
前項で紹介した厚労省のアニメも参考に、体調管理に気をつけたいものです(^v^)
1.横のマネジメントサイクル
マネジメントサイクルそのものは、ごく一般的な概念です。しかし、各企業の実態
やコンサルティングにおける経験から、このマネジメントサイクルを縦と横に区分
したほうが分かりやすい気がします
前回メルマガ第18号では、マネジメントサイクルと縦のマネジメントサイクルを紹
介しました。今回は、横のマネジメントサイクルをを中心に例を踏まえて案内しま
す(^^)
◆横のマネジメントサイクルとは
横のマネジメントサイクルは、ラインの各部門内、あるいは部門間でPDCAのマ
ネジメントサイクルを回すことをいいます。当該サイクルは、実質的に事業収益を
生み出すライン部門内、および当該部門間の基本業務の実施と検証のツールです。
当サイクル推進により、部門間にある業際間課題の処理がスムーズにおこなわれて
いるか検証が可能となります
◆全体最適のライン業務運用
メーカーの事業収益を直接的に生み出す業務を受け持つのは、販売、生産、物流、
開発のライン部門です。個別のライン部門最適にこだわらず、全体最適の追求が、
収益能力強化には欠かせません
ライン部門内、および当該部門間の課題検証により、横のマネジメントサイクル推
進は収益改善への寄与が期待できます。したがって、当該サイクル推進の狙いは、
ライン業務の運用を部門最適から全体最適に変えることにあるわけです
◆縦と横に分けて捉える理由
マネジメントサイクルを縦と横に区分する理由の一つは、当該サイクルを回す対象
を細分化して捉え、水準向上に取り組みやすくするためです
御社のマネジメントサイクルがうまく回っていませんね(−_−)と言ったところ
で、具体的にどの部分なのか特定しにくいことが多いものです。言われているほう
も、悪いという意識がありませんので、責任もはっきりしません
しかし、企業におけるライン業務の運用では、予想外に部門最適追求の多さが見ら
れることがあります
たとえば、メルマガNo.10(2009年5月4日)で紹介した「部門最適にこだわったロジ
部長」は、まさにこの典型と言っていいでしょう。概略を次に掲げます
◆部門最適の追求失敗「ロジ部長」
大手化学メーカーで、新任間もないロジスティクス部長は、役員から製品在庫圧縮
の指示が出ていました。これを受けて、何としても自部門で成果を出したいと摸索
していたそうです。自部門で製品現品の在庫管理はやっていますが、生産計画の権
限がありません。もちろん、生産日程計画の実務も担当外です
そんな中、物流事業者の紹介でお会いすることになり、次のとおり推進体制を提示
しました
・製品在庫圧縮を任務とするプロジェクトチームを設置
・製品在庫圧縮の権限があり、実業務担当のメンバーでチーム編成
・チームメンバーに、販売計画と実需窓口の営業部門および実質的に在庫量を
コントロールできる製造部門を加える
・チームリーダーは、成果を直接味わえる製造部門からの選出がベター
・推進事務局はロジスティクス部門でOK
しかし、ロジ部長は自部門だけで取り組みたいとの意向を崩さず、この事案は具体
化されることなく終わっています
◆「ロジ部長」縦横とも暗礁乗り上げ
この例は、自部門の成果にこだわり、役員からの指示事項の計画づくりと実践がで
きなかったことです。結果的に、指示事項の具体化としての縦のマネジメントサイ
クル推進と、ライン部門横断による横の当該推進の双方とも暗礁に乗り上げさせた
ことになります
本当は、こだわった理由を知ることが重要でした(_ _)。もっと根本的な問題を
含んでいる恐れもあります。推定ですが、挑戦してもインセンティブに報われない
風土なのかもしれません。残念ながら、この点は確認していませんが…
◆業務遂行の習慣化と意識改革
横のマネジメントサイクルがうまく回らないと、縦のマネジメントサイクルも回り
ません。逆も同様でしょう。いずれも、マネジメントサイクルによる業務遂行のし
かたを習慣化することが不可欠です。別な切り口から見ると、意識改革を狙う手段
としてのマネジメントサイクル実践と言えるかもしれません
◆部門間で利害異なる例
次に、部門間で利害の異なる典型例を紹介します
☆アイテム数の増
販売部門は、顧客要請のアイテム増が売上増に貢献と歓迎
生産部門は、小ロット生産になり生産効率悪化、在庫増になると懸念
☆在庫圧縮
管理部門は、キャッシュフロー改善を切望
販売部門は、現時点の品切れ解消の最優先取り組みを申し入れ
生産部門は、小ロット生産化による生産性低下、煩雑さを敬遠
☆納品リードタイム短縮
販売部門は、顧客サービス向上、他社と差別化が可能と歓迎
生産部門は、仕掛品・製品在庫増を懸念
物流部門は、製品在庫増、配送効率の低下、物流費増に懸念
◆併存する業務と損益のマネジメントサイクル
1週間単位で日程計画を立案する生産形態では、マネジメントサイクルの期間も
自ずと1週間になります。損益計算は、月次単位でおこなわれるのが普通です。
そのため、月次に合わせる形でのマネジメントサイクルの期間設定も報告上欠かせ
ません
つまり、生産管理と損益管理のマネジメントサイクルが異なることになり、併存せ
ざるを得ないことになります。販売計画から生産管理に至るマネジメントサイクル
の狙いは、部門最適から全体最適に変えることです
これに対し、損益管理のマネジメントサイクルの狙いは、利益予算に対する実績を
明らかにし、損益差異と改善策を明らかにすることになります
◆1週間生産サイクルの例
次に、1週間生産サイクルのケースで販売計画から生産管理に至るマネジメントサ
イクルを例示します
1.計画(Plan)
(1)販売計画の入手
資材のうち、4週間の調達リードタイムがあるのでアイテム別販売計画は、週間
単位に向こう4週間分を入手
ex.1週目130個、2週目120個、3週目125個、4週目125個
(2)計画立案週の期首在庫を推定
現状の販売推移を予測しつつ、計画立案週の期首在庫の設定
ex.計画立案週の期首在庫30個(生産は差し引き100個造ればOKとなる)
(3)週間生産量の設定
販売計画と在庫をもとに、週間生産量の大枠設定
ex.週間生産量100個(生産計画の大枠)、歩留まり95%(目標)
(4)生産日程計画の作成
生産量の多いアイテムは複数回生産、少ないアイテムは最小生産ロット、あるい
は造りやすい生産ロットへのまるめをおこない、1週間の生産日程計画と生産量
の決定
ex.週間生産量110個、歩留まり95%
2.実践と進捗管理(Do)
(1)資材発注
生産日程計画にもとづいて、必要な資材発注。調達リードタイムの長い
資材は、販売計画にもとづいた仮発注実施
ex.4週目の販売計画どおり125個を仮発注
(2)生産
(3)進捗管理
生産中の不具合対応や微修正
(4)出来高確認
出来高を集計
週間生産量 110個(予定)→115個(実績)
歩留まり 96%(予定)→93%(実績)
3.予実績評価(Check)
日次・週次、あるいは月次等で行動計画に沿った進捗の到達度を明らかにし、当
初計画との差異明確化、差異解消の行動が必要か判断
ex.週間生産量は管理限界内との判断で差異解消は不要。翌週で生産量を調整
予定。歩留まりの目標に対しては差異が大きく、何らかの改善策必要と判断
4.差異要因解析と課題抽出(Act)
原料への異物混入のため歩留まり悪化と判明
・課題1:原料納入先への実態報告、期限設定の対策を要請し回答を待つ
・課題2:原料の運用先への工場監査と改善点指摘、対策申し入れ
・課題3:原料調達先の転注先調査を開始
・課題4:緊急避難的に受入検査の全数検査への移行
・課題5:受入検査の基準改定と検査体制強化
5.計画(Plan)
当初の計画に、歩留まり改善の対策を織り込んだ計画を立案。前段の当初計画
の(1)販売計画の入手に戻ります。以降、この繰り返しです
縦と横のマネジメントサイクルは、習慣化による意識改革を狙っており、企業の体
質改善の基礎となります(^0^)
編集後記
分かりやすく解説するのは難しいですね。人には「中学生でも分かるように話せ」
などと言っているのですが…(笑)
全体最適の視点から見た収益能力拡大のしくみ構築について、前号から書き始めま
した。ポイントは3つあります。体質改善、縦と横のマネジメントサイクル実践、
全体最適の判断基準整備です。残りについても順次紹介予定ですが、複数号を通読
しなくとも一つの号に、いずれダイジェスト版としてもまとめるつもりです
◆講演会の予定 7月16日(木)「収益力と企業体質」
次の要領で、小生の講演を予定しています(=^^=)
時間は45分と短いのですが、同日に高名なかたの講演も予定していますので楽しみ
です
演題「収益力と企業体質」〜利益の出る経営体質への変革〜
日時 2009年7月16日(木) 13:10 〜 14:10
場所 LEVEL XXI(レベル21) 東京都千代田区大手町2-2-2
アーバンネット大手町ビル21F
主催 (株)ビジネスフォーラム事務局 03-3518-6531
http://www.b-forum.net/
協賛 東洋経済新報社、ビジネスプロセス革新協議会
基調講演
「いつの時代にも共通する強い企業体質とは収益最大化を狙う、
全体最適の考え方、進め方」
−同じような物を造り、売っているのに収益に差が出るのは!?−
■収益力の強い企業に共通する体質とは(ミドル層が会社を語る)
■個別改善の延長線上にはない、全体最適による収益拡大
■既存事業における収益向上のテーマとは
*参加対象
経営者、役員、各事業部門の管理職、現場リーダーの方々
★7月16日の小生以外の講師
坂巻 久 氏(14:15〜15:30)
キヤノン電子株式会社 代表取締役社長
瀧川 克弘 氏(15:45〜17:00)
未来工業株式会社 代表取締役社長
*セミナー自体は3日間、次の要領で開催されます
事例にみる現場力・企業体質イノベーションセミナー
危機に育てる企業力〜不況に立ち向かう筋肉質の組織づくり
2009年7月15日(水)〜2009年7月17日(金)
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、次回またお会いしましょう(∩_∩)